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決戦前にはセーブですよぉ。忘れがちだけど。
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「それで、先程のお話の続きなんですが……これ美味しいですぅ、どうやって保管していたんですかぁ?」
サッパリしたものが食べたいというアリスのリクエストに応えて、食後のデザートに出した柑橘系の果物を使ったシャーベットだったが、アリスに気に入ってもらえたようである。
アリスはそのシャーベットを口に含みつつ、先程アルフレッドとミリアが話していた内容の続きを聞きたがる。
「気に入って貰えてよかったよ。少し酸味が強くて好みが分かれる味だからな。保管方法については企業秘密だ。」
「ぶぅ―、愛する妻にまで隠し事ですかぁ。」
「誰が妻だよっ!……で、さっきの話って?」
「私の唇奪った癖にぃ……既存の軍隊だけじゃ対処できないってお話ですよ。その『何か』について、アル様は予測為されてるんですよね?」
「そうそう、私もそれが聞きたかったの。後、アリスちゃん、私を差し置いて妻を名乗らせないわよ。」
シャーベットを食べ終えたミリアも話に加わる。
「お前らなぁ、誰が妻だよ!俺は嫁を取ったことはない。」
「「えーと、じゃぁ内縁の妻ということで。」」
二人の声が見事にハモる。
見事なまでの仲の良さだった。
「はぁ……話を戻すぞ。「何か」についてだな……予測って程でもないんだけどな……というか、お前らも大体分かってるだろ?」
「魔族……ですか?」
「ガイナックスって言ったっけ、あのロリコン魔族。」
ガイナックスがジョークのつもりで言った事が、ミリアとアリスの間では最低な変態と認識されてしまった事をアルフレッドもガイナックスも知らない。
ただ、その言葉を発するミリアの言葉の端々から妙なプレッシャーを感じる。
「おいおいロリコンって……まぁ、否定はできないが。」
「そうですよぉ、あの最後に私を見る目はヘンタイさんそのものだったのですよぉ。」
アリスは身をブルブルッと震わせ、両腕で自分を抱え込むように身をすくめる。
そんなアリスの様子に、アルフレッドも何も言えなくなる。
「……まぁ、アイツの趣味趣向はどうでもいいが、魔族がどうかかわって来ると思う?」
「それは……。」
「話の流れからすれば、何かを起こすのでしょうが、それが何かまでは分からないですぅ。」
困った表情で見あげてくるアリス。
実際、街での調査でもガルドと魔族の繋がりは一切分からなかったし、仕方がない事だと思う。
「正直俺にも分からないけどな、ヒントがあるとすればこれだよ。」
アルフレッドは収納バックから1冊の本を取り出す。
「召喚……。」
「入門書……。これがヒントなのですか?」
「そう、この本は奴がいた隠し部屋にわざとらしく落ちていたんだよ。」
「でも、それが罠って事も……。」
「その可能性もある。だけど、それをいいだしたらキリがないからな。取りあえず、大量のモンスターが召喚されるという前提で動いておいた方がいいだろう。」
「そうですね……街中にモンスターが溢れかえれば、兵士達はそれらの対処にかかりっきり。そんな時に街が襲われたら……大変ですぅ、ひとたまりもないじゃないですかぁ!」
その事実に思い当たり、蒼褪めるアリス。
「このエルザの街でモンスターによるスタンピードが起きる……魔の森も遺跡も近隣にあるここなら、それ程おかしい事じゃないからな。そして、ガーランド領は応援という名目で兵を出すことができる。何と言ってもエルザの街はガーランド領の目と鼻の先だからな。自領を守るため、何より国という大きな枠から見れば当たり前の話だよな。
勿論、ロイド領も対応するために兵を向かわせるだろうが、その兵の出どころはミルトからだよな。そうすると、当たり前の話だけどミルトの街の守りが薄くなる。そこにエルザの街を守るために出兵したはずのガーランド兵が襲い掛かれば……という筋書きだろうな。」
「なんてこと……。」
アリスは声も出なくなる。
「もっと言うならば、モンスターたちがミルトの街を襲うのが理想だろうな。ガーランド兵は「防衛・警備」という名目で実質的にミルトの街を支配できるからな。この場合、反乱を起こしたとは見えないだろうから、時間が稼げる。」
「だけど、モンスターを解き放ってしまえば、自分達に類が及ぶという可能性は考えないのでしょうか?」
アリスが一縷の望みを託して聞いてくる。
「その為の魔族だろ。」
「あっ……。」
ようやく繋がったと、納得するアリスだが、それで問題が解決するわけではない。
「アル様……どうすれば……。」
年相応に不安げな表情を見せるアリスの頭を、安心させるように撫でるアルフレッド。
「だから、俺達がここにいるんだろ?召喚の儀式にはそれに応じた場所が必要不可欠になる。この遺跡には召喚陣そのものか、それに関する何かがあるのは間違いない。ガイナックスがここにいた事がそれを証明している。」
「そうね、何も関係ない所に魔族がいるわけないか。」
「つまり、召喚陣か、それに関する何かを見つけて壊せばいいって事ですねぇ。」
アリスの声に普段の調子が戻ってくる。
「そういう事だ。そして、それを見つける為にはアリスの力が必要なんだよ。」
「わかったのです。このアリスちゃんが全てを暴くのですよ!」
やる事が見えて、ようやくアリスの顔にいつもの笑顔が戻る。
「グズグズしていられないですぅ。アル様、お姉さま、出発するのですよ。」
「アリスちゃん、落ち着きなさい。出発前に準備は必要よ。」
