Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

文字の大きさ
61 / 91
第三章 関東大一揆、洛外編

第61話 ファシリティ terra【大地】

しおりを挟む
「どうして僕が急に司令室に呼ばれたのでしょうか?」

「確か、主催から特別景品が授与されるとかありましたよね? それのことも含めてじゃないでしょうか? あ、それから小松部長も同行するようにとのことです」

「はぁ? 俺もか?」

 異常に嫌がる小松部長のリアクションが気になるが、司令室を見ておきたいという気持ちもある。

六太むったをここに預けておいていいですか? 今から行こうと思います」

 ガタッと席を立つ音、そして天月あまつき片瀬かたせがズカズカと歩いて太地たいちに近づいてきた。

「私たちでを見ておくから、遠慮なく行ってください」

『むっちゃんってあだ名がついてやがる。太地よりも馴染むのが早え~な』

「う~ん、それちょっと微妙だな……」

『太地! こちらのレディ二人はオイラに任せとけ! あ~それから、そこの三日月野郎みかづきやろうは連れて行ってくれよ。ここにいても邪魔なだけだからな。ゆっくりしてこいよ!』

 六太むったがアロハシャツにサングラスを掛けて片瀬の肩に座ってハワイアンドリンクを飲みながら尻尾を振っている。いつの間にか自分自身のドール設定方法をマスターしたようだ。 

『太地……後でアイツぶっ飛ばしていいよな?』

「あぁ、もちろんだ……僕もやるよ」


 * * *


 ファシリティ terraテラ 【大地】に到着した。足取りが重い小松部長についていく太地と月人。

 各ファシリティで雰囲気が全く違うように感じる。それはそこにいる人によるものなのか、建物のインテリアデザインのせいなのかは分かりかねるが、とにかく太地にとってterraはあまり居心地のいい空間に感じなかった。

 他と比べて小さい規模だが、面積の問題ではない。やはり雰囲気だ。

「ここだ」

「はい」

 二人とも言葉が少ない。そのままノックして会議室に入っていく。向かって正面に一人……女性? そして両サイドに二名ずつ、それなりに偉そうな人が座っている。


「来ましたね。そこに座ってください」

「どうも~失礼しやす!」

 小松部長がいつものように座る。太地も一礼して座る。部屋も暗く、何とも重苦しい雰囲気だ。

「あなたが六条太地ろくじょうたいち君ね」

「初めまして。六条太地です。よろしくお願いします」

「私はGSDジスドの総司令、不破響香ふわきょうかです。活躍は耳にしていますよ」

「あれがGSDの最高責任者だ。若そうに見えるが、あれでかなりやりてのババアだ。気をつけろよ。」

 小声で説明してくれる小松部長。

「おぉ、お前さんが六条か。私は機動課部長の獅子王郡司ししおうぐんじだ。もう所属は決まったのか? 決まってなければ機動課に来ないか? 君に隊長のポストを用意しようじゃないか」

「お褒めの言葉をいただいて恐縮ですが、僕はすでに探索課に決めました」

 太地がぺこりとお辞儀じぎする。

「そうか! 残念だが仕方ないな! それにしても小松、お前いつもいい才能ばかり先に唾つけるのがうまいのう! 今度はワシの課にゆずってくれよ!」

「アハハ、じゃあ今度、郡司さんが奢ってくれたら、考えてみますね」

 機動課と探索課の中は部長同士だけを見ると悪くなさそうだ。他の人間は沈黙している。司令室の隊員だろうか。

「私は総務課代表の貴船蘭きふねらんです。よろしく」

「よ、よろしくお願いします」

 表面的な怖さやプレッシャーは感じないが、その視線は優しくない。はっきりわかる、この人は誰にも忖度ない態度でことを進めることができる人だ。

「部長の貴船きふねさんだ。あの人を絶対に怒らせるな」

「は、はい。わかりました」

 隣に研究課の羽生部長も座っている。笑顔で会釈えしゃくする太地。

 落ち着いたところで不破司令が話を切り出す。

「話は聞いているかもしれませんが、六条君が区別対抗学戦祭で考案したという【立体戦棋】、このゲームの改良版をGSDジスド機動課の戦術訓練でトレーニングツールとして使用したいと考えています。
 そしてゲームにおける権利は全てGSDに譲渡じょうとしてもらい、六条君には司令室と総務課のほうで特別報酬を検討しているという状況です」

『ものすげー勝手な話だな。こっちの主張とか関係なさそうだな』

「まぁ、別にいいさ。貢献できるならそれはそれで嬉しいことだし」

 念話で話す太地と月人。


「六条君は何か希望する報酬などありますか? 金一封でも他のものでも構いませんよ」

 貴船部長の質問の意図、それは権利を譲渡する対価として何を求めるかということだろう。太地は考える。これからNFNFエヌフと戦う自分に有効な何かを今ここで求める必要があるのだ。

