Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第四章 関東大一揆、洛中編

第123話 黒鬼隊長の実力

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『フフフ……まずは一人……』


『テメェ、絶対に許さねぇぞ! 忍ポメ殺法<六太刀ろくのたち>!』

 猛烈な勢いで襲いかかる六太むったの一撃をかわして再び煙の中へ消えていく黒鬼。

 突き刺さった日本刀を抜かれて千鶴の腹部から血が吹き出す。


『しっかりしろ! 千鶴! ポメナインM軟膏!』



「む……むっ……ちゃん……ごめん……」

『いいから無理に喋るな! オイラが必ず何とかしてやる!』


 六太は治療薬を傷口に塗った。みるみるうちに傷口が塞がっていく。辛そうな表情をしていた千鶴だったが、徐々に落ち着いてきたのか和らいだ表情で目を閉じてしまう。


『千鶴! おい! 目を覚ませ!』


「むっちゃん、待って! 刺されて時間が経ち過ぎた! 過度の出血をしたから貧血とめまいを起こして気絶したんじゃないか? ここは危ないから僕が医療課へ連れて行くよ」

 高杉が冷静に六太を落ち着かせる。多少気が落ち着いたのか、頷いて千鶴を高杉に任せる。


『そうちゃん……頼んだ。こっちはすぐに終わらせてオイラも医療課へ向かうから』

「うん。任せて。天月さんは死なせないから」


 そして高杉は医療課へ向かった。


『さてと……オイラを本気で怒らせちまったな……』


 再び黒鬼が六太の前に現れる。

《六太さん、援護は必要ですわ?》

 成美が弓で相手に狙いを定めている。いつでも放てる状態だ。

《いや、こいつはオイラ1匹でやる。それよりもお前ら二人に黒鬼が近づいているから気をつけろよ》
    
《わかりましたわ。ではトンボさんと都庁防衛に集中しますわ》


『一応名前だけ聞いてやる』

『黒鬼三番隊隊長、斎藤一さいとうはじめだ』

『オイラは六太だ。斎藤、お前……アイドルだな』

 ニヤリと般若はんにゃの能面が笑ったような気がした。一般的な般若面とは違い、どこか凶悪なイメージが付与されている。


 シュッ!


 一瞬で斎藤が六太に詰め寄ってひと突き。それをかわしてカウンターで強烈な両後ろ脚の蹴りを喰らわせる。斎藤のアゴがカチ上げる。

『ゲハッ!』

『忍ポメ殺法、六太刀』

 ズバッと六太の小刀が斎藤の右腕を斬り落とす。

『っっ!!』

 思わずバックステップで距離をとった斎藤に六太が追いかけてトドメの一撃を喰らわせようとした時、六太には斎藤の般若能面がニヤリと笑った気がした。

(なんだ……この妙な感じ……!!)


 ザシュ!

 背後から斬り落とした斎藤の右腕が勝手に動いて日本刀で六太の背中を斬りつける。咄嗟とっさに身体をひねって何とか致命傷を避ける。


『くそ……時間がなくてアイドル用の治療薬を作ってねえ……ここでおっ死んだら太地たいちのいる永田町からリロードされちまう。そうなったらまずいぞ』


 斎藤の右腕と胴体が煙でつながっている。


『そうか。お前の属性は空気なんだな……【煙】か』




 * * *

 一方その頃、トンボと成美は四番隊隊長松原忠司と五番隊隊長武田観柳斎かんりゅうさいに苦戦していた。どちらも黒鬼般若だがやはりどこか普通とは違う気迫を感じる能面。

 新都庁エントランス前で突然の銃声から攻防が始まり、煙が残る視界の悪い状況で成美は幾度も狙われる。なんとかギリギリのところでかわせているのは小松部長のバフスキルのおかげだ。気配を察する力とスピードが大幅にアップしていたことで避けられていた。

 そして攻撃に転じて矢を放つものの、狙撃で全て落とされてしまう。相当な腕前だ。成美が狙撃を警戒しているとトンボにその銃口が向けられる。トンボは左腕をスキルで硬くし、弾丸を弾いているが気を抜くとやられそうな状況だ。

