勇者と魔王、選ぶならどっち?

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第一章 勇者の旅立ち

お金は大事!?

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「さぁ、まずはお買い物よっ!」
 私は街へ入るなりそう宣言する。
「違うでしょ、まずはギルドへ顔出し。」
「えー……嫌だなぁ。」
「わがまま言わないのっ!行くわよ。」
 そう言って私の腕を取り、引っ張る様にしてギルドに向かうミュウ。
 別にわがまま言ってるわけじゃないんだけどなぁ。
 ギルドって、大抵は酒場を併設していてね、そこに暇を持て余した男達がたむろしてるのよね。
 で、暇だから可愛い女の子(私の事よ?)を見ると絡んでくるのよ……鏡見て出直して来いってのよ。
 
 そういうことをミュウに伝える間もなくギルドに辿り着く。
 ミュウがそのまま入っていくので仕方なく私もついていく。
 ギルド内に入ると、中にいる人たちの視線が一斉にこっちに向く。
 ほらほら、皆私達を注目してるよぉ。
 私は思わずミュウの服の裾を掴む。

「大丈夫だから堂々としていなさいよ。」
「でも……。」
「いいから、まずは受付に行くわよ。」
 ミュウの堂々とした立ち居振る舞いに、少しだけ気が楽になる。
 ただ、あそこの席に座っている男達と、あっちに立っている男達の、嘗めるような目つきが気持ち悪いので、私はミュウの影に隠れる様にして移動する。
 ああいう目つきをしている男たちは決まって絡んでくる……私は今までの経験でそれを知っている。

「大丈夫だから……それよりギルドカード出して。」
 私の不安を払拭するようにミュウが微笑んでくれる。
「どうしよ、ミュウがイケメンだわ。」
「バカなこと言ってないでさっさとカード出す。」
 私は言われるままにカードを取り出してミュウに渡す。

「本日はどのようなご用件で?」
 受付のお姉さんが極上のスマイルで出迎えてくれる。
「まずは先にこの子のギルドカードの特記事項確認してくれるかしら?」
 ミュウはそう言って、私をお姉さんに見える様にしながら私のカードを渡す。
「はい、拝見させていただきますね……って、これ……。」
 お姉さんが驚いたような困ったような複雑な表情で私とミュウをみる。
「そう言う事だから、ギルドの責任において対応お願いしますね。」

「えぇ、それはわかりましたが……。」
 怪訝そうな顔で私の方を見るお姉さん。
「ココにも西の方の情報入って来てるでしょ?全部ギルドの対応遅れの結果よ。」
 ミュウがそう言うと、受付のお姉さんはどこかに連絡を入れる。
「大丈夫です、当ギルド内で揉め事は起きませんわ。……ただ、ギルド外のトラブルは程々にお願いしますね。」
「起こしたくて起こしてるわけじゃないんだけどね。」
 苦笑しながら言うお姉さんに対して、ミュウも苦笑を返している……なんかよく分からないよ。
「それで、本日はどのようなご用件で?」
 ひとしきり笑みを交わし合った後、お姉さんが訊ねてくる。
「素材の買取と、盗賊団の情報提供、それと良さそうな依頼が無いかの確認ね。」

(ねぇ、レフィーア、ミュウが冒険者っぽいよ?凄く頼りになるんだけど?)
(いやいや、ミュウは冒険者でしょうが?)
(ミュウちゃん、頼りがいがあって素敵……惚れちゃっていい?)
(それはミュウに聞いた方が……。)
 等と、レフィーアと小声で話しているとミュウの拳骨が落ちてきた。
「余計なおしゃべりは後にして、さっさと出しなさいよ。」
 ミュウの視線が痛かったので、これ以上怒らせる前に、と私は袋から幾つかの素材と、盗賊の館から押収した美術品や装備類を取り出して並べる。

