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第二夜
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ルームシェアをしているのは普通のアパートで、自室以外はすべて共同だ。
料理などの家事はできるほうができるときにやるという緩いルールだが、これまた特に支障はない。
今日は恭介の作った夕飯を食べ、洗い物は進んで海斗が担当してくれた。
実家を出たのはお互いこれがはじめてなので、二人で試行錯誤なんとかやっているといったところだ。
ソファに座ってぼんやりテレビを見ていると、皿洗いを終えた海斗が恭介の隣に腰を下ろした。
「あ、そういえば、あれから尻どう?」
ふと思い出したらしく、何気なくそう尋ねてくる。
あの原因不明の尻と腰の痛みから数日、恭介の体調はもうすっかり良くなっていた。
特に尻に関しては、海斗が買ってきてくれた塗り薬のおかげだろう、痛みはもうない。
CMでもよく見かける注入タイプは使用するのが怖かったので、塗るタイプを買ってきてもらったが、それでも十分効いたようだ。
「たぶんもう治った。薬ありがとな。……買うの恥ずかしかったろ」
「別に平気。俺コンドーム1箱単体を余裕で女の人のレジで買えるもん。あんな薬、楽勝」
「マジ?強いなお前」
「ま、今は彼女いないけどー」と残念そうに言う海斗を横目に、恭介は「あ」と声を漏らした。
「そういえば、俺彼女できた」
生まれてはじめての彼女ということもあって、少し照れ臭さかったがそう報告すると、海斗は「……は?」とひどく冷ややかな視線を送ってきた。
「な、なんだよ。お前だって彼女いたことあっただろ」
なんで喜んでくれないんだ、と少しムッとして恭介は言い返す。
「……まあね、俺は恭介と違って童貞じゃないけどね」
「お、俺だってすぐ脱童貞するしっ」
そんな予定はないのだが、思わず見栄を張ってしまう。
「……じゃあ、その時はウチでヤりなよ。事前に教えてくれたら俺帰る時間遅らせるし」
「え、……いいのか?」
さっきまでどこか機嫌が悪かったように見えたのは気のせいだろうか。
それは恭介にとってとても助かる提案だった。ホテル代が浮くのだから、そうさせてもらえると非常にありがたいのだ。
「いいよ。でも、事前に教えてね。俺も予定あるし、3日前くらいには教えて欲しいかな」
恭介は勿論だと強く頷き、急に現実味を帯びてきた脱童貞に向けて、内心ガッツポーズをした。
その次の日、朝起きるとまた尻に違和感があった。
しかし前ほどの痛みはなかったため、こっそりと薬を塗ってから大学に行った。
そうして昼ごろになると、なぜか股関節周りの筋肉痛が始まった。
前日のアルバイトのせいかとも思ったが、スーパーのレジ打ちで股関節を痛めるなんて聞いたことがない。
恭介はサークルや部活にも入っていないため、となると本当に心当たりがなかった。
ただただ不思議で、少し自分の体が不気味だった。
料理などの家事はできるほうができるときにやるという緩いルールだが、これまた特に支障はない。
今日は恭介の作った夕飯を食べ、洗い物は進んで海斗が担当してくれた。
実家を出たのはお互いこれがはじめてなので、二人で試行錯誤なんとかやっているといったところだ。
ソファに座ってぼんやりテレビを見ていると、皿洗いを終えた海斗が恭介の隣に腰を下ろした。
「あ、そういえば、あれから尻どう?」
ふと思い出したらしく、何気なくそう尋ねてくる。
あの原因不明の尻と腰の痛みから数日、恭介の体調はもうすっかり良くなっていた。
特に尻に関しては、海斗が買ってきてくれた塗り薬のおかげだろう、痛みはもうない。
CMでもよく見かける注入タイプは使用するのが怖かったので、塗るタイプを買ってきてもらったが、それでも十分効いたようだ。
「たぶんもう治った。薬ありがとな。……買うの恥ずかしかったろ」
「別に平気。俺コンドーム1箱単体を余裕で女の人のレジで買えるもん。あんな薬、楽勝」
「マジ?強いなお前」
「ま、今は彼女いないけどー」と残念そうに言う海斗を横目に、恭介は「あ」と声を漏らした。
「そういえば、俺彼女できた」
生まれてはじめての彼女ということもあって、少し照れ臭さかったがそう報告すると、海斗は「……は?」とひどく冷ややかな視線を送ってきた。
「な、なんだよ。お前だって彼女いたことあっただろ」
なんで喜んでくれないんだ、と少しムッとして恭介は言い返す。
「……まあね、俺は恭介と違って童貞じゃないけどね」
「お、俺だってすぐ脱童貞するしっ」
そんな予定はないのだが、思わず見栄を張ってしまう。
「……じゃあ、その時はウチでヤりなよ。事前に教えてくれたら俺帰る時間遅らせるし」
「え、……いいのか?」
さっきまでどこか機嫌が悪かったように見えたのは気のせいだろうか。
それは恭介にとってとても助かる提案だった。ホテル代が浮くのだから、そうさせてもらえると非常にありがたいのだ。
「いいよ。でも、事前に教えてね。俺も予定あるし、3日前くらいには教えて欲しいかな」
恭介は勿論だと強く頷き、急に現実味を帯びてきた脱童貞に向けて、内心ガッツポーズをした。
その次の日、朝起きるとまた尻に違和感があった。
しかし前ほどの痛みはなかったため、こっそりと薬を塗ってから大学に行った。
そうして昼ごろになると、なぜか股関節周りの筋肉痛が始まった。
前日のアルバイトのせいかとも思ったが、スーパーのレジ打ちで股関節を痛めるなんて聞いたことがない。
恭介はサークルや部活にも入っていないため、となると本当に心当たりがなかった。
ただただ不思議で、少し自分の体が不気味だった。
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