幼なじみに毎晩寝込みを襲われています

西 美月

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第八夜(1)

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 時々恭介の中で沸き起こるおかしな妄想を除いて、芽衣との交際は順調だった。

 付き合い始めて2ヶ月ほどが経ったころ、ついにその日がやってこようとしていた。

「なあ海斗!なあなあなあ!」

 バイト帰りに芽衣を送って真っ直ぐ帰宅するや否や、ばたばたと足音を立ててリビングに駆け込む。
 くつろいでいた海斗の肩を掴んで興奮気味に揺らす。

「め……、彼女が!彼女が今度うちに来ることになったっ!」

 けれどその肩はがっしりとしていて、服の下の生々しい硬い筋肉を感じてしまって、結局パッと手を離してしまう。

「やっと?で、俺はいつ留守にすればいいわけ?」

 読んでいた小説にしおりを挟んで、海斗が顔を上げる。体育会系のくせに、昔から読書が趣味なのだ。

「金曜!4日後!遅く帰ってきてくれ」

 海斗様、と手のひらとひらを合わせてお願いする。

 彼女が家に遊びに来る、ということは、つまり、そういう流れになるはずなのだ。
 説明するまでもないが、未だに恭介と芽衣はキス止まりだ。その先に進むのなら、その日以外考えられない。
 
 相変わらず海斗は、なぜか恭介の彼女の話になると機嫌が悪くなるから、丁寧に依頼をしている。

「……いいよ。分かった。てか普通にバイトだわ金曜」

「まじ?やった」

 居酒屋でバイトをしている海斗は、バイトの日はいつも22時過ぎにしか帰ってこない。
 ケロっとした様子でそう言うから、身構えていた恭介は少し拍子抜けしてしまう。
 でもこれで、同居人が留守のうちに芽衣を家に呼べる。

 ホッと肩をなで下ろすと、じっとこちらを見てくる海斗の視線が刺さる。

「……お前、本当に彼女のこと好きなの?」

「え」突然の質問に、喉の奥がきゅっと詰まる。

 芽衣の恭介に対する想いが100なら、恭介の芽衣に対する想いはまだ50ほどだ。

 でも、付き合うことを了承したあの時からは確実に増えているし、これからもっと増えていくはずなのだ。

「……好きだよ」かなり遅れて答えると、「遅え」と頭に重めの手刀が降ってくる。

「いってぇ」
「即答しろよそこは。なに、なんかあんの?」

 海斗がソファの肘掛けに頬杖をついて、探るような目を向けてくる。探偵さながらの鋭い瞳に、恭介は思わずたじろいでしまう。

「なんか……というか……」正直に口を開きかけて、でもやっぱり逡巡してしまう。幼なじみに相談していい内容なのか分からない。

「俺、経験豊富よ?」恭介の考えを読んでいるかのように、海斗がフッと笑う。

 確かに海斗は、恭介が知る限りでも過去に5人は彼女がいた。
 最初は、チビのくせに、と負け台詞のようなものを吐いていた恭介だが、サッカー部のエースで、整った甘いルックスとくれば、海斗がモテるのは必然だった。

 彼女がコロコロ変わるにつれて、いつしか悪態もつけないほど、海斗はどこか遠い存在になっていってしまった。
 身長なんてイケメンには関係ないのだな、と悟ったのもその時だ。

「き、キスってさ……」

 恭介が恐る恐る口を開くと、一瞬海斗のこめかみがピクッと動いた。

「したの?」と食い気味に聞いてくる。

「あ、うん、何度か」

「何度か」恭介の言葉をそのまま復唱する。
 なんだか、雲行きが怪しい。

──機嫌、悪くなってないか……?

「それで?」と顎先で促されれば、従うしかない。
 恭介は腹を括って、経験豊富な幼なじみを見据えた。
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