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第二章 勇者のスローライフ??
エレメンタル登場!? ーその2ー
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「はぁ……ミカゲの過保護には困ったもんだよ……まぁ気持ちはわかるけどね。」
私は見えなくなっても、クミンが向かった坑道を見つめ続けているミカゲを見て、そう呟く。
はっきり言って、単純な火力という面においてだけ言えば、私よりクミンの方が上なんじゃないかと思うんだけどね。
もちろん、戦いは火力だけで決まるものじゃないけど、戦闘力という面で見ても、クミンの力は上がっている。
特にエストリーファの加護を得てからは、技術が飛躍的に向上した。
正直、これ以上私が教えることは出来ない。
さらに上を望むなら、剣士や騎士など専門家に教えを請うべきだと思う。
心配事があるとすれば、スタミナ不足って事ぐらいだけど、まだ10歳の子供ということを考えたら仕方がない事だと思う。
そう、クミンはまだ10歳……ミカゲが気にしてるのもそのあたりなんだと思う。
10歳の子供を戦わせるなんて……などと考えているに違いない。
「まぁ、相手はコッチの年齢なんか考慮してくれないけどね。」
私は物陰から飛び出してきたスコーピオンを、串刺しにする。
情報ではこの階層にモンスターはいないはずなんだけどね。
合流したら、みんなと情報の刷り合わせをしておいた方がいいかも知れない。
◇
「ココだよね……何か聞いていたのと違う気もするけど。」
目の前の広間の中央の床には魔法陣が浮かび上がり、その中央に祭壇がある。
こんな魔法陣の事は聞いてないんだよね、と思いながらも祭壇へと近づいていく。
祭壇には聞いていた通りのスイッチが浮かび上がっていた。
「これを正しい順番で入れていけばいいんだよね。」
迷いもなくスイッチを入れていく。
順番はすでに頭の中に入っている為、間違える事は無い……が最後の所で指が止まる。
「こんなの聞いてないぞ?」
最後に現れた二つのスイッチ。
その片方には『起動』もう片方には『アイアンゴーレム』と記載されている。
「どう考えても『起動』の方を押すだろ?何か意味あるのか?」
でも、ひょっとしたら引っ掛けで『アイアンゴーレム』の方が正しいのかも……、そんな考えが、一瞬頭をよぎる。
「バカバカしい、考えるだけ時間の無駄だよ。」
私は『起動』と書かれている方のスイッチを押す。
床の魔法陣の光の強さが増すが、それ以上何も起こらない。
「……えーと、これでいいんだよね?」
なんとなく釈然としないまま、来た道を引き返す。
ダメだったらまたやり直すだけ、とそう思いながら……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
バシュッ……。
飛び掛かってきたスコーピオンが、光のレーザーに貫かれて絶命する。
「はぁ……。」
バシュッ!バシュッ!
溜息を吐きながらも、飛び掛かってくるスコーピオンを撃ち落とす。
「クーちゃん大丈夫かなぁ……。」
バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!
「あー、もぅ、うっとおしい!……コキュートス!」
私を中心にして周り全体が氷に覆われていく。
『凍結監獄』は氷系の究極魔法の一つである。
その範囲内にあるものは、無機物、有機物問わず全てを凍り付かせるという凶悪さから、門外不出の禁呪としてセルアン族の中でも秘匿されていた術だった。
えっ?何でそんなものを知ってるかって?
