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第三章 関東大一揆、洛外編
第85話 犯行声明を読み解け!
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12月9日 9:00—— 権田支部
司令室で地図を超至近距離で凝視する成美に太地と月人が声をかける。
『とりあえず、もう少し離れたらどうだ? お嬢』
「そうですよ。僕らも見えづらいですしね」
「何もわからないのですわ! 一体どうするのですわ!」
改めて、今回の犯行予告を確認してみる。
《無能さを知らずに哀れに散っていった愚民共、そして観る価値のない三流喜劇を演じてくれたゴミ政府の諸君へ、ここに心から敬意を表し、その気概に対し誠実に応えていく所存である!
そして我々NFNFは関東大一揆をまた一歩洛中へと進撃する。
12月15日 10:11 12:14 19:09
この世の無慈悲な愚民共に惨き制裁を! 》
(その気概に対し誠実に応えていくというのは、正面から受けて立つという意思表明だろう。前回と違う点は……)
『また一歩洛中へと進撃する、だな』
月人とは意思疎通できているようだ。
「そうだね。これで洛中へはまだ入っていないということが確定した」
「何のことですわ?」
「NFNFは……いや、関東大一揆を起こす連中は、まだ洛外にいるんですよ。そして次回の三箇所も洛中へ向かって一歩進むというメッセージと読み取れると思うんです」
『洛中ではないってことは少なくとも東京ではないってことだ。もしくは横浜エリアのように東京周辺の栄えた都市も除外できる可能性が高い』
「進み方がわからないんだよ。そこが問題なんだ」
『まぁな。どれくらいの【一歩】かがわからねぇってことだろ?』
「うん。そうなんだ。文章の意味としては東京と周辺は除けると思うんだけどなぁ」
「ちょっと何を言っているのかさっぱりわからないのですわ!」
除け者扱いされているようで不機嫌になる成美。
『お嬢、まず一揆は洛外<関東圏外エリア>から洛中<東京>へ向かっているはずだろ? ここまでは洛外の中での進軍で、そこから一歩ずつ洛中へ向かっているとNFNFが言っているわけだ。ところが、実際の奴らの進行を辿ってみると、いわき市から長野市でその後、静岡県藤枝市だ。この時点で変だろう? 東京へ進軍していないぜ』
「……確かに。大きく迂回していますわ」
「しかも、前回の犯行予告でも『一歩進撃する』って言っているんですよ。ところが狙われたのは藤枝市だった。その後も諏訪市で那須郡です。大きく迂回していますよね。僕は藤枝市の後は箱根か御殿場を予想していました。洛中<東京>へ近づくという意味で」
『でも狙われたのはまさかの諏訪市だった……わけわからねぇよ』
「なるほどですわ。確かに変ですわ」
太地は少し考えてから、何気に地図の赤いシールを見直す。
「何かを僕らは勘違いしているはずなんですよ。でもその何かがわからない。宍土は絶対にルールを守る男です。もう今回の犯行予告文から十分にそれは理解できました。後は僕らがどんな情報を見逃しているのかです」
『しかし、それがわからん……』
「100%ではないけれど、次も北関東圏か東海エリアだと思う。もっと内側には来ないはずだ」
『その辺りにヤマはって配置するのも悪くねぇかもな』
「では、そのあたりは次回小松部長含めて決めるのですわ!」
* * *
権田支部のトレーニングルームで月人が成美と片奈を指導している。トンボと太地がペアになってスキルの研究をしている。非常にレアな組み合わせだ。そして六太がモチベーションを上げるために白衣を着て薬局コーナーを設けて雰囲気づくりをしている。回復薬の調合は結構大変みたいだ。その傍らで六太を見守りながら、千鶴が話をしたそうにモジモジしている。
『くそ! オイラは製薬会社の下請け工場じゃねぇぞ。何でこんなことになったんだ。薬局コーナーの書割だとイマイチやる気が出ねえな。やはりここはドラッグストアの舞台セットを……』
「むっちゃん、ちょっと相談があるんだけど」
『ん? どうした?』
「私のスキルのレベルをもっとあげたくて。自分の目で見えたものを言葉やエンドサーフェイスのリンクを通してシーカーに伝えるのって、ワンテンポ遅れちゃうよね? それをリアルタイムで瞬時に伝えたいの」
『う~ん。千鶴が見えている世界そのものを仲間に見せるってことか?』
「うん。理想はそういうことかな。私は相手の考えを「みる」ことができるわけだから、伝える相手にもそのままみたものを頭の中に映し出してあげたいなと思って」
『……お前の身体がぶっ壊れちまうかもなぁ……ちょっと考えておくよ。とりあえず、千鶴は精神集中のトレーニングに時間を掛けておいたらいいと思うぞ』
頷いてお礼を言う千鶴に格好つけようとする六太だが、尻尾が嬉しそうにブンブン回っていた。
一方、成美はひたすら基礎トレーニングをこなしていた。月人からは弓で遠距離攻撃のローダーは探索課にとって貴重と言われた後、ひたすら広背筋や腕力、握力、指の力を鍛えるトレーニングを行っていた。