張り切っていまにも飛び出していきそうなアリスを抑えるミリア。
その様子を眺めながら、決戦の時が目の前にまで迫っている事を感じるアルフレッドだった。
サッパリしたものが食べたいというアリスのリクエストに応えて、食後のデザートに出した柑橘系の果物を使ったシャーベットだったが、アリスに気に入ってもらえたようである。
アリスはそのシャーベットを口に含みつつ、先程アルフレッドとミリアが話していた内容の続きを聞きたがる。
「気に入って貰えてよかったよ。少し酸味が強くて好みが分かれる味だからな。保管方法については企業秘密だ。」
「ぶぅ―、愛する妻にまで隠し事ですかぁ。」
「誰が妻だよっ!……で、さっきの話って?」
「私の唇奪った癖にぃ……既存の軍隊だけじゃ対処できないってお話ですよ。その『何か』について、アル様は予測為されてるんですよね?」
「そうそう、私もそれが聞きたかったの。後、アリスちゃん、私を差し置いて妻を名乗らせないわよ。」
シャーベットを食べ終えたミリアも話に加わる。
「お前らなぁ、誰が妻だよ!俺は嫁を取ったことはない。」
「「えーと、じゃぁ内縁の妻ということで。」」
二人の声が見事にハモる。
見事なまでの仲の良さだった。
「はぁ……話を戻すぞ。「何か」についてだな……予測って程でもないんだけどな……というか、お前らも大体分かってるだろ?」
「魔族……ですか?」
「ガイナックスって言ったっけ、あのロリコン魔族。」
ガイナックスがジョークのつもりで言った事が、ミリアとアリスの間では最低な変態と認識されてしまった事をアルフレッドもガイナックスも知らない。
ただ、その言葉を発するミリアの言葉の端々から妙なプレッシャーを感じる。
「おいおいロリコンって……まぁ、否定はできないが。」
「そうですよぉ、あの最後に私を見る目はヘンタイさんそのものだったのですよぉ。」
アリスは身をブルブルッと震わせ、両腕で自分を抱え込むように身をすくめる。
そんなアリスの様子に、アルフレッドも何も言えなくなる。
「……まぁ、アイツの趣味趣向はどうでもいいが、魔族がどうかかわって来ると思う?」
「それは……。」
「話の流れからすれば、何かを起こすのでしょうが、それが何かまでは分からないですぅ。」
困った表情で見あげてくるアリス。
実際、街での調査でもガルドと魔族の繋がりは一切分からなかったし、仕方がない事だと思う。
「正直俺にも分からないけどな、ヒントがあるとすればこれだよ。」
アルフレッドは収納バックから1冊の本を取り出す。
「召喚……。」
「入門書……。これがヒントなのですか?」
「そう、この本は奴がいた隠し部屋にわざとらしく落ちていたんだよ。」
「でも、それが罠って事も……。」
「その可能性もある。だけど、それをいいだしたらキリがないからな。取りあえず、大量のモンスターが召喚されるという前提で動いておいた方がいいだろう。」
「そうですね……街中にモンスターが溢れかえれば、兵士達はそれらの対処にかかりっきり。そんな時に街が襲われたら……大変ですぅ、ひとたまりもないじゃないですかぁ!」
その事実に思い当たり、蒼褪めるアリス。
「このエルザの街でモンスターによるスタンピードが起きる……魔の森も遺跡も近隣にあるここなら、それ程おかしい事じゃないからな。そして、ガーランド領は応援という名目で兵を出すことができる。何と言ってもエルザの街はガーランド領の目と鼻の先だからな。自領を守るため、何より国という大きな枠から見れば当たり前の話だよな。
勿論、ロイド領も対応するために兵を向かわせるだろうが、その兵の出どころはミルトからだよな。そうすると、当たり前の話だけどミルトの街の守りが薄くなる。そこにエルザの街を守るために出兵したはずのガーランド兵が襲い掛かれば……という筋書きだろうな。」
「なんてこと……。」
アリスは声も出なくなる。
「もっと言うならば、モンスターたちがミルトの街を襲うのが理想だろうな。ガーランド兵は「防衛・警備」という名目で実質的にミルトの街を支配できるからな。この場合、反乱を起こしたとは見えないだろうから、時間が稼げる。」
「だけど、モンスターを解き放ってしまえば、自分達に類が及ぶという可能性は考えないのでしょうか?」
アリスが一縷の望みを託して聞いてくる。
「その為の魔族だろ。」
「あっ……。」
ようやく繋がったと、納得するアリスだが、それで問題が解決するわけではない。
「アル様……どうすれば……。」
年相応に不安げな表情を見せるアリスの頭を、安心させるように撫でるアルフレッド。
「だから、俺達がここにいるんだろ?召喚の儀式にはそれに応じた場所が必要不可欠になる。この遺跡には召喚陣そのものか、それに関する何かがあるのは間違いない。ガイナックスがここにいた事がそれを証明している。」
「そうね、何も関係ない所に魔族がいるわけないか。」
「つまり、召喚陣か、それに関する何かを見つけて壊せばいいって事ですねぇ。」
アリスの声に普段の調子が戻ってくる。
「そういう事だ。そして、それを見つける為にはアリスの力が必要なんだよ。」
「わかったのです。このアリスちゃんが全てを暴くのですよ!」
やる事が見えて、ようやくアリスの顔にいつもの笑顔が戻る。
「グズグズしていられないですぅ。アル様、お姉さま、出発するのですよ。」
「アリスちゃん、落ち着きなさい。出発前に準備は必要よ。」
張り切っていまにも飛び出していきそうなアリスを抑えるミリア。
その様子を眺めながら、決戦の時が目の前にまで迫っている事を感じるアルフレッドだった。
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