そんなの、クーちゃんを虐めた詫び代わりに教えてもらったに決まってるじゃない。
元々、セルアン族たちは魔法について詳しくなかったしね。
呪文を唱える暇があったら、近付いて殴った方が早いっていうのがセルアン族たちの考え方なのよ。
だからセルアン族にとっては、身体強化系の魔法と回復系の魔法以外は、詳しくもないし、興味もなかったのよ。
この魔法も『秘術』と言われていたから守っていただけで、これを差し出すだけで、私の怒りが解けるなら安いものって思ったらしいのよ。
実際、コキュートスは発動までに時間がかかるし、発動してからも完成するまでに時間がかかるから、使いどころが難しいし、そもそも馬鹿みたいに魔力を消費するからね。
役に立つかどうかと言われれば難しい所よね。
(こんなところで、スコーピオン相手に使うのはミカゲだけだよ。)
どこからかレフィーアの声が聞こえた気がした。
「レフィーア?いるの?」
声を出し、周りを見回すけど、気配も反応も感じられなかった。
「……気のせい?」
っと、レフィーアの事を考えている間に祭壇の間についたみたい。
床には魔法陣が現れて……っと、光が増したよ。
って事はミュウの所もスイッチ入れたんだね。
じゃぁ私も急がないとね。
「こうして、こうして……これでOKっと。……あれ?ボタンが出てきた……こんなの聞いてないけどなぁ。」
私は現れたボタンを見る。
『起動』と『アイアンゴーレム』って書いてあるね。
「………これはこっち押すに決まってるでしょ。」
私は迷わず『アイアンゴーレム』と書かれたボタンを押す。
ゴゴゴゴゴ………。
大きな地響きな鳴り響き、魔法陣からアイアンゴーレムが現れる。
「あ、おっきぃ……。」
三階層に現れたアイアンゴーレムは、大体一般的な人間の大人を一回り大きくした程度だったけど、目の前に現れたゴーレムは、その3倍ぐらいの大きさがあった。
「でも、まぁ弱点は変わって無い筈。」
私は杖を構えてゴーレムの首に狙いを定める。
「エレクトリック・スパーク!」
杖の先から、電撃の球がバチッ、バチッと音を立てながら飛び出していく。
ゴーレムはそれを振り払おうと腕を振るが、電撃の球は、腕に当たった瞬間に弾ける。
そしてゴーレムの腕から全身へと電撃が走り、ショックでゴーレムが硬直する。
しかし、それも数瞬の事で、すぐに体勢を立て直して、こちらに向かってくる。
「やっぱり鉄はよく電気が通るね。三階層で使わなくて正解だったよ。」
あれだけ密集していたら、皆にも伝わっちゃう可能性があったもんね。
「だけど、こんだけ大きいと、コアの破壊まではいきませんか。」
私はゴーレムの腕を避けながら、別の呪文を唱える。
『サンダーボルト!』
電撃の槍がゴーレムの胸を貫く。
ゴーレムは硬直し、動きを止める……が、少しするとまた動き出す。
「あちゃぁ……足止めにしかならないの?」
アレを止めるにはもっと威力が高いイメージが必要だけど……。
「ヤッパリ稲妻だよね?」
私の脳裏には、遥か昔のアニメでロボットが稲妻で相手を倒すシーンや、稲妻のエネルギーを受けてタイムスリップする映画が浮かび上がる。
「こんな感じかな……『サンダー・ブレイクショット!』」
指を一本伸ばして腕を頭上へとかざし、そこに電気が集まるイメージでマナを変換していく……。
飽和してきたところで、相手に向って腕を振り下ろす。
稲妻が指先から飛び出し、アイアンゴーレムの身体を貫く。
そして、身体全体に回った電撃が延髄にあるコアを破壊し、動力を失ったゴーレムはその場に崩れ落ちる。
「アハッ、ちょっとイメージと違ったけど、これはこれでいっか。」
本当は頭上から雷が落ちる筈だったのに、どこで間違えたんだろうね、などと思いながら、動きを止めたゴーレムを勇者の袋に収納する。
