勇者と魔王、選ぶならどっち?

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第二章 勇者のスローライフ??

アスカの街にて

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「レストランについてのことは、まぁいい。今回は確認したいことがあって呼んだんだ。」
「いいなら、グチグチ言わないでよね。」
「何か言ったか?」
「いえ、何も。」
 小声で呟いたのに、ギルドマスターにはしっかりと聞こえていたらしい。

「それより、お前ら盗賊退治に行く気はあるか?」
「へっ?」

 ギルドマスターの話では、先日捕まえた盗賊団のアジトが判明したらしいのね。
 それで、そのアジトの殲滅依頼が出たんだけど、結構規模が大きいらしく、5~6パーティの合同依頼になるらしいの。
 それで、私達が捕まえた事で判明したってことで優先権があるんだって。
 
 因みに、暁さんと白銀さんも同じく優先権があって、両パーティ共すでに依頼を受理したんだって。

「んー、面倒そうだからパス。」
「いいのか?戦利品の権利も放棄する事になるんだぞ?」
「別にいいよぉ。この間捕らえた分の報奨金は出るんでしょ?」
「うむ、まぁそうだな。」
「だったら後はいいよ。」
 正直、盗賊団にいい印象はないので、何かあればすぐキレて暴走する自覚はあるのよ。
 だから、他の人が行くなら任せた方がいいよね。

「そうか、まぁ、お前さん等がいいなら問題ない。……ところで、お前さん等の用件は何だった?」
 ギルドマスターの問いかけに、私達は本来の目的を思い出して、訊ねることにした。

「そう言う事ならゆっくりしていってくれ。……ミリーラ後は任せる。」
 そう言うと、ギルドマスターは先ほどの受付の女性に後を押しつけて、部屋を出ていく。
 私達も、これ以上、例の件を蒸し返されるよりは、と黙って見送る。

「えっと、それでどのような事が知りたいのですか?」
 ミリーラと呼ばれた女性が、ギルドマスターが立ち去ったのを確認してから聞いてくる。
「そうね、この街の事や周辺の街や村の事、魔獣や野生動物状況や特産品についてなど、後、近くに獣人の住む集落があるとか聞いたんだけど、そのあたりの事もね。」
 ここからの話はミュウに任せる。
 特に獣人の集落についてなどは、同じ獣人のミュウが訊ねる方が自然だと思うのよ。



 イスガニア王国最北端の街、アスカ。
 エルザード領とウルベア領の境にあり、国境に接しているため、北アセリア共和国との貿易も盛んなこの街は、あらゆる人・モノ・金・情報が行きかう経済の街なの。
 ミリーラさんの話によれば、この街の人々は国に属している感覚は少なく、全ては自分たちの才覚によってこの街が成り立っていると思っているらしいのね。
 また、立地上の微妙なバランスの所為で、国王や領主たちもヘタの口出しが出来ず、それが輪をかけているって事もあったりするんだって。
 実際、エルザードの領主が圧力をかけようとすると、ウルベアの領主の邪魔が入り、逆もまた同じ。
 かと言って、国が何かしようとすれば北アセリア共和国に寝返ろうとするので始末に負えないんだって。
 結局、国に不利益をもたらさない限り自由にさせておくという、半ば自治権を与えたような状況で現在まで続いているんだって。

 まぁ、そんな状況なので、領地や国から追われた犯罪者たちもここに逃げてくることが多く、決して治安がいいとは言えない街なのよ。
 街の方針としても、有力者たちが、金払いが良くて自分達・・・に迷惑さえかけなければ問題ない、と見逃している為、盗賊団の被害も多くて冒険者ギルドとしても頭を抱えているんだって。

 後、この街には大抵の物が流れて来るので、各地の『特産品』はあっても、この街固有、というものは特にないらしいのね。
 その代わり、各地の珍しいものが一杯あると言うので、私達はこの後街の市場に行くことに決めたのよ。

 後、一番肝心な『獣人の集落』なんだけどね、話を聞くと色々と複雑な事情が絡み合っているらしいのよ。
 まず場所なんだけど、国境境に大きな鉱山があって、その麓に鉱山で生計をたてている集落があるのね。
 この集落は元々から獣人の集落だった訳じゃなく、昔は人族の方が多く、獣人は数える位しか居なかったんだって。

 それが、何故獣人の集落ってよばれる様になったのかというと、その集落の立地が問題だったのよ。
 人の住む集落はこちら側……つまりイスガニア王国にあって、鉱山は向う側……北アセリア共和国の位置するのよ。
 当然、どちらの国の所有か?と言うことで揉めるわけで、小競り合いの絶えない紛争地域だったんだって。
 で、ある時ちょっと規模の大きい争いが起きたときに、住民がとうとうキレちゃったのよ。