「月人さん、もう一週間近く同じメニューばかりこなしていますわ」
『そうだな。お嬢は割と基礎体力があるから、かなり進んでいるかもな。太地はひどかったからなぁ。あれよりはトレーニング内容は全然マシだぞ』
「そう言われると何も文句が言えないのですわ……」
そして、月人は闇夜刀を出して目を閉じたままの片奈のもとへ向かう。
『いいか、闇のイメージをもう少し広げろ。闇夜刀はお前のBloody Codeを読み取って生まれた名刀だろ? 斬るだけなら日本刀でいいだろ。もっと闇夜刀独自の剣技を身につけろ!』
頷く片奈に褒美とばかりに相手役のトレーニングドールを作り出す月人。何と一体ではない。百体ほど出した。
「えぇ⁈ こんなに?」
『そうだ! このドールは本気で片奈をぶっ殺すように設定してあるから長時間大勢のローダーと相手するトレーニングとして最適だぞ!』
『……はい。あ、ありがとう……』
その様子を見ていた成美は自分がまだマシだと知る。いや、いずれあのフェーズに行くのかと思うと気が重くなるのであった。
一方、太地とトンボは対戦形式でお互いの能力を把握していた。
「フゥ~。なるほど、太地のポゼッションは身体の一部を強化してるっスね。それを瞬時に切り替えて戦うスタイルっス」
「はい。そうですね。トンボさんの『友の力』って虫の特徴を自分の身体に宿して戦うって感じですか?」
「そうっス。俺が見たことあるいろんな虫全てに対して使える技っス。ディープアマゾナイトでつくりだしてるっス。これがないときは探索専門で、戦闘は中途半端だったっんスよ」
「この前のNFNFの自爆攻撃って黒なんとかって虫で防いだんですよね?」
「クロカタゾウムシっス。車でひかれても死なないくらいに硬い殻を持ってるっスよ!」
「すげー! 完璧な防御ですね。同時にそれでパンチ打ったら相手へのダメージがすごそうですね」
苦笑いしながら答えるトンボ。
「いや、クロカタになった時、パンチにスピードが出せなくて当らないっスね。結構重くて動くので精一杯の虫で。自分たちもそれで羽を開くことができなくなったって」
太地が少し考える。そしてとある提案をトンボに話してみると……
「それいいっスね! 楽しそう! 今度やってみるっス!」
「じゃぁ、ちょっと練習しましょうか! もっとトンボさんの今あるスキルを教えて欲しいです!」
「いいっスよ!」
その様子を遠くで見ていた月人も喜んでいた。
『あとは太地にフリーハンドを使えるようにしたいところだが……もう少しステータスの数値をあげないとだな……赤鬼との勝負には間に合わねぇか』
トレーニングは誰も止めることなく、夜遅くまで続いた。
司令室で地図を超至近距離で凝視する成美に太地と月人が声をかける。
『とりあえず、もう少し離れたらどうだ? お嬢』
「そうですよ。僕らも見えづらいですしね」
「何もわからないのですわ! 一体どうするのですわ!」
改めて、今回の犯行予告を確認してみる。
《無能さを知らずに哀れに散っていった愚民共、そして観る価値のない三流喜劇を演じてくれたゴミ政府の諸君へ、ここに心から敬意を表し、その気概に対し誠実に応えていく所存である!
そして我々NFNFは関東大一揆をまた一歩洛中へと進撃する。
12月15日 10:11 12:14 19:09
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(その気概に対し誠実に応えていくというのは、正面から受けて立つという意思表明だろう。前回と違う点は……)
『また一歩洛中へと進撃する、だな』
月人とは意思疎通できているようだ。
「そうだね。これで洛中へはまだ入っていないということが確定した」
「何のことですわ?」
「NFNFは……いや、関東大一揆を起こす連中は、まだ洛外にいるんですよ。そして次回の三箇所も洛中へ向かって一歩進むというメッセージと読み取れると思うんです」
『洛中ではないってことは少なくとも東京ではないってことだ。もしくは横浜エリアのように東京周辺の栄えた都市も除外できる可能性が高い』
「進み方がわからないんだよ。そこが問題なんだ」
『まぁな。どれくらいの【一歩】かがわからねぇってことだろ?』
「うん。そうなんだ。文章の意味としては東京と周辺は除けると思うんだけどなぁ」
「ちょっと何を言っているのかさっぱりわからないのですわ!」
除け者扱いされているようで不機嫌になる成美。
『お嬢、まず一揆は洛外<関東圏外エリア>から洛中<東京>へ向かっているはずだろ? ここまでは洛外の中での進軍で、そこから一歩ずつ洛中へ向かっているとNFNFが言っているわけだ。ところが、実際の奴らの進行を辿ってみると、いわき市から長野市でその後、静岡県藤枝市だ。この時点で変だろう? 東京へ進軍していないぜ』
「……確かに。大きく迂回していますわ」
