Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第四章 関東大一揆、洛中編

第130話 現れた、最後の黒鬼

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 黒鬼一番隊隊長沖田と太地の戦いは終始沖田が優勢に進めていた。迫り来る斬撃に防戦一方の太地。なんとか太刀筋を見極めてよけてはいるが、攻撃に転じる隙がほとんどない。

「一瞬でも気を抜いたらやられる。月人もずっと宍土ししどの猛攻を防いでいる。こっちに手を貸すことは難しいか」

 距離を取った瞬間、たたき込まれる破壊的斬撃。位置取りが悪く、宮内庁が真っ二つになってしまった。

「ヤベェ…………後で怒られそうだなぁ」

 こうした劣勢の中、沖田との戦いから太地は幾つか分析を終えていた。
 まず、沖田は風属性のスキルで攻撃しているということ。切先を真空状態にして抵抗を無くすことで尋常ではない速さの太刀筋となり、空気を圧縮して斬撃の瞬間に一気に解き放ち爆発力を生み出している。宍土のような光属性ではない。

 次に太地とのスピードはほぼ互角だ。故に太地の攻撃が当たらないのは戦闘経験の差からくるものだろう。エアガンもハンドスピアも沖田には通用しなくなった。初見で当たったくらいであとはもう隙がない。

 沖田の猛攻をかわしながら、適度に打撃を打ち込み沖田に爆撃系の斬撃を打たせないように戦う太地。同時にどうやって沖田を攻略するかを考えていた。



 一方、月人は宍土の波状攻撃を防ぐので手一杯だったが、ある変化に気付く。宍土が徐々に目視できるほど下がってきている。


「光撃<雷光>」

 雷のような太い一本の光が皇居目掛けて落ちていく。月人がそこへまわりこむ。そして左手を雷に向かって放つ。

『catch!』


 なんと強引に雷光を掴んで止めてしまった。まさにフリーハンド。
 そしてリリースの掛け声と同時に空へ向かって解き放つ。

『ダメだ、消費が激しい。このままだと太地がまたイカれちまう。しかし宍土の野郎、バケモンだぜ。こんな攻撃何回も撃ち込んできやがって……』


《月人! 聞こえるか? ちょっと作戦があるんだ》


《なんだ? そっちのサポートは正直言って厳しいぞ》


《聞いてくれ、フリーハンドの吸収して解き放つ技か、さっきのつかんでぶん投げる技もう一度出せるか?》



 * * *



 太地は隣の片奈と永倉の戦いが終わったことに気付く。片奈はどうやら回復中みたいだ。樹木にもたれて座っている。全く動かないが生きている。すぐにこちらへ加勢というのは難しそうだ。

 上空では宍土が再び皇居への攻撃を仕掛ける。

『雷か? 雨か? まさかあの砲撃か? 一体何でくる?』


「光撃<閃光>」

 異次元に早い速度で落ちてきた光。だがそこまでコントロールされていない。運良く月人に近い宮内庁上空辺りだ。

『よし、まだいける! ……!』 

 その時太地の直感が今だと囁いたような気がした……その感覚を念話ではなくダイレクトに月人へ無意識に伝えた。

「……よし、やるしかない。今できる僕の渾身の一撃をお前に叩き込む」


 すると太地は何を思ったか、突然大きくバックステップ。当然沖田はそれを見て刀を引いて構え、力を溜め込む……あの破壊的斬撃がくる。

「今だ! possession type “leg”」

 沖田が斬撃を放つ前に見せる一瞬の隙をついて、太地が渾身のタックル! 
 月人が憑依した足によって生み出されたスピードに沖田はついていけず、そのままノーガードで喰らってしまう。


『グハァ、 いつの間に……ぐっ!』


 超接近したこの状況を太地は逃さない。そのまま沖田の懐に潜り込み、巴投げのような姿勢で沖田の腹部をドゴンと両足ではるか上空へ蹴り飛ばす。
 身動きが一切取れずに宙を舞う沖田を月人がその目で捉える。

「月人!!!!! 今だ! 思いっきりやれ!」


『絶対に死ぬなよ! 太地! ……stock!』


 上空の宍土がその異変に気付いた時はもう遅かった。


 宍土の光を吸収した月人の左手が、上空へ吹っ飛んだ沖田に向きを変えて解き放たれる。同時に太地が大量の血を吐き出す。

『まずはお前からだ、このゴキブリ傀儡かいらい野郎……release!』


『ま、まさか! 馬鹿な!!!!』


 フリーハンドによって解放された光撃<閃光>が沖田に直撃する。

そして太地が屈んだ姿勢から憑依した月人の両脚を使って勢いよく上空へ大ジャンプ。沖田の真上に位置どり、左手を沖田の腹にかざして伸ばし、右手を大きく引いた。そのままの姿勢で唱える。

「possession type “arm”…………ライフル!!!!」

腹をえぐり取るような太地渾身の一撃! 

くの字の体制で勢いよく広場地面に叩きつけられた沖田。ピクリとも動かない。


 片奈が立ち上がり警戒しながら確認する。間違いなく再起不能だ。そしてすぐに太地のもとへ。


「太地君! はい! これリポメタンMよ。飲んで!」

 スキル回復薬を飲んで少し落ち着いた太地。月人が急いで太地のもとへ。
 上空に宍土の姿が見えない……

『太地大丈夫か⁈  無理しやがって!』

「ブハァ~。マジでやばかった。もうこりごりだ……片瀬さん、まだ治療薬ありますか? ポメナインの方の」

 そう、これは全て太地の指示だ。沖田を上空へ飛ばすから宍土の一撃をどれでもいいから当ててくれと。できればstockは負担が大きいため避けたかったが、仕方がなかった。

「あっ! あれ……宍土将臣ししどしょうじん

『何!』

 片奈の指差す方に宍土が立っていた。自身のアイドルである沖田総司の前に。


『すみま……せん……総……帥……役目を……果たせず……』

「沖田……今まですまなかったな……後は任せろ。全てを終わらせる」

 そう言って宍土が沖田の手を強く握る。眩しい光が放たれて沖田の身体が宍土に取り込まれていく。

 ゆっくりと目を開けて状況を確認する太地たちの前に再び宍土が現れた。
 黒鬼の能面を付けて。


 解き放たれる威圧感が強すぎて、片奈が思わず尻餅をつく。
 恐怖で立ち上がれない。太地はなんとか必死でそのプレッシャーから耐えている。

『宍土のやつ……沖田を憑依させやがった』

 歩いてこちらに向かってくる宍土。金縛りに掛かったように動けない太地。




「あれは……黒鬼【真蛇しんじゃ】の能面だ」
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