Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第三章 関東大一揆、洛外編

第62話 GGライン

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 会議が終わり、ファシリティterraテラを出て探索課に戻る真っ白になった小松部長と太地たいちが今後についてしぶしぶ話を始める。

「太地と月人……お前らとりあえず、財閥のところに行って状況把握な。あのクソッタレババアの話だと、すでに施設やら設備やらが整っているって話だろ? 全て調べて状況を報告しろ」

「……はい」

『めんどくせぇ……』

「その報告を聞いた上で、どう運用して行くかを決めるぞ。嫌な予感はしていたんだが、想像の斜め上をいってたなぁ。ちくしょ~」


「新入社員でいきなり支部長って意味がわからないんですけど」

「お前もあのクソッタレババアに好かれちまったな! 覚悟しろよ。総司令には逆らえねえ。それがGSDジスドの鉄のおきてだ」

「はぁ、鉄の掟ですか……」


 重い足取りで探索課の執務室に戻ってきて扉を開ける。

 ——ガチャ

『よ~し、今度はオイラから行くぞ~! それ~!』

「うわっ! 六太むったさん、やるっスね! 豪速球っスよ。」

『フッフッフ。オイラの豪速球はあのメジャーリーグのレジェンド、ロクロー選手も打てねぇってアイドル界では超有名なのさ! さぁ、次はこの魔球カーブを捕ってみろ!』

「あ……、六太さん……う、後ろ……」

『行くぞ~! 振りかぶって……第2球、投げ——』

 ドゴン!!

『何ほざいてるんだこのバカラニアンが。泣かすぞコラァ!』

 月人が異常に不機嫌だ。太地に助けを求める六太むった

『太地~、あの三日月をなんとかしてくれよ~、オイラちょっと仮想メジャーリーグのピッチング練習をしていただけなのによ~』

「……ハウス!」

 太地の一声に……いやエンドサーフェイスが輝いて六太むったを吸い込む。

『ギャ~、まだ遊び足りね~よ~。ちょっ、ちょっと待っ——』

 六太捕獲完了。


六太むったさん! また今度キャッチボールやりましょうね!」

「おいトンボ。トレーニングが足りてねえなら、お前はとりあえず、腕立て1000回そこでやれ」

「……え?」

「早くやれ! 蹴り飛ばすぞ!」

「はい! やるッス! 部長、虫の居所が悪いっス」

「本当にバカばっかりだわ」

 片瀬かたせがぼやいて宝生ほうしょうが大きく頷く。

 小松部長より状況報告を受けたが他のシーカーたちは特に動揺はない。どうやら司令室から探索課への無茶振りは今に始まったことではないようだ。
 

「そういえば太地さん、権田成美ごんだなるみさんが一階ラウンジでお待ちです。帰宅の際に連絡するようにと……」

「えぇ? あ……まぁ、来る時もリムジン出してもらってたしな。ちょっと悪いことしたかな」

「太地君、女性に対してパシリは不味まずいよ。女性関係で困ったことがあればいつでも僕が相談に乗るからね」

 高杉が大人な雰囲気で太地に手を差し伸べる。

「いやいや、お前は赤い羽根か青い羽専門だろ?」

「ちょっと部長! それは内緒で! 昔の話なんだから」

(なんの事だろう。赤と青の羽? 専門?)

『くだらねぇ話さ。要は高杉の女性の好みが国内航空会社の大手2社に勤めている人って事なんじゃね~の』

「スッチーが好きってことか。本当にくだらなくてビックリした」

「俺は元気な人が好きっス!」

 腕立てしながらトンボが叫ぶ。

『オイラは……強いていうならドーベルマンとブルドックのMIXミックス が気になるかなぁ。ドーブルマン』

「いや凶暴過ぎるでしょ」

 六太むったが顔だけ出して話に入る。高杉が突っ込む。キラキラした眼差しで六太むったを見つめる天月あまつきと片瀬が『可愛い』とつぶやいている。隣でトンボは腕立て……全てを無視して事務作業をこなす宝生ほうしょう。小松部長は笑っている。


 なるほど、カオスだ……これが探索課。むしろ無茶振りの支部長を受け入れて頑張った方がいいのかも……と、考える太地だった。


 * * *


 ファシリティstellaステラ一階に降りてきた太地たち。ラウンジで権田姉妹を見つける。もはやクルミがGSDジスドにいる光景も違和感がないように見えてくる。


「お疲れ様です。今終わりました」

「お疲れですわ!」

「太地ですわ~」


 合流した後、成美は早速太地を連れてどこかへ向かう。いつものリムジンに乗り込むロータリーの方向ではない。建物裏口から出て、しばらく歩くと小さな扉がついたコンクリートの塊が見えてきた。

「どこへ向かうつもりなんですか?」

「秘密の地下通路ですわ」

 そう言って、扉の電子錠を解除して中へ入る。お辞儀するスタッフを通過してエレベーターで地下階へ降りていく。かなり深く下がっているようだ。 
 30秒ほどしてエレベーターが止まる。

「着きましたわ」

「うぉ~、これって地下鉄の駅?」

 そう。そこに広がっていたのはまるで地下鉄のホームのようなリニアな空間だった。そして一車両だけの電車が待機している。

権田財閥ごんだざいばつGSDジスドを結ぶホットラインですわ。片道15分ですわ!」

「「なんだって~! 」」


「すげぇ……なんでそんなものあるんですか? ていうかいつこんなものを……」


かく乗るのですわ。話はその後ですわ」


 ふかふかのシートに座る太地とクルミ。その向かいに成美が座ったのち、電車が動き始める。


「太地さんが無事にGSDジスドの隊員になったということで、不破ふわ総司令より、このホットラインのことを開示する許可をいただいたのですわ。それまでは国家機密で非公開案件でしたの」

「あぁ、なるほど。昔からお城とかにもある、逃げ道ってことか」

『なるほどな……もともとお偉いさんがたの避難用に造られていたんだな? テロを受けた時とか、予期せぬ震災とかで施設が崩壊した時のために』

「その通りですわ。二人とも理解が早過ぎてちょっと面白くないのですわ……」

 不満そうな成美。もっと驚いて欲しかったようだ。

「財閥のゼネコンである権田建設がJV(共同企業体)を組んでGSDジスドの施設を建設したのですわ。その際にこの脱出ルートも権田財閥からGSDへ地下深くに通したのですわ。ワタクシはGSDに入隊した際にお父様から聞かされましたの。
 そしてワタクシはこのホットラインをGGラインと命名しましたわ! 今後はワタクシたちと探索課が使用しますわ」

(GGラインって、GONDA – GSD line ってことか……)

『そりゃ、総司令も権田財閥を巻き込む選択を選ぶわな。すでに色々と知られているわけだからなぁ』

 そうこうしているうちに、GGラインは権田財閥に到着した。エレベーターで地上階へ上がっていく間に複数層の地下フロアを通過した。


 ——チン

「地上階に到着しましたわ。少し話したいこともありますし、客間へ向かうのですわ」

「了解です」


 17時を過ぎ、太陽が低い位置でオレンジ色に輝いている。客間の大きなガラス窓からソファーに座る太地に向かって強い光がおし寄せる。正面に座っている成美が妙に静かな気がする。

 コーヒーカップとソーサーを両手で持って口へ運ぶその所作が非常に上品に見える。さすがは財閥令嬢。その成美の顔の左側を容赦なくオレンジの光が照らし続ける。
 一向に動じない成美。ローテーブルにカップとソーサーを静かに置いて、太地の顔を真っ直ぐに見つめて話し出す。



「GSDにはスパイがいますわ」
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