Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第四章 関東大一揆、洛中編

第124話 放たれた矢の行方

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「クソッタレが……やりやがったな……だがお前も無事ではないようだな」

 四番隊隊長、狙撃手松原忠司の左目を射抜いた成美だったが、その代償として、右脚太腿、左手のひら、左肩に弾丸を喰らって吹っ飛んでいた。

 なんとか致命傷は避けた形となったが、もう矢を放つことはできそうにない。

 しかし、理性を失い猛獣のごとくトンボに襲いかかっていた武田に向かってはなった大量の矢の一部は松原に迎撃されたものの数本が命中し、武田の左脚に突き刺さる。

「グォ! 小癪な真似をしよって!」

 ぐらついた武田の隙をトンボが見逃さない。

「これで終わりっスよ! クロカタヘラクレスショット‼︎」

 ドン! と大きな衝撃音とともに武田の巨体が吹っ飛んで正面外壁にめり込む。

「ちっ、武田のおっさんがやられたか。だが、お前は殺すぞGSDジスド狙撃手!」

 片目に刺さった矢を抜いて溢れ出る血を抑えながら成美へと近く松原。そう、武田と松原は宍土のアイドルではなく人間だった。トンボが急ぐが間に合わない。


 そしてポメナインM軟膏を塗ろうとした成美の右手をハンドガンで撃ち抜き、さらに目の前まで近く。

「そんな簡単に回復させねえよ。残念だったな」

 両手を撃たれ、右脚を撃たれた成美はその場で座りこんだまま動けない。

「成美さん! クソ! おいらが相手っスよ!」

 銃口が成美の眉間に向けられて右手の人差し指がトリガーにかかる。

「……」

「死ね。すぐにあっちの仲間も殺してやる」


 ドドドド!!!


「なっ、なん……だ……と……て、テメェ……」


 松原が前のめりに倒れる。背中には無数の矢が刺さっていた。


 トンボが近寄って回復薬を成美に塗る。

「成美さん、これってどういう事っスか? これって成美さんの放った矢っスよね?」


 ニコッと笑って成美が答える。

「そうですわ。さっき、トンボさんの敵に向かって大量の矢を放った時、数本だけ緩い追尾性能を付与してこっちの松原に放っていたのですわ。追尾効果があまりに強いと松原にバレてしまうので、大きな弧を描いて背後から射ぬける様にと。ギリギリでしたけど、うまくいきましたわ!」


「すげー! さすが青一高エリートっスね! とりあえず、二人とも初めて銃で撃ち抜かれて大変だったっスね」

「二度と経験したくないですわ」


 二人とも笑って立ち上がる。GSDジスドNFNFエヌフ黒鬼四番隊、五番隊を見事撃破したのだった。


 * * *



 その頃、六太むったは三番隊体調の斎藤はじめと戦っていた。斎藤は宍土将臣ししどしょうじんによって生み出されたアイドル。そして煙のスキルを持っていて土砂崩れで舞う砂埃を利用し六太の動きを完全に抑え込んでいた。

『なんて厄介な野郎だ。切り刻もうとする煙で逃げやがる。人体ならともかく、アイドルとなるとガチで消えることができるからな……』

 動きが止まる六太に対して静かに近寄る煙の恐怖。

『……煙刃』


 無数の刃が突然形成されて六太に向かって放たれる。

『ウオッ! 危ねぇ!』

 見事に全てかわした六太の背後から姿を現す斎藤、そして大きな煙の刀を垂直に振り下ろす

『……煙撃』


 キン! と刀を受ける音。六太の前脚の爪が輝いている。

にんポメ殺法<ポメの鉤爪《かぎづめ》>』

 片脚の爪で刀を抑えながら別の脚で斎藤の顔面を切り裂く。

『シャアア!』


『グァ! 小賢しい真似を……』

 斎藤が再び煙幕となって六太を囲う。

『チッ。また煙に隠れやがった……どうしたもんか、煙野郎にどうやって攻撃するか……』

 煙から斬撃を仕掛けてくる斎藤に対し、六太はかわしながら反撃の手段を考えていた。

(ただ、煙幕の範囲もどうやら直径5メートルくらいが限界のようだな……よし、あれやってみっか)


 六太が一度大きくジャンプして煙幕から逃れる。

『六太流、オリジナル奥義……もののけポメ<type Pomephantポメファント>』

 次の瞬間、六太がとてつもなく大きな象に姿を変える。いや、象にしては異常に毛が長く、ポメラニアンの面影も感じる。

『な、なんてでかさだ。こんなの象じゃねぇ。マンモスだろ』


 煙となって隠れる斎藤に対し、ポメファントと化した六太は高く垂直に飛ぶ。

『鼻でぶっ飛ばすと思うだろ? 違うぜ。オイラはその斜め六歩先をいく男だ』

 六太は斎藤が潜んでいそうな範囲にめがけて空中から巨大な4本の脚をマシンガンのように何度も踏みつける。

『くらえ! ポメファントスタンピード!』

 ドドドドドドドドッ! 物凄い地響きが辺りに広がる。

「な、何の音っスか!」

「あれ! ぞ、象? いや……六太さんですわ!」


 成美たちが六太のもとに駆けつける。みるみるうちに元の大きさに戻る六太。少しエネルギーを使いすぎたか、ヘロヘロになっている。しかし、その頑張りもあって、斎藤は見事にアイドルのコアを潰されて姿が薄くなっていた。

『やっと、潰れたか煙野郎。くたばりやがれ』

『……クックック。お前ら……俺たちが都庁を……狙っていたと思っているだろ?』

「一体どういうことですの?」


『……総帥。わ、我ら黒鬼上位部隊……任務を……無事遂行しました……』


「「「何!」」」

『……最後に、一つだけ教えてやろう……我々の狙いは……最初から新都庁の爆破ではな……い……本当の狙いは……GSDジスドの壊滅……だ……』


 徐々に消えていく斎藤が最後に一言残して消滅した。


『GSDの壊滅だと……だとしたら、医療課へいった千鶴とそうちゃんたちが……』


 そして、物凄い爆発音と捲き上る煙が六太たちの目と耳に飛び込んできた。


「ま、まさか小松部長たちの建物が……」

 ドドーン! ドドーン! 

 何度も響く爆音に青ざめる成美。


『クソー! 完全にやられた! 成美! トンボ! 行くぞ!』


 ダッシュでGSD本部へと戻る三人。その間も爆発が止まらない。

(何故こうも簡単に侵入を許したのですわ? さっきの土砂崩れの煙に紛れて?
 しかし、爆弾を大量に仕掛けるなんて一人でできるはずが無いですわ……)


『おそらく、黒鬼の七番隊、八番隊隊長だ。どちらかが爆破スキル、もう片方が移動スキル。奴らは山を爆破して土砂崩れを起こした後、すぐにGSD本部へ向かったんだ』


「そんな……じゃぁ俺たちは……」


『あぁ、まんまとめられて、長く都庁で足止めされちまった……頼む。千鶴、皆、無事でいてくれ!』



 六太の願いは虚しく、辿り着いたとき、すでにGSDの建物は崩壊していた。




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