 さらに視界が悪いことを利用し、超が付くほどの力自慢の武田がじわじわとトンボに近づいていた。

「うぉらあ!」

 狙撃に注意が散らされて、突然の突っ込んできた武田の渾身の一撃を何とかガードするトンボだったが、そのまま都庁エントランスへ吹っ飛ばされて壁を破壊する。

「グハッ!  クソ! 馬鹿力……やばいっスね」

 とんでもない一発を喰らってヘロヘロになったが何とか立ち上がるトンボ。

「ほう、我がスキル破壊の一撃を喰らって生きているとは。やるではないか」


「一応、鍛えてるっスからね。それにいきなりやられたらかっこ悪いっスから」

(とはいえスキルでクロカタゾウムシの硬さでガードしたのに……かなりダメージ受けたっス。あの一撃はもう喰らえないっすね……)


「そんなヘロヘロでは我が鋼の肉体に傷などつけれんぞ! 諦めて死ね」


「……ダブルエレメント<ヘラクレスオオカブト、トノサマバッタ>」
 トンボがボソッと呟く。

「なんだ? ピンチで気が狂ったか? 虫の名前なんぞ……」



 トンボが強靭な脚力で一気に間合いを詰める。あまりに速すぎでついてこれない武田。

「ヘラクレスショット!」

 ボディーに強烈な一撃。武田の体がくの字に曲がって後ろへ2、3歩ふらつく。

「これで終わりっすよ。 ジャンピング!」


 強靭なバッタの脚力とカブトムシの突き上げるツノの力を掛け合わせた一撃。ノーガードだった武田の顎をとらえて大きなガタイが宙を舞う。

 そして一瞬で武田の真上に移動し、両足で蹴り飛ばして地面に叩きつける。

「ガハ!!」


 とどめの一撃を入れようとしたトンボに数発の銃弾が襲いかかる。急所は避けたが左肩と腹部に被弾した。

「ブハッ! イッテェ…… 銃弾ヤバイっスね……」

 激しく出血するが、ポメナインM軟膏を自分で塗って患部を回復させる。

「はぁ、はぁ……六太さん、感謝っス」

《トンボさん、ごめんなさい。ワタクシが抑えきれなくてそっちに攻撃が……》

《大丈夫っスよ! もともと2対2ですから! 両方に気を張ってるっス》


 トンボの急激な回復を見て、松原が信じられないという表情でかたまる。

「なんだと? あいつ傷がいきなり回復したぞ……どうなってんだ?」


 困惑する松原に起き上がった血まみれの武田が怒りをあらわにして声を荒げる。


「おい! 松原! 戦いの邪魔をするでないわ! 殴り殺すぞ!」


「へいへい。せっかくフォローしてやってるっていうのに。武田の旦那、キレたな……アレは相手も可哀想だわ」


 隙を見せた松原に矢が連続で飛んでくる。

「うおっと! やべえやべえ。あちらの狙撃手も相当の腕前だな」

 武田は尋常でない腕力と破壊のスキルがあるものの、スピードでトンボに分があり避けられ続ける。

 一方、松原は狙撃用ライフルからハンドガンに持ち替える。こう着状態が1分ほど続き、ついに動き出す!

 ノーガードで成美のいる方向へまっすぐ走り始めた。


「射撃は俺に分がある。ここでよせて一気に接近戦で撃ち抜く!」


 成美もまた、気配で黒鬼が近づいていることに気付く。松原の銃口は成美が隠れている柱に向けられたまま向かってきている。

(突っ込んできましたわ……)

 迎撃の矢を放とうと半身を出した瞬間、銃弾が顔と腕をかすめる。

「くっ! 銃の方があまりにも初動が早すぎて矢を放てないですわ……だったら……」

 成美は松原に狙いを定めずに柱で身を隠したまま、大量の矢を武田に向かって放つ。


「なんだ? どこ狙って……ん?……おっと武田の旦那の方か!」 

 慌てて松原が武田のフォローで何本か矢に向かって銃を打ち込む。

「今ですわ!」

 その隙をついて成美が渾身の一矢を松原目掛けて射抜く。


「ぐあぁ!」


 左目に矢が突き刺さる! しかし松原は態勢を崩しながらも三発の弾丸を成美に向かって打ち込んだ。それは一瞬の出来事だった。



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