Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第三章 関東大一揆、洛外編

第64話 始まりの狼煙

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 食事を終えて、部屋へ戻ってきた太地たいちたち。

『ちっちゃい部屋だなぁ~。このオイラが使う寝室としてはグレードが低すぎるぜ。もっとお嬢みたいなでっかい––』

「……ハウス」

『またかよ~』

 六太が自分の犬小屋に帰っていく。何事もなかったかのように話を続ける太地と月人。全ての可能性が0ではないように思えてくる。ちょっとまとまりそうにないから一旦この話は頭の片隅に置いておこう。

『とりあえず、また明日トレーニングから始めようぜ。悩んでいても仕方ないからな』

「そうだね。今日はもう休もう」


 * * *


 11月30日 1:10––

 深夜、巨大な爆発音とともに大きな煙が巻き上がる。その煙の中で建物が業火にのまれていく。福島県いわき市役所と隣接された合同庁舎がテロの標的となった。


 太地の枕元に置かれたGSDジスド支給のスマホが鳴り響く。
 眠くて鈍い動きで電話に出る。

「……もしもし」

「太地君か! 高杉だ! 15分前にテロ事件が発生した」

「なんですって!」

 一気に目が覚める太地。高杉からはあと10分で太地の家付近の公園に到着するからそこで待機するようにとの指示だった。急いで準備をして公園へ向かう太地。

『始まったのか……』

「いや、全く分からないよ。まずは高杉さんと合流だ」


 公園で合流した太地と高杉壮一郎そういちろう、そして天月千鶴《あまつきちづる》も一緒にいる。

「今からいわき市に向かう。調査課がくる前に我々で事前に現場確認だ。敵が潜んでいる可能性もあるからね」

「どうやって向かうんですか? この時間、電車もないですよ」

「大丈夫。ちょっと下がってて」

 そういって高杉が両手を前に伸ばす。

「ロード、 ミニマルジェット」

 その瞬間目の前にジェット機が現れた。ものすごくコンパクトでスタイリッシュだ。

「「うお~! すげー! 」」

 太地と月人が興奮している。六太は顔だけ出して無表情だ。天月もたいして興味がないらしい。

「とりあえず、四人乗りにした。話は後だ。まずは乗って出発しよう!」


 四人が乗り込んで爆音が出るのかと思いきや、電気自動車のように音が静かだ。高杉が慣れた手付きで操縦している。何から何まで初体験で驚いている太地。

「とりあえず、30分以内に着くと思う。それまでに状況を整理しよう。1時10分頃、いわき市役所で爆破テロが発生した。市役所と合同庁舎が爆破されたと報告が入っている。僕らでまずは現場確認して、その後調査課に入ってもらって徹底的に調べる」

 高杉が運転しながら慣れた感じで話を進める。

「天月さんは到着前に上空からアレお願いね。太地君は到着後にテロリスト対応して欲しい。月人と一緒に」

「「「了解!」」」

『そうちゃん! オイラは何をすればいい? 指示をくれ!』

 六太むったが尻尾を振って高杉の方を見ている。ニヤリと笑って高杉が指令を出す。

「むっちゃん! 君に重要な任務を与える。あとで天月さんはとてつもなく疲れちゃうから、今からそばにいて、彼女を癒してあげてくれ。そして地上へ降りた後はテロから天月さんを守るんだ」

『よっしゃ~! 任せとけ~ 千鶴、オイラが側にいてやるからな』

 六太むったがジャンプして後部シートに座っている天月の膝の上にちょこんと乗っかる。

「可愛い!!」

 六太むったの背中に頬を当ててスリスリする天月。とても幸せそうだ。そして六太むったも満更ではなさそうだ。それを見て、ちょっとジェラシーを抱く太地。


「天月さん、そろそろだ!」

「了解!」

 天月がゆっくりとサングラスを外していわき市役所の方を向く。

「見透かされた世界」

 その瞬間指輪のエンドサーフェイスがキラリと光り、連動するように天月の眼が淡い光を放つ。

「炎が燃え上がっています。煙が建物周囲を覆いつくしていますね。この時間帯ということもあって、周囲に人はいません。建物の中も探ってみます」

「お願いします! 太地君、月人との距離は限界でどれくらい遠隔ロードできるの?」

「今は100mくらいなら長時間も維持できると思います。月人の動き次第でもありますが」

「オッケー。それはすごいな。助かるよ」

 天月が目を凝らして探り続ける。そして何かに気付く。

「建物内に人はいないようです。夜間警備員も無事のようですね……ん? いわき庁舎と合同庁舎の間にある平面駐車場に誰かいます。おそらく五人ですね」

「こんな時間のこんな状況で?」

「……! あれは……能面《のうめん》です。 白鬼能面と、白の羽織を着た四名です。」

『白鬼能面だと! また人型のアイドルか?』

「いや……角のないお面をつけた人間のようですね。彼らは……なんと言いますか……羽織を着た武士のようですね。こちらも認識されました。笑っています」

NFNFエヌフで間違いないな」

 高杉が少し間をあけてから話し始める。


「よし、それでは今から作戦を話す。まず、このままNFNFエヌフがいるところまでぶっ飛ばします。空中でロードを解除するから、みんなで落っこちるよ。 俺と太地君は前方の敵からの攻撃を一応警戒。月人は落っこちる天月さんをサポートね。
 天月さんはその後、いいポジション探して周囲を警戒し続けて。何かあったらエンドサーフェイスでリンクして情報共有って感じで」

「「「了解!」」」

 オレンジと赤が混じり合った炎が煙とともに立ち昇っているのが見える。もうすぐ到着だ。そして高杉が続ける。

「月人もまずは相手を倒さずに様子を見てくれるか? とにかく情報が欲しい。テロがこれで終わりとは思えないからね。 無駄だと判断したら捕虜として捕らえる。殺しちゃダメだよ」

『あぁ、わかってる! 任せろ!』

『そうちゃん! オイラはどうしたらいい⁈  オイラにも指示をくれ!』

「むっちゃんは天月さんの側を絶対に離れるな。万が一敵から奇襲を受けたとしても必ず守れよ! レディを傷つけるなんて、ポメラニアイドル失格だからな!」

 高杉なりにげきを飛ばし、それに六太むったも笑顔で応える。

『任せろ! この黒のチリ毛を懸けて、千鶴はオイラが守ってみせるぜ!』

『そこは命かけろよ。バカラニアン』

 クスクスと笑う天月千鶴と太地。そして高杉が号令をかける。


「よし! 準備はいいな⁈ 行くぞ!」


「「「はい!」」」
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