「えっと、……1回限りなのかな?」
祭壇のスイッチは『アイアンゴーレム』の所が点滅していて押せなくなっている。
仕方がないので『起動』のスイッチを押すと、魔法陣の輝きが増す。
「ここでのお仕事お終いっと、じゃぁ戻ろうかな?」
私はまだ凍っている坑道を引き返すことにした。
◇
「んっと、みんないないって事は、もう最後の祭壇に向かってくれたって事だよね?だとすると私は待っていればいいんだよね。」
私はその場にしゃがみ込み、祭壇が現れるのを待つ。
10分ほどすると広間の中央が光り出し、床から魔法陣が浮かび上がる。
と同時に、端の方で祭壇がせり上がってくるのが見えた。
「みんな無事に起動できたみたい。……でもすごいシステムだよね。」
私は大掛かりなギミックに感心しながら祭壇の前に立つ。
「…………。」
私は目を擦ってもう一度祭壇の上のスイッチを見る。
ボタンが三つあり、それぞれ『アイアンゴーレム』『ミスリルゴーレム』『Gの軍勢』と記載されていた。
「何なのよ、これはっ!」
こんなの聞いてないよ、と思いつつ『ミスリルゴーレム』のスイッチを迷わず押す。
中央の魔法陣からミスリルゴーレムが現れる。
「これはまた、おっきぃねぇ……。」
現れたミスリルゴーレムは今までの中で一番大きかった。
なんと言っても、私の身長がゴーレムの股下に届かないのよ。
多分4~5mぐらいはあるよね。
「それはいいとして、ミスリルって魔法の効きが悪いんだっけ?」
私は杖を構えて、試しにソル・レイを撃ってみる。
光のレーザーが、ゴーレムの肩に当たり、弾かれる。
「ノーダメージって訳じゃないけど、殆どの威力が削がれるのかぁ。」
メテオストライクみたいに、物理的質量で押し潰せば、かなりのダメージを与えられるだろうけど、この場所でそんな魔法は使えない。
「となると、減少されてもチクチクと削っていくか、剣でコアを貫くしかない訳だけど……コアはどこにあるのかな?」
私はゴーレムの攻撃をかわしながら、気配探知でコアの場所を探す。
このミスリルゴーレムは巨体の割に素速くて、探知をするのも一苦労なのよ。
「あーっ、もぅ!少しはじっとしていなさいよっ!」
私はゴーレムの足下の地面を少し盛り上げる。
それに気づかないゴーレムは、移動しようとして、盛り上がった部分に脚を取られてバランスを崩す。
ゴーレムの動きが止まったことで、ようやく深いところまで探知することができた。
ゴーレムが起き上がり、腕を振り上げるが、私はその腕もかわす。
ミスリルゴーレムのコアはお腹の下辺りにあった。
頭とかじゃなくて良かったよ、と思いながら剣を抜く。
『ソニックブレード』
私は剣に風の属性を付与し、刃に気流を纏わせると、ゴーレムに向かって走り出す。
ゴーレムは、腕を振り上げ、私に向かって振り下ろす。
それをかわし、ゴーレムの股下に潜り込むと、剣を頭上に向けて思いっきり突き上げる。
股下から刺さった剣先がミスリルゴーレムのコアに届き、それを破壊する。
コアを砕かれたゴーレムは動きを止め、ゆっくりと崩れ落ちる。
「危ないじゃないのよっ!」
ゴーレムの真下にいた私は、崩れ落ちるゴーレムの下敷きになりそうになり、かろうじて間一髪逃れる事ができた。
「ふふん、コレはお宝の山ね。」
私はミスリルゴーレムを収納する。
あれだけの大きさの固まりだと、少しづつ売らないと値崩れを起こしかねないので、注意が必要だね、と思いながら祭壇へと戻る。
「あ、ボタンが代わってるね。」
3つあるのに代わりはないが、今度は『ミスリルゴーレム』『解除』『Gの軍勢』となっていた。
「コレはヤッパリ『ミスリルゴーレム』一択でしょ。」
「何でやねんっ!」
私がボタンを押そうとすると、激しくツッコまれる。
「痛ぁ~い……何するのよっ。」
