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第一章 ヒューマニア王国
第18話 いきなりS級へ
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謁見の間を出てノア達とミラ王女は王宮で食事をすることに。リックは怪しまれないように先にギルドへ戻った。
「さて、これからどう進めましょうか」
ミラ王女が話を振る。ロイがノアに何か気づいたことがあるかを確認する。おそらくロイも感じたのだろう。
「ジョン王子は魔族と繋がっているかと」
「……ロイはどう思いましたか?」
「ジョン王子からは魔物と同じマナの匂いがしました。まだ断定はできませんがおそらく……」
「そうですか……」
そしてノアはもう一つ気になったことを話す。
「国王陛下の容体に関してなのですが、あれは体内のマナの循環が著しく何かで阻害されているように視えましたけれど……」
「え!! 今なんと?」
ミラ王女の顔がドアップでノアの顔に迫ってくる。
「ちょ、ちょっとミラ王女近い! 近すぎです。落ち着いてください!」
「ノア! お前もしかして、何か原因がわかったのか?」
胸ぐらを掴まれていたその手をゆっくりと外して王女へ返す。
「玉座まで遠かったので場所は特定していませんけれど。実は先ほど陛下の体内にサーチライトをかけて視ていたんです。僕にしか見えないようにマナライトで」
「……まじかよ」
「いや、ノアがすごいことをしたのは後でいいとして、お父様は……国王は回復する見込みがあるということなの?」
「……あまり、期待をさせるのはよくないので大きなことは言えませんが」
少し考え込むノア。
息を飲んでノアの返答を待つ。
「あの痛みを取り除くことはできそうですが、回復するかはちょっとお答えしづらいです。すみません。」
ミラ王女の強張った表情がほどけていく。そしてノアの前に両膝をついてノアの両手を強く握ってミラ王女が涙を流しながら訴える。
「ノア、どうかお願い! 父を、国王を助けてください!」
ノアの小さな両手を握ったまま額をつけて泣き噦る王女。ロイが頭を撫でながら落ち着かせようとしたが、しばらくその涙は止まらずに流れ続けた。
* * *
その日の晩にロイとノアは家に帰ってきた。ロイは状況をリリカとティアに話す。リリカは驚きはしたものの、王宮へ暫く住んで首謀者を見つけ出すことを快く了承してくれた。ティアはむしろ楽しみみたいだ。
「それで国王はそんなに危ない状況なの?」
「うん、辛そうだったよ。俺じゃどうしようもないんだが、ノアがなんとかできるかもって」
「今回ばかりはあの子のすごい力と才能に期待したいわ。国王がいなくなるなんて考えられないもの」
「そうだね。明日からそのための準備もするらしい。10日後に王宮へ向かうつもりだ」
「わかったわ。私も久々の戦闘になるなら、ちょっと練習しとかないと」
「王家も守るけど、家族も守らないとな……あ、そうだ。ダンジョン調査の報酬、金貨1000枚、リリカに渡しておくね」
「へ? うわ~すごい大金!」
「ノアのおかげだな。親の面子丸つぶれだよ。ハハハ」
「ほんとその通りね! じゃぁ、この金貨で私たちも防具とか諸々揃えておきましょう!」
こうして長い一日が終わった。
* * *
次の日、ノアは早朝からモグラーギルドの鍛冶場にきていた。昨晩ずっと考えていた国王を元気にするためにどうすれば良いか? そしてノアなりの答えがまとまり、その必要アイテムを作りにきたのだった。
「ノア! ダンジョン踏破よくやったな!」
「はい! ありがとうございます!」
「ボイドの親方が呼んでるぞ! 執務室へ来いってよ!」
「ボイドさんが? わかりました。ちょっと行ってきます!」
ゴーボに言われてギルドマスター執務室に向かったノア。
執務室へ来たノアにモグラーギルドマスター、ボイドは早速ギルドの資格について話し始めた。
「ノアよ。お前にS級の調査士の資格をやる」
