Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第四章 関東大一揆、洛中編

第125話 総司令の決断

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 皮肉にもファシリティ ignisイグニス  が燃え盛る炎に包まれている。爆破の影響で大部分が崩壊しているようだ。その哀れな姿には目もくれず、六太むったは医療課へ向かう。

《千鶴! そうちゃん! おっちゃん! 皆無事か⁈》

 何故か念話が通らない。焦る成美たちの目に映ったものは医療課のファシリティaquaアクアが崩壊している光景だった。

「嘘でしょ……全壊している」

『千鶴! そうちゃん! どこだ!』


 必死で探す六太。成美は周囲を警戒しつつ何度も念話を試みるがやはり通らない。NFNFエヌフの仕業か……

「むっ……ちゃん……こっちだ……」 

 六太の耳がピクリと動く。
 高杉の踏ん張っている微かな声が……確かに聞こえてきた!

 まっすぐその方向へ、危険な瓦礫の中を迷わず突っ込んでいく。そして高杉のスキルで作られた壁を発見する。

『そうちゃん! 無事か!』

 瓦礫がれきの下敷きになっているが、hardening materialで強固なシェルターを作っていたようだ。二人とも生きている。しかし、崩れてきたのはジスドの強固な素材でできた建物だ。無事とは言えない。特に高杉は千鶴をかばう形で覆い被さり、相当なダメージを受けていた。シェルターのおかげで落下物の直撃は避けたにしても骨折と出血がひどい。予断を許さない状況だ。

 トンボと瓦礫をどかせて二人を救出し、治療薬を使用する。高杉の身体が回復していく。千鶴は一切怪我を負っていなかった。

「よっしゃ~ファイトー!!!! …………あれ? 六発って言わないの? むっちゃん……」

 空気を読まない高杉を無視して気絶している千鶴を囲む3人。傷はすでに完治しているし、高杉のおかげで爆発の影響もなかったが……

「高杉さん、なんかファシリティaquaの中に人が全然見当たらないっス。まぁ、いいことなんですけどね。なんていうか……もぬけの殻? 殻はぶっ壊れているっスけど」

「うん。僕らが着いた時も誰もいなかったんだ。というか今朝から既にいなかったのかもしれない。この爆破を見越して」

「「え?」」

「じゃあ、他の崩壊したファシリティも皆GSDのメンバーが不在の状況で爆破されたってことですわ?」

「いや、それは確認していないからなんとも……小松部長とも連絡取れなくて状況把握ができないんだ」


 高杉たちの話を聞きながらも六太は千鶴の状況が心配で他が入ってこない。

『どうしたんだ……千鶴の身体を巡るBloody Codeに微妙な変化が……』

「むっちゃん……天月さんは目が覚めたんだ。ここへ来る前にね。でも何かを太地君と月人に伝えなきゃって言ってそのまま……」


『なんだって?』


 * * *

 12月25日 8:00—— GSDジスド本部

 土砂崩れが起こる一時間前、GSD本部では不破ふわ総司令をはじめ、各課の部長が指揮をとっていた。

「研究課のバックアップデータは全て現在GGラインで権田支部へ直接送りました。研究員も避難を開始しています」

「わかりました。念のため、エントランスにはダミーでアンドロイドを各課に配置しておきましょう。気付かれないように地下の内部通路を使って移動するように」

「了解!」

「医療課はほぼ地下シェルターへの避難を完了しました。現在GGラインで権田支部へ順次患者を搬送しております」


「わかりました。加藤木さん、総務課の方はどうですか?」

「黄山区の一般居住区へと移動完了しました。重要機密データは既に司令本部に保管してあります。」

「よろしい。全てのタスクが完了次第、小松部長のサポートで機動課の施設内の確認もお願いします」

「了解!」

「宝生、再度確認だが、GSDジスドの全ての隊員には既にスキルで司令を出したよな?」

「はい。部長クラス以外の隊員全て強制命令で念話と一般会話による情報は全て管理しております。現状でスパイと思われる形跡はありません」

「よし、わかった。そのまま気張って警戒し続けろ。この計画はお前のスキルあっての話だ。もしも外部に漏れたら全部終わりだ。他のことは俺がやるからそっちに集中してくれ!」

「承知しました」


 計画は前日から水面下で開始されていた。調査課にスパイが潜伏していたことが発覚して以来、このGSD施設の配置や警備体制、人員等の情報は全てNFNFエヌフに知られている、そう不破総司令は考えた。

 25日には新都庁だけでなく、GSDも襲撃に遭うことを想定して隊員避難と重要資料の保管という受け身の作戦を決行する。 防衛すべき場所があまりにも多すぎてまとを絞れないこと、その割に戦闘力として計算できるのが探索課と支部のローダーのみであること、何より都庁爆破テロと同じような被害だけは絶対に防がなければならない等、理由を挙げれば枚挙にいとまがない。当然小松部長も貴船部長も賛成した。

 探索課シーカーにすら知らせずに進めた理由は今度こそNFNFを欺くため。宝生のスキル頼みではまたどこか抜け穴があるかもしれない。そう考えて、さらなるスパイ潜伏のリスクが高い総務課、調査課などを後回しにして、慎重に動き出す。権田支部への避難もあることから成美には伝えずに、財閥のトップである成美の父と執事にだけこのことを伝えていた。


 そして25日当日、千鶴の念話から一気に動きが加速する。


「総司令! 日の出山全体から土砂崩れだ! 新都庁だけでなくGSDも丸呑みする規模との報告!」

 小松部長が大声で伝える。
 NFNFエヌフによる土砂崩れの撹乱かくらんが始まった。

「小松部長及び探索課シーカーは土砂崩れを防ぐことに全力を! 貴船部長はGSD司令室に残っている全ての隊員を地下通路より黄山区へ避難する指揮を! 人命優先です。残されたタスクは放棄しなさい! 小松部長と私以外、ここから速やかに避難!」

「「了解!」」


「とは言ったものの、どうやって土砂止めんだよ! ちくしょー!」

《天月! 状況を報告し続けてくれ!》

 …………


 こうして不破総司令の号令から全てが動き出していた。


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