 その時、人族の住民の多くは逃げ出していて、残っていたのは獣人達と一握りの人族だけ。
 ここは俺達が昔から守ってきたんだ、余所者が出しゃばるな、って言って、イスガニアと北アセリアに対して、宣戦布告をしたのよ。
 当初は、すぐ鎮圧されると思われていた、この三つ巴の争いなんだけど、獣人側が両国の仲の悪さを巧みにつき、また両国内にいる他の獣人達からの様々な支援もあって、膠着状態と言うか泥沼化しちゃったのね。

 で結局、これ以上争いを続けても不毛なだけと言うことで、鉱山と集落は獣人達に任せる、と言うことになったんだって。
 その時、間に入って色々暗躍したのが、当時のアスカの街の有力者で、そのおかげでアスカの街と獣人の集落は、非常に友好的な関係が続いているんだって。

 現在は、色々なしがらみの関係上、冒険者ギルドを通して交流があるんだとか。
 だから、獣人の集落に行くのならギルドに一言告げていって欲しいって言われた。

「そうなんだね……そう言えばこんなの預かっていたんだけど。」
 私はミュウにフォクシーさんから預かっていた手紙を渡す。
「そう言えば、こんなのもあったね。」
 ミュウはその手紙をミリーラさんに渡す。
「これは?」
「紹介状。アスカのギルド宛。」
 ミリーラさんは紹介状の中を改めると、少々お待ちください、と言って奥へ行ってしまった。

 暫くしてミリーラさんが戻ってくると、手続きをするのでギルドカードの提出をお願いしますと言われた。
 何でもこの手続きをしておくと、獣人の集落との間にある関所がフリーパスになるんだとか。
 この手続きは、特別な場合以外はしないとも言われた。
 フォクシーさんって、意外と大物だったみたいね。


「ふぅ、なんか疲れたねぇ。」
「誰のせいだと思ってるのよ。」
「私の所為じゃないよ?」
「アンタの所為よっ!」
「まぁまぁ、ミュウさん落ち着いて。」
 がるるぅ……と呻くミュウをマリアちゃんが宥めている。
「そ、それより、早く市場に行こうよ。珍しいものが一杯あるんだよね?」
 クーちゃんに引っ張られ、私達は街の中心の市場へと移動する。


「へぇー、賑わってるわね。」
「変わったものが一杯ありますわ。」
「あ、あれなんだろうね。」
 私達はあっちこっちの屋台や出店を見ながら、物珍しい品物を見ては騒いでいた。
「あの辺りは食べ物かなぁ。」
 クーちゃんが先の方にある一角を指さす。
 そこを見ると野菜や果物、穀物などの食材が売っている店が集まっていた。
「何か変わったものがあるかもね。」
 最近料理のレパートリーもありきたりになりつつあるから、ここで変わったものが手に入るといいなぁ。

「ミカ姉、これなんだか分かる?」
 クーちゃんが袖を引っ張ってある食材を指さす。
 これは……。
「んー、どれどれ?麦……とは違うよねぇ?」
「私も初めてみますわ、何でしょうね。」
 ミュウとマリアちゃんも覗き込んでくる。
「お米……。」
「おっ、嬢ちゃん、よく知ってるね。これはアセリアの西の方で、麦の代わりに食されているコメって言う穀物だよ。」
「全部下さい。」
「えっ?」
「あるだけ全部買います。」
「あるだけって……いくらかかるか分かって言ってるのかい?」
「これだけあれば足りますか?」
 私は金貨を3枚取り出して渡す。
 お米の在庫がどれだけあって、単価がどれくらいか分からないけど、金貨3枚以上かかるとは思えない。
 このおじちゃんが3枚持って行くなら、それはそれで構わないけどね。

「お嬢ちゃん、悪いが……。」
 そう言って金貨を返してくる。
「えっ、足りないの?」
「そう言うわけじゃない。ここにある分じゃ充分すぎるぐらいだ。だけど全部買われたら他の客に申し訳がなくなる、悪いね。」
「じゃぁ、お米半分と、そっちにある小豆と大豆を半分。」
 よく、日本人が海外に行くとお米が恋しくなるって聞くけど、本当だったみたい。
 お腹いっぱいに食べられる今の状況に文句はないんだけど、お米を食べるチャンスがあると知った今、とてもご飯が恋しくなる。
 それに一緒に売られていた小豆と大豆は、エルザードでは見なかったものだ。
 小豆があれば餡が作れるし、大豆があるなら、探せばお豆腐や醤油などもあるかもしれない。

「まぁ、それならいいか。こんな大口逃す手は無いからな。しかしかなりの量だけど、何処に運べばいい?」
「アイテム袋があるからここでいいよ。」
「そ、そうか。」
 私は代金の金貨1枚を払って、店の前に積み上げられた食材を勇者の袋の中に詰め込んでいくと、店の主人や、周りにいた人たちが目を丸くしている。
「どうしたの?」
「い、いや……嬢ちゃんのアイテム袋が凄いなと……。」
「そうなの?」
「あぁ、俺達の持っているアイテム袋じゃぁ、この半分も入らない。」
「そうなの?」
 護衛をしていた商人たちは皆アイテム袋を持っていたので、珍しくはないだろうと思っていたんだけど、容量が普通じゃなかったんだって……もしかしてやらかしちゃった?