「こっちのセリフだよ。何でわざわざミスリルゴーレムを選ぶのよっ!」
ツッコミを入れてきたのは、いつの間にか戻ってきていたミュウだった。
ミュウの言葉に、後ろにいたクーちゃんとマリアちゃんも頷いている。
「だって、ミスリルの固まりだよ?普通は押すでしょ?」
私はそう言いながらボタンを押し込む。
「わっ、ばかっ!……ってもう遅いか。」
「さくっと殺ってくるから、そこで見ててよ。」
うなだれるミュウにそう告げて、私はミスリルゴーレムへ向かう。
さぁ、第二ラウンドの始まりよ。
私は見えなくなっても、クミンが向かった坑道を見つめ続けているミカゲを見て、そう呟く。
はっきり言って、単純な火力という面においてだけ言えば、私よりクミンの方が上なんじゃないかと思うんだけどね。
もちろん、戦いは火力だけで決まるものじゃないけど、戦闘力という面で見ても、クミンの力は上がっている。
特にエストリーファの加護を得てからは、技術が飛躍的に向上した。
正直、これ以上私が教えることは出来ない。
さらに上を望むなら、剣士や騎士など専門家に教えを請うべきだと思う。
心配事があるとすれば、スタミナ不足って事ぐらいだけど、まだ10歳の子供ということを考えたら仕方がない事だと思う。
そう、クミンはまだ10歳……ミカゲが気にしてるのもそのあたりなんだと思う。
10歳の子供を戦わせるなんて……などと考えているに違いない。
「まぁ、相手はコッチの年齢なんか考慮してくれないけどね。」
私は物陰から飛び出してきたスコーピオンを、串刺しにする。
情報ではこの階層にモンスターはいないはずなんだけどね。
合流したら、みんなと情報の刷り合わせをしておいた方がいいかも知れない。
◇
「ココだよね……何か聞いていたのと違う気もするけど。」
目の前の広間の中央の床には魔法陣が浮かび上がり、その中央に祭壇がある。
こんな魔法陣の事は聞いてないんだよね、と思いながらも祭壇へと近づいていく。
祭壇には聞いていた通りのスイッチが浮かび上がっていた。
「これを正しい順番で入れていけばいいんだよね。」
迷いもなくスイッチを入れていく。
順番はすでに頭の中に入っている為、間違える事は無い……が最後の所で指が止まる。
「こんなの聞いてないぞ?」
最後に現れた二つのスイッチ。
その片方には『起動』もう片方には『アイアンゴーレム』と記載されている。
「どう考えても『起動』の方を押すだろ?何か意味あるのか?」
でも、ひょっとしたら引っ掛けで『アイアンゴーレム』の方が正しいのかも……、そんな考えが、一瞬頭をよぎる。
「バカバカしい、考えるだけ時間の無駄だよ。」
私は『起動』と書かれている方のスイッチを押す。
床の魔法陣の光の強さが増すが、それ以上何も起こらない。
「……えーと、これでいいんだよね?」
なんとなく釈然としないまま、来た道を引き返す。
ダメだったらまたやり直すだけ、とそう思いながら……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
バシュッ……。
飛び掛かってきたスコーピオンが、光のレーザーに貫かれて絶命する。
「はぁ……。」
バシュッ!バシュッ!
溜息を吐きながらも、飛び掛かってくるスコーピオンを撃ち落とす。
「クーちゃん大丈夫かなぁ……。」
バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!
「あー、もぅ、うっとおしい!……コキュートス!」
私を中心にして周り全体が氷に覆われていく。
『凍結監獄』は氷系の究極魔法の一つである。
その範囲内にあるものは、無機物、有機物問わず全てを凍り付かせるという凶悪さから、門外不出の禁呪としてセルアン族の中でも秘匿されていた術だった。
えっ?何でそんなものを知ってるかって?