「あの……今後、研究課の練馬ねりますけ隊員と共にローダー装備に関する開発許可をいただきたいです。その際の費用を新しい枠でご準備いただき、自由に使わせていただけるとありがたいのですが……もちろん、出来上がったアイテムは機動課や救援課等他の課の皆さんにも自由に使っていただくということで構いませんので」

「「「 ……  」」」

「太地。それだとあまりお前個人に旨味がねぇぞ。ここはもっと五億円プリーズとか言ってみたほうがいいんじゃねぇの?」

 小松部長が突っ込み、獅子王部長が大笑いする。

「えぇっと、五億円かどうかは別にして、少なくとも今君が主張した内容は普段からGSDジスドが行なっている業務の一つに過ぎません。小松部長の意図することは間違っていないと思いますよ」

 貴船部長の好意的な意見に対し、太地は笑顔で答える。

「組織が求める視点の開発と、僕のような個人が求めるものとではおそらく大きな違いがあると思います。そこまでGSDジスドとしては利にならないようなものを開発するつもりです。
 さらに、この要求は研究課の所員を一人拘束する事と同義です。設備も使わせていただきますから研究課の活動に多少の支障をきたします。なので、羽生部長にもご迷惑をお掛けすることに……
 最低でも一つは自由にやらせていただきたいというのが、希望です」

 貴船きふね部長と不破ふわ総司令が顔を見合わせる。そして羽生部長に目を向ける。

「私は構いませんよ。むしろ六条ろくじょう君の発想に興味があるくらいです。研究課の設備は自由に使って構わないし、練馬ねりま所員も君専属の研究員としてポストを調整しておきましょう」

「……まぁ、羽生部長がそうおっしゃるなら予算次第ではありますが、総務課は六条君の要望を許可しようと思いますが……不破ふわ総司令はどうですか?」

 貴船部長の問いに対し、ニコリと笑って不破総司令が話す。

「あの天才の息子ですからね。むしろ期待しましょう」

 席を立って太地が大きく頭を下げる。


「ありがとうございます!」


 そして不破総司令が続けて話す。

「あと、皆さん……というか小松部長に一つご報告があります。現在GSDジスドの特殊支部を権田財閥に設置することを前向きに検討しています」

「「へ?」」

「権田財閥に置くってどういう意味ですか?」

 嫌な予感がする小松部長。

GSDジスド発足以来、権田財閥からは施設建設だけでなく運営面でも多大な支援を受けてきました。そして目の前に迫るNFNFエヌフのテロ攻撃をより強固な体制で迎え撃つべく、権田財閥と更に深く強い関係を築くことにしました。
 総務課と特殊防衛部、特殊技術部からは賛同を得られています。あとは探索課と調査課ですが、調査課は探索課に一任するとのことでした。小松部長、異論はありませんか?」

「ここまで外堀そとぼり埋められた感がすごいとね。まぁ、反論する理由もありませんが……まさか……」

「小松よ、ワシらも資金不足で動けんのはキツイからのう。まぁ、支部はお前に任せるという話だから頑張って管理せい!」

「はぁ~⁈  なんで探索課で面倒見なきゃいけないんですか? そもそもまだ何も決まってないんですよね? 一体そこで何ができるってんだよ……」

「そこは小松部長の腕の見せ所ということで。ウフフ」

 不破総司令が不敵な笑みを浮かべる。納得いかない小松部長。小松部長に次いで、太地たちも嫌な予感しかしない。


「司令室より命じます。GSDジスド特殊支部は今後探索課の管轄とし、六条太地はその特殊支部の支部長に任命します。支部の詳細については権田財閥に確認するように。 以上です!」


「「えぇー!! それは嫌だ~!」」

 会議室で絶叫する小松部長と太地だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」  ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜

万実
キャラ文芸
う、嘘でしょ。 こんな生き物が、こんな街の真ん中に居ていいの?! 私の目の前に現れたのは二本の角を持つ鬼だった。 バイトを首になった私、雪村深月は新たに見つけた職場『赤星探偵事務所』で面接の約束を取り付ける。 その帰り道に、とんでもない事件に巻き込まれた。 鬼が現れ戦う羽目に。 事務所の職員の拓斗に助けられ、鬼を倒したものの、この人なんであんな怖いのと普通に戦ってんの? この事務所、表向きは『赤星探偵事務所』で、その実態は『赤星陰陽師事務所』だったことが判明し、私は慄いた。 鬼と戦うなんて絶対にイヤ!怖くて死んじゃいます! 一度は辞めようと思ったその仕事だけど、超絶イケメンの所長が現れ、ミーハーな私は彼につられて働くことに。 はじめは石を投げることしかできなかった私だけど、式神を手に入れ、徐々に陰陽師としての才能が開花していく。

処理中です...