「私達は冒険者なのよ。このアイテム袋は古代遺跡で見つけたから普通よりちょっとだけと区別なのよ。」
 ミュウが慌ててフォローしてくれる。
「へぇ、嬢ちゃん達冒険者だったのか。」
「ウン、この街にも護衛依頼を受けて来たんだよ。」
「小さいのに大したもんだなぁ。」
 クーちゃんも、一緒にフォローに入ると、周りの人たちが寄ってくる。
 クーちゃんは可愛いからね、今も店の人達から色々貰っているし。

「ねぇ、お米ってここに来れば定期的に買える?」
 私は全てをアイテム袋にしまい込んだ後、クーちゃんを餌付けしているおじさんに聞いてみる。
「そうだな、ここは北アセリアに近いからな。向こうの国に行けば普通に流通しているからな。」
「ふーん、お米以外に北アセリアの食品って扱っている?」
「あぁ、それなら、あっちの奴が色々取り揃えているぜ。」
 おじさんは向かいにある出店を指さす。
「ありがと、行ってみる。」
 私はお礼を言って教えてもらった出店に行ってみる。

「あ、お団子だ。」
「ん、嬢ちゃん団子欲しいのかい?1本銅貨1枚だよ。」
「ウン、じゃぁ貰おうかな。」
 私は銅貨と引き換えにお団子を受け取る。
 私もよく知っている、白と緑とピンクの三色団子だった。
「流石にみたらし団子は無いかぁ。」
 私はお団子を食べながら、お店の品揃えを眺める。

 お米が手に入ったのはいいけど、どんな料理がいいか思いつかない。
 ここにつかえそうなものがあればいいんだけどね。
 ご飯と言えば和食だけど、和食に必要な醤油や出汁が無いのよね。
 せめて醤油でもあれば何とかしようもあるんだけどねぇ。
 だけど、このお店にも醤油は見当たらない。

「何か探し物かい?」
「ウン、醤油かお味噌、出汁になるものを探しているんだけど。」
「聞いたことないね。北アセリアに行けばひょっとしたらあるかもしれないけど、ここにはないよ。」
 和食は諦めるしかないかぁ……適当な具を入れておにぎりでも作ろうかなぁ。
 他は……ピラフ……ピラフって和食だっけ?
 パンの代わりにご飯を炊くだけでもいっかぁ。
 ン?……これは?

「ねぇ、おばちゃん、これって……。」
「あぁ、それかい?新しく入ってきた調味料なんだけどね、ほらちょっとキツイからあんまり売れないのよ。」
「全部買うよ。」
「いいのかい?」
「ウン、こう言うの捜してたから。」
 私はおばちゃんにお金を払って、ソレを手に入れる。
 やったね、これで、アレ・・が作れるよ。

 私は他にもいろいろ見て回り、変わった果物や野菜を買い込んでいく。
 流石に流通の中心と言われるだけあって、様々なものが手に入ったので、ちょっと嬉しい。
「ミカ姉、どこ行ってたの?」
 途中で、私を捜していたらしいクーちゃんに呼び止められる。
「あ、クーちゃん、面白いものあった?」
「ウン、すっごっく……じゃなくて、マリアお姉さんが探しているよ。」
「マリアちゃんが?何だろうね。」
 私はクーちゃんに引かれてマリアちゃんの所に行く。
「ここは?」
 連れて行かれたお店にマリアちゃんがいたけど、何て言っていいのか、カオスと言うのがしっくりと来る。
 店内がゴチャゴチャしているというのではなく、置いてあるものがね。

 服やアイテム、小物に武器など、果ては食べ物まで置いてある。
 マリアちゃんは、その店の片隅の所に立っていた。
「マリアちゃん、何か用だった?」
「あっ、ミカゲさん!これですっ!これ見てください。」
 マリアちゃんが興奮した面持ちで、私を青いワンピースの所へと引っ張っていく。
「何なのよ……ってこれはっ!

 マリアちゃんが示したもの……それを見た時の私は驚愕と……ほんの少しの喜びを感じていた。
 
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