そんなの、クーちゃんを虐めた詫び代わりに教えてもらったに決まってるじゃない。
元々、セルアン族たちは魔法について詳しくなかったしね。
呪文を唱える暇があったら、近付いて殴った方が早いっていうのがセルアン族たちの考え方なのよ。
だからセルアン族にとっては、身体強化系の魔法と回復系の魔法以外は、詳しくもないし、興味もなかったのよ。
この魔法も『秘術』と言われていたから守っていただけで、これを差し出すだけで、私の怒りが解けるなら安いものって思ったらしいのよ。
実際、コキュートスは発動までに時間がかかるし、発動してからも完成するまでに時間がかかるから、使いどころが難しいし、そもそも馬鹿みたいに魔力を消費するからね。
役に立つかどうかと言われれば難しい所よね。
(こんなところで、スコーピオン相手に使うのはミカゲだけだよ。)
どこからかレフィーアの声が聞こえた気がした。
「レフィーア?いるの?」
声を出し、周りを見回すけど、気配も反応も感じられなかった。
「……気のせい?」
っと、レフィーアの事を考えている間に祭壇の間についたみたい。
床には魔法陣が現れて……っと、光が増したよ。
って事はミュウの所もスイッチ入れたんだね。
じゃぁ私も急がないとね。
「こうして、こうして……これでOKっと。……あれ?ボタンが出てきた……こんなの聞いてないけどなぁ。」
私は現れたボタンを見る。
『起動』と『アイアンゴーレム』って書いてあるね。
「………これはこっち押すに決まってるでしょ。」
私は迷わず『アイアンゴーレム』と書かれたボタンを押す。
ゴゴゴゴゴ………。
大きな地響きな鳴り響き、魔法陣からアイアンゴーレムが現れる。
「あ、おっきぃ……。」
三階層に現れたアイアンゴーレムは、大体一般的な人間の大人を一回り大きくした程度だったけど、目の前に現れたゴーレムは、その3倍ぐらいの大きさがあった。
「でも、まぁ弱点は変わって無い筈。」
私は杖を構えてゴーレムの首に狙いを定める。
「エレクトリック・スパーク!」
杖の先から、電撃の球がバチッ、バチッと音を立てながら飛び出していく。
ゴーレムはそれを振り払おうと腕を振るが、電撃の球は、腕に当たった瞬間に弾ける。
そしてゴーレムの腕から全身へと電撃が走り、ショックでゴーレムが硬直する。
しかし、それも数瞬の事で、すぐに体勢を立て直して、こちらに向かってくる。
「やっぱり鉄はよく電気が通るね。三階層で使わなくて正解だったよ。」
あれだけ密集していたら、皆にも伝わっちゃう可能性があったもんね。
「だけど、こんだけ大きいと、コアの破壊まではいきませんか。」
私はゴーレムの腕を避けながら、別の呪文を唱える。
『サンダーボルト!』
電撃の槍がゴーレムの胸を貫く。
ゴーレムは硬直し、動きを止める……が、少しするとまた動き出す。
「あちゃぁ……足止めにしかならないの?」
アレを止めるにはもっと威力が高いイメージが必要だけど……。
「ヤッパリ稲妻だよね?」
私の脳裏には、遥か昔のアニメでロボットが稲妻で相手を倒すシーンや、稲妻のエネルギーを受けてタイムスリップする映画が浮かび上がる。
「こんな感じかな……『サンダー・ブレイクショット!』」
指を一本伸ばして腕を頭上へとかざし、そこに電気が集まるイメージでマナを変換していく……。
飽和してきたところで、相手に向って腕を振り下ろす。
稲妻が指先から飛び出し、アイアンゴーレムの身体を貫く。
そして、身体全体に回った電撃が延髄にあるコアを破壊し、動力を失ったゴーレムはその場に崩れ落ちる。
「アハッ、ちょっとイメージと違ったけど、これはこれでいっか。」
本当は頭上から雷が落ちる筈だったのに、どこで間違えたんだろうね、などと思いながら、動きを止めたゴーレムを勇者の袋に収納する。
「えっと、……1回限りなのかな?」
祭壇のスイッチは『アイアンゴーレム』の所が点滅していて押せなくなっている。
仕方がないので『起動』のスイッチを押すと、魔法陣の輝きが増す。
「ここでのお仕事お終いっと、じゃぁ戻ろうかな?」
私はまだ凍っている坑道を引き返すことにした。
◇