「これは……どこで?」
「さっき話した盗賊たちのアジトだよ。」
 ミュウが自分が受けた依頼の事、裏切った商人の事、盗賊団の規模とアジト、そしてすでに壊滅してきたことなどを話す。
「そうですか……この件に関しては……。」
「オイオイ嬢ちゃん達が盗賊団を壊滅しただぁ?冗談言っちゃ困……って、おい、何だお前らは……。」
 いきなり話に割り込んでくるパンクな髪形をした男……さっき私の方を見ていた連中の一人だった……が、話の途中で、左右からガタイのいい男達に挟まれ連れて行かれる。

「この件に関しては色々と調査が必要になりますので、それまではこの街に滞在していただけますでしょうか?」
 受付のお姉さんが、何事もなかったように話を続ける。
 えっと、今のは?
 ミュウを見るが、何もなかったかのように受付のお姉さんと話をしている。
「構わないけど、宿泊先の紹介をお願いできる?さっきみたいなのがうろつかなくて、亜人排斥主義じゃない所。」
「それでしたら、ここかここなどがいいかと思いますよ。」
 私の混乱をよそに、お姉さんとミュウの間で会話が進んでいく。
 ミュウが頼もしいんだけど、トラブルが起きてなくて嬉しいんだけど……この排斥感が半端ないのは何だろうね。

「ねぇ、レフィーア、私っていらない子?」
『うーん、そんなことないよ。ミカゲがいなかったら、これだけの荷物運べないし。』
「それって私は荷物持ち以外の価値は無いって事……やっぱりいらない子なんだぁ。」
「バカなこと言ってないで、行くわよ。」
 落ち込む私を引きずる様にしながらギルドの外へ向かうミュウ。
 どうやら話は終わったらしく、これから宿に向かうのだそうだ。

「取りあえずは宿で一息ついてから食事しましょ。街に出るのはその後ね。」
 ミュウの言葉に黙って頷く。
 色々聞きたいこともあるけど、食事しながらでいっか……お腹空いたしね。

「ひょれで、ひゃにが……。」
「口に物を入れたまま喋っても分らないわよ。」
 大きな肉の塊にナイフを入れながらミュウがそう言う。
 なのでしばらくは食事に専念することにする。
 ここは宿屋の食堂だ。
 この辺りでは、食堂を兼ねた宿屋と言うのが普通らしく、泊り客以外でも利用できるようになっている。
 ここはまたの中でもかなりの人気店らしく、周りには泊り客以外の客も大勢いて、食事に舌鼓をうっている。
 まぁ、これだけ美味しくて安いとなれば、人気が出るのも不思議じゃないか。

 私達も頼んだ、その日のお任せ(ランチセットみたいなものかな?)が銅貨5枚で、私の目の前には、今ミュウが一心不乱に食べているお肉の塊(何の肉か分からないけど美味しいよ?)がメインで、付け合わせのサラダに、香草を使ったスープ、少し硬めの茶色いパンが二つに、1杯の果実水がついてくる。 
 私はこれだけでお腹いっぱいだけど、ミュウは物足りなかったのか、メインのお肉をお代わりしていた。

「それで?色々聞きたいことあるんでしょ?」
 結局、あれから更にお代わりを3回して、今は食後の果実水を飲みながらミュウが聞いてくる。
「うん、色々あるけど……まず、受付のお姉さんの態度とか、途中のヘンな男の乱入とかが聞きたいのよ……なんかおかしくなかった?」
 私も果実水に口を付けながらミュウにそう訊ねる。
「別におかしくないわよ。ミカゲが言ったじゃい、勇者だって。」
 ん?何でここで勇者が出てくるの?
 私が怪訝そうな顔をしているのを見て、ミュウが苦笑しながら補足の説明をしてくれる。
「ミカゲは自分のギルドカード、しっかり確認してる?」
 ミュウに言われてギルドカードを取り出し、よく見てみる……私の名前と現在のランク……Fランクと記載してあるだけ。
 他に、称号と言う欄があるけどここは未記載、後は特記事項に『アルーシャ王国からの伝達』ってのがあるだけ……そう言えば気にしてなかったけど、これって何だろうね?

