Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

文字の大きさ
96 / 133
第三章 関東大一揆、洛外編

第96話 やる気を出したポメ公

しおりを挟む
 12月16日 19:00—ファシリティ stellaステラ 食堂

 ファシリティ terraテラを出て探索課へ戻った小松部長と太地たいちらは執務室に残っていた宝生ほうしょう、高杉と共にGSDジスドの食堂へ向かった。色々あり過ぎてドタバタしていたせいか、夕食をGSD施設内で食べることは太地にとって初めての事だった。

「よし! お前ら最近頑張ってるから今日は俺のおごりだ。好きなもの食え、そして飲め」

「「「あーざーす!」」」

「小松部長がいるから多分みんな飲むよ」

「え? 僕は未成年ですから無理ですけどね」

「あっ、そうだったね。太地君まだ未成年なのか……
 活躍がやば過ぎてもう成人だと勘違いしちゃってたな。そうなると月人つきとも仕事終わりのビールの味が共有できないのかぁ……残念だね」


『味わってみてぇなぁ……ビール』


「さすがにこれは仕方ないよ。炭酸水で我慢して」


「グラス持ったか~。今日は権田支部の優秀な部下たちが犯行予告の解明に成功した! これだけで大きな成果といえるぞ! 今後はどうやってNFNFエヌフを出し抜いて完封勝利するかを考えるぞ~。とりあえず、おつかれさんの乾杯だ!」

「「「乾杯!」」」


 今日の炭酸水は格別に美味く感じた。太地自身、予告文の謎はずっと解けそうで解けない感じで、に引っかかっていた存在だった。不思議なことに呼吸すら以前より心地よくできている気がする。
 


『明日からスッキリした気分でトレーニングできそうだな』


「うん! 後の作戦や配置は小松部長や高杉さんに任せて僕はスキルアップに集中するよ」



 * * *


 12月17日 9:00— 権田支部トレーニングルーム

『成美! そうじゃねぇって! もっとお前のBloody Codeからダイレクトに伝わってくるイメージを素直に受け入れるんだ! 千鶴からの視覚共有を鮮明かつロスの無い状態で脳内にガッチリ掴み取れ!』

「言っている意味が全くわかりませんわ! どうすればそのイメージを素直に何とかできるのですわ⁈」


 六太むったが白のタンクトップにジャージ姿でサングラスを掛けて竹刀を持っている。どうやら昔懐かしのスパルタ体育教師というテーマみたいだ。竹刀を勢いよく振り回して床に叩きつける。迫力の無いペチペチと可愛い音が鳴っている。

「オラオラ~! できね~なら次回も成美のおでこにオイラの肉球マーク刻印確定だぞ! 今度は永久保存版だ!」

「ソレは絶対に嫌ですわ~」


「むっちゃん……可愛い」


 朝から熱血指導だ。太地も負けていられない。

『あのバカポメが珍しく張り切っているな』

「昨日、家に帰って来なかったね。クルミちゃんが言ってたけど、夜もずっとトレーニングしていたらしいよ。 それで朝はちゃんと 『今日のワン公』をチェックしてたみたい」

『ヘェ~。お嬢もやるね~』

「僕が気になったのは……むっちゃん朝ごはん美味いって言いながら食べていたらしいんだ……」

『なんだど! そんなことできるわけねえぞ!』


 そう、六太むったは太地のBloody CodeとDeep Amazo-night首輪型エンドサーフェイスからロードされているアイドルだ。太地の味覚を共有することはできても、自分で食事をることなど不可能なはずだ。


『あのポメ公……何か隠してやがるなぁ』

「昨日のドーナツを見つめるむっちゃんの目は血走って必死だったからなぁ。何か機転をきかせたのかもね」


 二人がジッと六太むったを見ていることなど気づかないくらい、は今指導に集中している。

『千鶴、お前のディープアマゾナイトで既にスキルになってるって言ってるだろ! 脳みそを六分割して視界を監視カメラのモニターみたいに六箇所映し出せ! オイラを信じろ、千鶴ならできるぞ! まずは二分割からだ!』

「うん、わかったわ。やってみる」


「「……」」

「僕たちもやろう!」

『そうだな。で、なんか考えがあるって言ってたよな?』


「うん、現状でいきなりフリーハンドのスキルを使えるとは思えなくてね。その前にちょっと今できる技のクオリティーをあげておきたくて」


 月人はまず太地の話を聞くことにした。

 現状太地の一撃の技としてはpossession憑依してからの威力をためた右ストレート『ライフル』、そしてライフルより多少威力が落ちることは仕方がないという考えで、両腕からパンチを素早く打ちまくる『エアガン』の2つだ。

 しかし、どちらも赤鬼レベルのNFNFエヌフローダーには五発中一発は避けられるか、もしくは防御されていた。つまり次に戦う赤鬼部隊にはもっと防がれるということだ。


「まず、戦闘シーンを振り返ると開始からしばらくの間はミドルレンジ中間距離での打ち合いが多いんだ。その後どんどん荒れてきてインファイト接近戦も増えてくるって感じ」

『敵の数が多いとそうなるわな』


「そうそう。冷静に考えると、インファイトでは防がれたことがないんだ。つまりそこまでの遅い動きってことではないみたい。要はミドルレンジでガンガン当てたいわけ」

『当たった奴らは倒しているんだろ? 確かに太地のステータスは力が高くないから心配するのはわかるが、憑依ひょういという形で俺の能力引き出しているわけだから十分強力だと思うぜ』


 うんうんと同意する太地だが、求めているのは力をアップすることではなかった。

「なんというか……豪快な一撃を喰らわせる戦闘スタイルは僕には合っていない。理想のスタイルは『スピードUPして正確に急所を撃ち抜く鋭い一撃』って感じのイメージなんだけど、どうだろう?」


『いいんじゃねぇか! その理想に近い形で戦えるようにトレーニングプランを練ってみるか。まぁ、今後も俺たちが一緒に戦うか離れるかは小松のおっちゃん次第のところもあるしな。太地自身がレベルアップしないと––』


 バシュ!!

 突然、月人の目の前を矢が飛んできた。さらっとかわす月人。

「え!!」

 驚いて振り向く太地の目に飛び込んできたのは六太の指示で弓を放った成美だった。


「月人さん! 大丈夫ですわ!」

『三日月人~大丈夫か? まぁ、オメーが当たるわけねーわな。よし! 成美、次だ!』


『……ちょっと待て、このバカポメが!! 何しやがる!』


『わ、悪かったって。 まぁ、そう怒るなよ。ちゃんと太地ではなく、避けられるお前を狙ったんだからさ。オイラもちゃんと考えた上で指示を––』


 ゴン!!

 大きなタンコブを頭にのせた六太がヘロヘロになって太地のもとへ歩いてくる。


『おい太地。ちょっと成美たちとの連携攻撃のトレーニングに加わってくれよ』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】

道雪ちゃん
ファンタジー
2024年の年末、世界中に突如ダンジョンが出現した。 大学生・三上ひよりも探索者になることを決意するが、与えられた職業は――世界で一人しかいないユニーク職「Lv.1チンピラ」。 周囲からは笑われ、初期スキルもほとんど役に立たない。 それでも、生き残るためにはダンジョンに挑むしかない。 これは、ネット住民と世界におもちゃにされながらも、真面目に生き抜く青年の物語。 ※基本的にスレッド形式がメインです

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

処理中です...