「しかも、前回の犯行予告でも『一歩進撃する』って言っているんですよ。ところが狙われたのは藤枝市だった。その後も諏訪市で那須郡です。大きく迂回していますよね。僕は藤枝市の後は箱根か御殿場を予想していました。洛中<東京>へ近づくという意味で」
『でも狙われたのはまさかの諏訪市だった……わけわからねぇよ』
「なるほどですわ。確かに変ですわ」
太地は少し考えてから、何気に地図の赤いシールを見直す。
「何かを僕らは勘違いしているはずなんですよ。でもその何かがわからない。宍土は絶対にルールを守る男です。もう今回の犯行予告文から十分にそれは理解できました。後は僕らがどんな情報を見逃しているのかです」
『しかし、それがわからん……』
「100%ではないけれど、次も北関東圏か東海エリアだと思う。もっと内側には来ないはずだ」
『その辺りにヤマはって配置するのも悪くねぇかもな』
「では、そのあたりは次回小松部長含めて決めるのですわ!」
* * *
権田支部のトレーニングルームで月人が成美と片奈を指導している。トンボと太地がペアになってスキルの研究をしている。非常にレアな組み合わせだ。そして六太がモチベーションを上げるために白衣を着て薬局コーナーを設けて雰囲気づくりをしている。回復薬の調合は結構大変みたいだ。その傍らで六太を見守りながら、千鶴が話をしたそうにモジモジしている。
『くそ! オイラは製薬会社の下請け工場じゃねぇぞ。何でこんなことになったんだ。薬局コーナーの書割だとイマイチやる気が出ねえな。やはりここはドラッグストアの舞台セットを……』
「むっちゃん、ちょっと相談があるんだけど」
『ん? どうした?』
「私のスキルのレベルをもっとあげたくて。自分の目で見えたものを言葉やエンドサーフェイスのリンクを通してシーカーに伝えるのって、ワンテンポ遅れちゃうよね? それをリアルタイムで瞬時に伝えたいの」
『う~ん。千鶴が見えている世界そのものを仲間に見せるってことか?』
「うん。理想はそういうことかな。私は相手の考えを「みる」ことができるわけだから、伝える相手にもそのままみたものを頭の中に映し出してあげたいなと思って」
『……お前の身体がぶっ壊れちまうかもなぁ……ちょっと考えておくよ。とりあえず、千鶴は精神集中のトレーニングに時間を掛けておいたらいいと思うぞ』
頷いてお礼を言う千鶴に格好つけようとする六太だが、尻尾が嬉しそうにブンブン回っていた。
一方、成美はひたすら基礎トレーニングをこなしていた。月人からは弓で遠距離攻撃のローダーは探索課にとって貴重と言われた後、ひたすら広背筋や腕力、握力、指の力を鍛えるトレーニングを行っていた。
「月人さん、もう一週間近く同じメニューばかりこなしていますわ」
『そうだな。お嬢は割と基礎体力があるから、かなり進んでいるかもな。太地はひどかったからなぁ。あれよりはトレーニング内容は全然マシだぞ』
「そう言われると何も文句が言えないのですわ……」
そして、月人は闇夜刀を出して目を閉じたままの片奈のもとへ向かう。
『いいか、闇のイメージをもう少し広げろ。闇夜刀はお前のBloody Codeを読み取って生まれた名刀だろ? 斬るだけなら日本刀でいいだろ。もっと闇夜刀独自の剣技を身につけろ!』
頷く片奈に褒美とばかりに相手役のトレーニングドールを作り出す月人。何と一体ではない。百体ほど出した。
「えぇ⁈ こんなに?」
『そうだ! このドールは本気で片奈をぶっ殺すように設定してあるから長時間大勢のローダーと相手するトレーニングとして最適だぞ!』
『……はい。あ、ありがとう……』
その様子を見ていた成美は自分がまだマシだと知る。いや、いずれあのフェーズに行くのかと思うと気が重くなるのであった。
一方、太地とトンボは対戦形式でお互いの能力を把握していた。
「フゥ~。なるほど、太地のポゼッションは身体の一部を強化してるっスね。それを瞬時に切り替えて戦うスタイルっス」
「はい。そうですね。トンボさんの『友の力』って虫の特徴を自分の身体に宿して戦うって感じですか?」
「そうっス。俺が見たことあるいろんな虫全てに対して使える技っス。ディープアマゾナイトでつくりだしてるっス。これがないときは探索専門で、戦闘は中途半端だったっんスよ」
「この前のNFNFの自爆攻撃って黒なんとかって虫で防いだんですよね?」
「クロカタゾウムシっス。車でひかれても死なないくらいに硬い殻を持ってるっスよ!」
「すげー! 完璧な防御ですね。同時にそれでパンチ打ったら相手へのダメージがすごそうですね」
苦笑いしながら答えるトンボ。
「いや、クロカタになった時、パンチにスピードが出せなくて当らないっスね。結構重くて動くので精一杯の虫で。自分たちもそれで羽を開くことができなくなったって」
太地が少し考える。そしてとある提案をトンボに話してみると……
「それいいっスね! 楽しそう! 今度やってみるっス!」
「じゃぁ、ちょっと練習しましょうか! もっとトンボさんの今あるスキルを教えて欲しいです!」
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