「え⁈ 僕がS級? どうしてですか?」
「ハァ~、全くこの馬鹿たれは…… どうしたもこうしたもねぇんだよ! サーチライトって何じゃ! あんなもん使われたらそもそもS級しかありえんじゃろうが!」
モグラーが魔土術を使うことが珍しいことではないが、ノアが使った光属性の探索系魔土術は画期的すぎた。
「そもそも光属性の魔土術を使えること自体が稀じゃというのに。こんな優れた使い方をするとは……ノアの才能はとんでもないのう。これでまだ10歳とは意味がわからんわい」
「え……なんかすみません……」
ボイドのいきなりのS級ライセンス進呈に焦ったが、とりあえず冷静になる。お互いに。
「次に探掘士に関してじゃが、これに関してもショベルカーレベルでダンジョンをモグっていたらしいが、製作の方でまだ力不足じゃから一つ下のブルドーザーにしておいた。
これからはS級ブルドーザーモグラーとして頑張るのじゃぞ!」
「はい! ありがとうございます!」
ノアは昨日すでに冒険者ギルドのギルドマスター、リックからS級の資格をもらっていた。踏破したダンジョンはA級でもパーティメンバーの人数が少なく、踏破所要時間が極端に短かったこと、対魔物への的確な判断などが評価された。
「ノアよ。お主はこれでヒューマニア国内外のどのような等級のダンジョンでも自由に入る権利を持ったわけだが、一人でダンジョンへ探掘しにいくことだけはやめておくのじゃぞ。モグる時はそれをカバーするものが必要じゃお主が心から信頼をおけるものとパーティーを組んでからダンジョンへ挑むのがよいだろう」
「うん! わかりました。一人ではモグラないようにします」
話を終えて、ノアは再び鍛冶場へ。そして取り出したのはダンジョンで見つけた超級魔土<レアラ>だった。
「うぉ! これがレアラか⁈ 輝きがヤベェぞ!」
鍛治師たちもなかなかお目にかかることのない希少種ソイラだ。ノアの周りにみんなが集まってくる。
「ノア、これで一体何を作るつもりなんだ?」
「えっと……覗きメガネと壁と腕とか色々!」
「……はぁ? 」
その日からノアは八日間、家に帰ることなくギルドへ泊まり込みでアイテムを開発していた。そしてこの辺りから周りの鍛治師も理解し始める。ノアは天才だということを。
「さて、これからどう進めましょうか」
ミラ王女が話を振る。ロイがノアに何か気づいたことがあるかを確認する。おそらくロイも感じたのだろう。
「ジョン王子は魔族と繋がっているかと」
「……ロイはどう思いましたか?」
「ジョン王子からは魔物と同じマナの匂いがしました。まだ断定はできませんがおそらく……」
「そうですか……」
そしてノアはもう一つ気になったことを話す。
「国王陛下の容体に関してなのですが、あれは体内のマナの循環が著しく何かで阻害されているように視えましたけれど……」
「え!! 今なんと?」
ミラ王女の顔がドアップでノアの顔に迫ってくる。
「ちょ、ちょっとミラ王女近い! 近すぎです。落ち着いてください!」
「ノア! お前もしかして、何か原因がわかったのか?」
胸ぐらを掴まれていたその手をゆっくりと外して王女へ返す。
「玉座まで遠かったので場所は特定していませんけれど。実は先ほど陛下の体内にサーチライトをかけて視ていたんです。僕にしか見えないようにマナライトで」
「……まじかよ」
「いや、ノアがすごいことをしたのは後でいいとして、お父様は……国王は回復する見込みがあるということなの?」
「……あまり、期待をさせるのはよくないので大きなことは言えませんが」
少し考え込むノア。
息を飲んでノアの返答を待つ。
「あの痛みを取り除くことはできそうですが、回復するかはちょっとお答えしづらいです。すみません。」
ミラ王女の強張った表情がほどけていく。そしてノアの前に両膝をついてノアの両手を強く握ってミラ王女が涙を流しながら訴える。
「ノア、どうかお願い! 父を、国王を助けてください!」