「おかしいと思っていたのよ。ミカゲは『勇者』だって言うけど、ギルドカードの称号欄には載ってないし、かと言ってミカゲがそんなウソをつくメリットなんてないしね。だとしたら意図的に隠されていると思うのが普通でしょ?そして特記にある国からの伝達と言うのを見れば、国からミカゲについてなんらかの伝達がいってるんじゃないかと思ったわけ。」
「そうなんだぁ……。」
 全然知らなかったよ……でも、そういう事なら、私に便宜を払えとかって書いてあったのかな?それならそうと教えてくれてもいいのに……イルマ姫の照屋さん。
 
「あっ、じゃぁあの男が途中で連れて行かれたのって……。」
「ウン、あのお姉さんに確認したんだけどね、伝達内容と言うのが『ミカゲが勇者であることを保証する。ただし民衆に不安を与えないために時が来るまで秘匿する事』『ミカゲは大の男性恐怖症であるため、ギルドには留意してもらい適切な処置を願う……この件におけるトラブルの責はギルドにあるものとする。』……なんだって。だから絡もうとしていたあの男はギルド職員によって適切な処置……つまり排除されたって事。」

 ミュウの説明で謎は解けたけど……。
「ねぇ、伝達内容ってさっきの二つだけ?他にはないの?例えば勇者に便宜を払うように、とか?」
 私がそう言うとミュウが可哀想な子を見るような憐みの視線を向ける。
 えっと、その眼は何かなぁ……?
「ミカゲ……私がついてるからね、頑張って生きて行こうね。」
 ミュウは私の質問には答えず、逆に励まされてしまった……何なのよぉ。


「あ、これミュウに似合いそうじゃない?」
「ダメダメ、そんな防御力のなさそうなのは。」
 私が選んだワンピースにミュウが異議を唱える……防御力って、普通の服に求めるものじゃないと思うなぁ。
 私は店の中の服を見回しながらそう考える。
「こんなとこより、防具屋に行くわよ。」
「ちょ、ちょっと待ってよ。」
 私は慌てて下着や替えの服などを数点購入する。
 個人分なので自分のお金から出す……全部で銀貨3枚もしたけど、今の私にはこれくらいの出費はどうってことないのよっ。 

 盗賊のアジトからせしめた銀貨、銅貨に加えて宝石や美術品、装備などを売ったお金を合わせると銀貨70枚になった。
 ミュウと相談して各自銀貨10枚を個人のお小遣いとして、残りはパーティ資産として装備や消耗品など共用で使おうという事になったので、こうしてお買い物に来てるのである。

「ふぅ……思ったよりいい買い物できたわね。」
 ミュウが果実水を飲みながらそう言う。
 武器屋や防具屋を回った後、一休みしようという事で、このお店で休憩することにしたのだが、ミュウはかなりご機嫌のようだ。
 体に纏っているのは先程購入したばかりの革の防具セット、オシャレとは言い難いけど、丈夫な素材で出来ているインナーに、身体の各所を守る革製のプロテクターは強化魔法がかあっているらしく、普通のものより軽くて丈夫なんだって。
 ミュウの戦闘スタイルはとにかくスピードで攪乱して隙を見て攻撃、と言うらしいので、全身を覆う鎧より、こういう部分鎧の方が動きやすくていいらしいのね。

 気に入ったものが買えてニヤニヤが止まらないミュウを見ながら、私は女の子にプレゼントをする男の人の気持ちが分かったような気がした。
 だってねぇ、こんな可愛い顔見れるなら少しぐらいの出費は気にならないよね?
 ……ちなみにミュウの装備を購入したのでパーティ資金は心もとなかったりするけど、食費や宿代は私の手持ちから持ち出してもいいやって気になる。
 それほどまでに目の前のミュウの悦んでいる顔は可愛いのよ。

