付与術師は聖剣を作りたい……。

Red

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俺たちの旅はこれからだ!

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「つまりアル様は賢者様で、勇者様パーティの一員だったと。エターナルブレードはその時に勇者様から託された、そう言う事ですかぁ?」
 アルフレッドの説明を聞きながらも不思議そうな顔をするアリス。
「そうそう、よく分かってるなぁ。」

 エルザの村に戻り、ギルドに報告した後、アルフレッド達は領主の別荘に呼ばれた。
 隣の領主の事などの報告を直接聞きたいと言われたからである。
 実際に呼ばれたのはアリスだけだが、エターナルブレードについての説明がまだだとアリスがごねた為に一緒についてくることになったのだ。
 そして、客間で待っている間に、アリスの熱意に負けてアルフレッドの過去についての説明をすることになった。

 アルフレッドは、実はあらゆる魔法が使える『賢者』だった事、その力を請われて勇者と共にパーティーを組んで魔王に立ち向かった事、魔王封印の際、呪いを受けて魔法が使えなくなった事、勇者からエターナルブレードを託された事等々……。
 全て事実なのだが、それを説明してもアリスは納得がいかないようだった。

「……ウソですぅ!そんなウソに騙されると思っているんですかぁ?勇者様のパーティは魔王と相打ちになって全滅したはずなのです。そもそも、勇者様が魔王を封印したのは30年前ですよぉ。アル様はどう見積もっても20歳以上には見えませんよぉ、それともアル様もエルフなんですかぁ!」
「ウソって……人の話を端から嘘だと決めつけるのは良くないぞ。……じゃぁこういうのは?魔王を封印した場所に行ったら偶々拾った。」
「いい加減にするのですよ!そんな事で騙される安い女だと思ってるんですかっ!」
 憤るアリス。 
「いや、安い女って……それよりアリス、公爵が呼んでいるらしいぞ。」
 アリスを呼びに来たらしい衛兵を指さすアルフレッド。
「うぅ……すぐ戻ってきますからねっ。」
 ブツブツ言いながら部屋を出て行くアリス。
「アル、アリスちゃん怒っちゃったよ?」
「そう言われてもなぁ……まいっか。」
 アルフレッドは、やれやれとため息を吐きながら立ち上がる。
「知らないからね。」
 ミリアも、倣って立ち上がり、アルフレッドと共に部屋を出て行く。

 ◇

「でもいいの?黙って出て来ちゃって。」
「いいのいいの。どうせ俺達に出来る事なんて残ってないからな。」
「それはそうだけどね。」
 エルザの街を出て、かなり歩いた森の入り口、今日の野営場所を決めて一息ついたところでミリアが聞いてくる。
 ここまで黙ってついてきた時点で、アルフレッドの行動を肯定している事に、本人だけが気付いていない。
  
「アリスちゃん、怒るよきっと。」
 鍋をかき混ぜながら、ポツリと言うミリア。
 鍋からは食欲をそそるいい匂いが漂ってきている。
「まぁ、そうだろうなぁ。」
「アリスちゃんの気持ちも分かってるんでしょ?だったら……。」
 ミリアが咎めるような目で見てくる。

「だからといって、公女様で、本当は姫様で、しかも巫女姫候補でもあるアイツを、宛もない旅に連れ出すわけには行かないだろ?」
 アルフレッドが火の調子を見るように、薪を調整しながらそう言うと、ミリアは黙り込む。
 アリスの立場上難しいのは、ミリアだって分かってはいる。
 ただ、アリスの気持ちを知っているだけに、素直に頷けない。

「ところでさ、どこまでが本当なの?」
 だから話題を替える事にしたミリアは、気になっていた事を聞く。
「どこまでって、何が?」
「さっきのアルの過去の話よ。」
 鍋の中身を一口含み、調味料を継ぎ足して再度混ぜながら会話を続けるミリア。
「うーん、そうだなぁ……ミリアはどう思ったんだ?」
 収納から三人分の食器を取り出して簡易テーブルの上に並べながら応えるアルフレッド。
「そうね、全部本当……かな?」
 それぞれの器に料理を盛り付けて、ミリアがそう言う。
 スープの入った器からのおいしそうな香りと、大皿に盛られた彩り鮮やかなサラダが食欲を誘う。

「なんでそう思うんだ?」
「だって、アルがアリスちゃんに嘘を言う訳無いからね。それにアリスちゃんは看破の魔眼を持ってるんだし。」
 早速頂こうと、器に伸ばしたアルフレッドの手をピシャリと叩き、待てをするミリア。
「いや、アリスは俺たちの間では魔眼を使わないぞ。」
 視線を食事に向けたままそう答えるアルフレッド。
「だからよ。アルもそれが分かっているから、アリスちゃんには嘘をつかない、少なくとも大事な場面では……でしょ?」
「……まぁ、そう言うことにしておくか。それより腹が減ってるんだが?」
「まだダメ。全員席に着いてから。」
「はぁ…………、そう言うことだから、早く出てきたらどうだ?」
「そうね、スープ冷めちゃうわよ。」
 二人は近くの茂みに向かって声をかける。

「…………うぅ、二人共意地悪ですよぉ。」
 茂みをガサガサっとかき分けるようにして、アリスが顔を出す。
 気付かれていた気まずさからか、アリスの顔は赤くなっている。
「そんなことより、早く座れよ………腹減ってるんだ。」
「そんな事って言いましたよ、この人っ。普通は「何でいるんだっ!」とか「追いかけてきたのか?」とか言って驚いたり感激したりするんじゃないですかっ!」
 促されるままアルフレッドの横に腰をおろしたアリスだが、アルフレッドの言葉に憤る。
「あー、びっくりしたぁ、ついてきたのかぁ。かんげきだなぁ……。これでいいか?」
「むむむ………。」
「まぁまぁ、みんな揃ったから、頂きますしよ。ねっ?」
 ミリアが割って入り、その場を収める。

「とにかくっ、私はお二人についていきますからねっ。拒否権はないですよ、私を置いていったら即座にS級の指名手配掛けますからねっ!」
 日暮れの森の中にアリスの宣言が響き渡る。

 これから賑やかになりそうだよ、と、誰にともなく呟くアルフレッドだった。
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