ノアの小さな両手を握ったまま額をつけて泣き噦る王女。ロイが頭を撫でながら落ち着かせようとしたが、しばらくその涙は止まらずに流れ続けた。
* * *
その日の晩にロイとノアは家に帰ってきた。ロイは状況をリリカとティアに話す。リリカは驚きはしたものの、王宮へ暫く住んで首謀者を見つけ出すことを快く了承してくれた。ティアはむしろ楽しみみたいだ。
「それで国王はそんなに危ない状況なの?」
「うん、辛そうだったよ。俺じゃどうしようもないんだが、ノアがなんとかできるかもって」
「今回ばかりはあの子のすごい力と才能に期待したいわ。国王がいなくなるなんて考えられないもの」
「そうだね。明日からそのための準備もするらしい。10日後に王宮へ向かうつもりだ」
「わかったわ。私も久々の戦闘になるなら、ちょっと練習しとかないと」
「王家も守るけど、家族も守らないとな……あ、そうだ。ダンジョン調査の報酬、金貨1000枚、リリカに渡しておくね」
「へ? うわ~すごい大金!」
「ノアのおかげだな。親の面子丸つぶれだよ。ハハハ」
「ほんとその通りね! じゃぁ、この金貨で私たちも防具とか諸々揃えておきましょう!」
こうして長い一日が終わった。
* * *
次の日、ノアは早朝からモグラーギルドの鍛冶場にきていた。昨晩ずっと考えていた国王を元気にするためにどうすれば良いか? そしてノアなりの答えがまとまり、その必要アイテムを作りにきたのだった。
「ノア! ダンジョン踏破よくやったな!」
「はい! ありがとうございます!」
「ボイドの親方が呼んでるぞ! 執務室へ来いってよ!」
「ボイドさんが? わかりました。ちょっと行ってきます!」
ゴーボに言われてギルドマスター執務室に向かったノア。
執務室へ来たノアにモグラーギルドマスター、ボイドは早速ギルドの資格について話し始めた。
「ノアよ。お前にS級の調査士の資格をやる」
「え⁈ 僕がS級? どうしてですか?」
「ハァ~、全くこの馬鹿たれは…… どうしたもこうしたもねぇんだよ! サーチライトって何じゃ! あんなもん使われたらそもそもS級しかありえんじゃろうが!」
モグラーが魔土術を使うことが珍しいことではないが、ノアが使った光属性の探索系魔土術は画期的すぎた。
「そもそも光属性の魔土術を使えること自体が稀じゃというのに。こんな優れた使い方をするとは……ノアの才能はとんでもないのう。これでまだ10歳とは意味がわからんわい」
「え……なんかすみません……」
ボイドのいきなりのS級ライセンス進呈に焦ったが、とりあえず冷静になる。お互いに。
「次に探掘士に関してじゃが、これに関してもショベルカーレベルでダンジョンをモグっていたらしいが、製作の方でまだ力不足じゃから一つ下のブルドーザーにしておいた。
これからはS級ブルドーザーモグラーとして頑張るのじゃぞ!」
「はい! ありがとうございます!」
ノアは昨日すでに冒険者ギルドのギルドマスター、リックからS級の資格をもらっていた。踏破したダンジョンはA級でもパーティメンバーの人数が少なく、踏破所要時間が極端に短かったこと、対魔物への的確な判断などが評価された。
「ノアよ。お主はこれでヒューマニア国内外のどのような等級のダンジョンでも自由に入る権利を持ったわけだが、一人でダンジョンへ探掘しにいくことだけはやめておくのじゃぞ。モグる時はそれをカバーするものが必要じゃお主が心から信頼をおけるものとパーティーを組んでからダンジョンへ挑むのがよいだろう」
「うん! わかりました。一人ではモグラないようにします」
話を終えて、ノアは再び鍛冶場へ。そして取り出したのはダンジョンで見つけた超級魔土<レアラ>だった。
「うぉ! これがレアラか⁈ 輝きがヤベェぞ!」
鍛治師たちもなかなかお目にかかることのない希少種ソイラだ。ノアの周りにみんなが集まってくる。
「ノア、これで一体何を作るつもりなんだ?」
「えっと……覗きメガネと壁と腕とか色々!」
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