「良かったね、ハイあーん。」
 私は目の前のカットフルーツをフォークに指してミュウに差し出す。
「ありがと。」
 私の差し出したフルーツをパクっと咥え、モグモグと口を動かすミュウ……うーん可愛いなぁ。
「ミカゲは買わなくて良かったの?」
「うーん、私の場合、最悪レフィーアがいるからねぇ。」
 お返しに、と差し出してきたフルーツをいただきながら答える。
「でも普段はその姿でしょ、危ないよ?」
「ウン、だから後で魔道具屋でアミュレットでも買おうかなって思ってる。」
 私の場合、革鎧とか着慣れていない所為で、却って動きが悪くなるので、それならばまだ普通の服の方がマシと言うものだ。
 魔術師が着るローブなんて物も考えたけど、高いだけで防御力は変わらないからもったいないのでやめた……一応防御力強化が付加された物もあったけど、こちらは手持のお金じゃ買えなかった……魔力付与された物は軒並み高いのよ。

「そう?じゃぁ、魔道具屋に寄ったら今日の所は宿に戻って休みましょうか。どうせ何日かはこの街に居なきゃならないしね。」
「うん、そうだね。」

 魔道具屋だけ、と言いながらも久し振りの街でテンションの上がった私達は、その後も魔道具屋のほかに、雑貨屋、魔法屋、素材屋等の各お店を回り、市場を冷かして回り、結局宿に戻ったのは日が暮れてからになってしまった。

 ◇

「何やってんのよ。」
 私が倒したウルフを見てミュウが呆れた声を出す。
「これじゃぁ、毛皮がボロボロで売り物にならないよ。」
 そう言って解体を始めるミュウ……私の風魔法エアカッターで切り刻まれたウルフの毛皮は確かにボロボロで素材として売り物になりそうにもなかった。
「ハンターたるもの、もう少し考えて獲物を仕留めないとね。ほら、次が来るよ。」
 そう言って、次のウルフを指さすミュウ。

 私達は今、街の近くの森でウルフ狩りをしている。
 一応依頼ではあるのだが、ウルフ程度ならミュウ一人でも余裕で倒せるので、私のレベルアップの為に付き合ってもらっている、と言うのが実態だったりする。
 なんといっても、平和な日本でのほほんと暮らしてきた女子高生の私にとって、戦いの経験は乏しく、何もかもが初めての事なので、少しでも慣れなきゃいけないと思ったのよ。
 この先どうなるか分からないけど、生きるための努力はするべきよね?

 っと、今は目の前のウルフに集中ね。
 ウルフたちの特徴はとにかく素早い事、そして集団で襲ってくること……今はミュウが上手く捌いて1頭だけこっちに来るようにしてくれてるんだけど、正直一頭でも四苦八苦してるのが私の今のレベル。
 普通に魔法撃っても当たらないから、まずは足止めを考えなきゃね。
 という事で、光魔法の目晦ましから始まり、怯んだところにエアカノンを撃ち込む。
 態勢をを崩しながらも上手に着地するけど、そこにはすでに落とし穴が掘ってあるのよ。
 当たり前のように、穴に躓きバランスを崩すウルフ。
 そこに止めのウォーターボール!
 ウルフの顔を水の球が包み込み、ウルフがいくら暴れても離れる事は無い。
 後は窒息するのを待つだけね。

「だから、何やってるのよっ!!」
 そこにミュウが飛び込んできてウルフの首を斬り落とす……なんで?
「あなたねぇ、苦しませたらお肉の味が落ちるでしょうが!」
 文句を言いながら手早く解体していくミュウ……そうなんだ、苦しんで死ぬと肉の味が落ちるんだ……そんなこと知らないよぉ。
 うぅ……冒険者って難しい職業だったんだね。

 それから数日にわたり、ミュウの厳しい指導が続くのだった。 
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