「んっと、みんないないって事は、もう最後の祭壇に向かってくれたって事だよね?だとすると私は待っていればいいんだよね。」
私はその場にしゃがみ込み、祭壇が現れるのを待つ。
10分ほどすると広間の中央が光り出し、床から魔法陣が浮かび上がる。
と同時に、端の方で祭壇がせり上がってくるのが見えた。
「みんな無事に起動できたみたい。……でもすごいシステムだよね。」
私は大掛かりなギミックに感心しながら祭壇の前に立つ。
「…………。」
私は目を擦ってもう一度祭壇の上のスイッチを見る。
ボタンが三つあり、それぞれ『アイアンゴーレム』『ミスリルゴーレム』『Gの軍勢』と記載されていた。
「何なのよ、これはっ!」
こんなの聞いてないよ、と思いつつ『ミスリルゴーレム』のスイッチを迷わず押す。
中央の魔法陣からミスリルゴーレムが現れる。
「これはまた、おっきぃねぇ……。」
現れたミスリルゴーレムは今までの中で一番大きかった。
なんと言っても、私の身長がゴーレムの股下に届かないのよ。
多分4~5mぐらいはあるよね。
「それはいいとして、ミスリルって魔法の効きが悪いんだっけ?」
私は杖を構えて、試しにソル・レイを撃ってみる。
光のレーザーが、ゴーレムの肩に当たり、弾かれる。
「ノーダメージって訳じゃないけど、殆どの威力が削がれるのかぁ。」
メテオストライクみたいに、物理的質量で押し潰せば、かなりのダメージを与えられるだろうけど、この場所でそんな魔法は使えない。
「となると、減少されてもチクチクと削っていくか、剣でコアを貫くしかない訳だけど……コアはどこにあるのかな?」
私はゴーレムの攻撃をかわしながら、気配探知でコアの場所を探す。
このミスリルゴーレムは巨体の割に素速くて、探知をするのも一苦労なのよ。
「あーっ、もぅ!少しはじっとしていなさいよっ!」
私はゴーレムの足下の地面を少し盛り上げる。
それに気づかないゴーレムは、移動しようとして、盛り上がった部分に脚を取られてバランスを崩す。
ゴーレムの動きが止まったことで、ようやく深いところまで探知することができた。
ゴーレムが起き上がり、腕を振り上げるが、私はその腕もかわす。
ミスリルゴーレムのコアはお腹の下辺りにあった。
頭とかじゃなくて良かったよ、と思いながら剣を抜く。
『ソニックブレード』
私は剣に風の属性を付与し、刃に気流を纏わせると、ゴーレムに向かって走り出す。
ゴーレムは、腕を振り上げ、私に向かって振り下ろす。
それをかわし、ゴーレムの股下に潜り込むと、剣を頭上に向けて思いっきり突き上げる。
股下から刺さった剣先がミスリルゴーレムのコアに届き、それを破壊する。
コアを砕かれたゴーレムは動きを止め、ゆっくりと崩れ落ちる。
「危ないじゃないのよっ!」
ゴーレムの真下にいた私は、崩れ落ちるゴーレムの下敷きになりそうになり、かろうじて間一髪逃れる事ができた。
「ふふん、コレはお宝の山ね。」
私はミスリルゴーレムを収納する。
あれだけの大きさの固まりだと、少しづつ売らないと値崩れを起こしかねないので、注意が必要だね、と思いながら祭壇へと戻る。
「あ、ボタンが代わってるね。」
3つあるのに代わりはないが、今度は『ミスリルゴーレム』『解除』『Gの軍勢』となっていた。
「コレはヤッパリ『ミスリルゴーレム』一択でしょ。」
「何でやねんっ!」
私がボタンを押そうとすると、激しくツッコまれる。
「痛ぁ~い……何するのよっ。」
「こっちのセリフだよ。何でわざわざミスリルゴーレムを選ぶのよっ!」
ツッコミを入れてきたのは、いつの間にか戻ってきていたミュウだった。
ミュウの言葉に、後ろにいたクーちゃんとマリアちゃんも頷いている。
「だって、ミスリルの固まりだよ?普通は押すでしょ?」
私はそう言いながらボタンを押し込む。
「わっ、ばかっ!……ってもう遅いか。」
「さくっと殺ってくるから、そこで見ててよ。」
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さぁ、第二ラウンドの始まりよ。
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