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番外編2②─翔太side─
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部屋には誰も居なかった。
だが、室内を見渡しても、清彦が言うほど散らかっている印象は受けない。
強いて言うならローテーブルの上に、清彦のノートパソコンが画面がついたまま置かれているくらいだ。
翔太の視線に気づいた清彦が、飛びつくようにしてパソコンを閉じた。
「すぐ片付けるから」
見られたらまずいものがある、というのは一目瞭然だった。
「あ」と窓の方向を向いて驚いた声を上げる。清彦がそちらに気を取られた隙に、手元のパソコンを取り上げる。
翔太が背伸びをして高い位置まで持ち上げてしまえば清彦には届かない。
「ちょっと……!返してよ!」
「まさかこれでどっかの男と連絡を取ってたんじゃないの」
「なんでそうなる!?いいから返せっ」
ぴょんぴょんとジャンプして奪い返そうと必死だ。ますます怪しい。
だが、意地悪をやめて翔太はパソコンを返した。
意外そうにきょとんとした顔で清彦がそれを受け取る。
「ジャンプなんかして、何かあったらどうするんですか」
高校時代に怪我をした清彦の右膝には、痛々しい手術の跡がある。今でも気候や気温によって痛むことがあるし、昔のように激しい運動は出来ない。
「別にこのくらい平気……」
「ならいいけど、無茶しないでよ、頼むから」
きっとキスは嫌がるから、頭をぽんぽんと撫でるだけにすると、もたれるようにして清彦が抱きついてきた。
「あのね、じつは」
堰を切ったように突然ポロポロと涙を零しはじめる。
「シ……が、うう……っ、シ……を」
言葉にならないようで、机の上でパソコンの画面を開いて見せてきた。
美容整形外科のホームページだ。
理解が追いつかなくて、冗談まじりに聞いてみる。
「整形でもするんです?」
「……そう」
「えっ?どこを?」
ロシア人の血を引くクォーターの清彦は、目はぱっちりとした二重だし、すらりとした綺麗な鼻筋を持っているし、そこらへんのモデルが霞むくらい小顔だし、整形の必要性が分からない。
「顔の、……シ、……」
「シ?」
「…………シミ」
まさに蚊の鳴くような、小さな声だった。
なんだそんなことか!と思ったが、そのセリフは飲み込む。泣くほど気にしていたらしい。
キスやスキンシップを拒んでいたのは、それを見られたくなかったからだ。
「どれ?」
両手のひらで、陶器のように白い頬を挟み込んで、間近で見つめる。
「うう~っ」と呻き声を漏らしながらぎゅっと清彦が目を瞑る。
目を凝らしてよく見れば、確かに両頬にそばかすのようなものが見てとれる。普通の人間ならこれができても気にも留めないだろうが、色白の清彦の肌だとほんの少し目立つ。
「俺は全然気にならないけど……」
「うそ。いつも俺のこと可愛いとか、綺麗とか言うくせに」
「そりゃ、そう思ってるからね。でも、肌が荒れてようが、鼻の下にでっかい黒子ができようが、俺は先輩のこと嫌いになんてならないよ」
「……そうなの?」
自分の価値が顔だけだとでも思っているのか、子犬のように澄んだ瞳で首を傾げてくる。
「そうすよ?真面目なところも、気が強いところも、賢いところも好きだし、綺麗好きなところと、料理が上手いところとか家事してる姿も好きだし、あと……」
「ちょっと、もういい、分かったから」
嬉しそうに、でも恥ずかしそうに清彦が翔太の言葉を遮る。前屈みになって、もじもじと羞恥に震えている。
バスタオル一枚の清彦の中心が膨らんでいるのを翔太は見逃さなかった。
「嬉しくて勃っちゃった?」
つーっ、と指先で硬くなった場所を撫で上げる。
「ごめ……、あ、服着てくるから」
そう言いながらも、動こうとしない清彦が愛おしい。
「先輩の好きなところまだあるよ」
引き寄せて、久しぶりにその耳元に顔を寄せる。鼻腔いっぱいに清彦の匂いを嗅ぐと、風呂上がりの石鹸の匂いがした。
「エッチの時にどエロくなるところも好き。ね、タオルの中見せて」
耳朶を噛みながら囁く。
美容整形外科へ行く必要はないと伝えるのは明日の朝でいいだろう。
足元にバスタオルが落ちる。
翔太は膝をついて、切なそうに先端から蜜を垂らす清彦の性器に唇を這わせた。
だが、室内を見渡しても、清彦が言うほど散らかっている印象は受けない。
強いて言うならローテーブルの上に、清彦のノートパソコンが画面がついたまま置かれているくらいだ。
翔太の視線に気づいた清彦が、飛びつくようにしてパソコンを閉じた。
「すぐ片付けるから」
見られたらまずいものがある、というのは一目瞭然だった。
「あ」と窓の方向を向いて驚いた声を上げる。清彦がそちらに気を取られた隙に、手元のパソコンを取り上げる。
翔太が背伸びをして高い位置まで持ち上げてしまえば清彦には届かない。
「ちょっと……!返してよ!」
「まさかこれでどっかの男と連絡を取ってたんじゃないの」
「なんでそうなる!?いいから返せっ」
ぴょんぴょんとジャンプして奪い返そうと必死だ。ますます怪しい。
だが、意地悪をやめて翔太はパソコンを返した。
意外そうにきょとんとした顔で清彦がそれを受け取る。
「ジャンプなんかして、何かあったらどうするんですか」
高校時代に怪我をした清彦の右膝には、痛々しい手術の跡がある。今でも気候や気温によって痛むことがあるし、昔のように激しい運動は出来ない。
「別にこのくらい平気……」
「ならいいけど、無茶しないでよ、頼むから」
きっとキスは嫌がるから、頭をぽんぽんと撫でるだけにすると、もたれるようにして清彦が抱きついてきた。
「あのね、じつは」
堰を切ったように突然ポロポロと涙を零しはじめる。
「シ……が、うう……っ、シ……を」
言葉にならないようで、机の上でパソコンの画面を開いて見せてきた。
美容整形外科のホームページだ。
理解が追いつかなくて、冗談まじりに聞いてみる。
「整形でもするんです?」
「……そう」
「えっ?どこを?」
ロシア人の血を引くクォーターの清彦は、目はぱっちりとした二重だし、すらりとした綺麗な鼻筋を持っているし、そこらへんのモデルが霞むくらい小顔だし、整形の必要性が分からない。
「顔の、……シ、……」
「シ?」
「…………シミ」
まさに蚊の鳴くような、小さな声だった。
なんだそんなことか!と思ったが、そのセリフは飲み込む。泣くほど気にしていたらしい。
キスやスキンシップを拒んでいたのは、それを見られたくなかったからだ。
「どれ?」
両手のひらで、陶器のように白い頬を挟み込んで、間近で見つめる。
「うう~っ」と呻き声を漏らしながらぎゅっと清彦が目を瞑る。
目を凝らしてよく見れば、確かに両頬にそばかすのようなものが見てとれる。普通の人間ならこれができても気にも留めないだろうが、色白の清彦の肌だとほんの少し目立つ。
「俺は全然気にならないけど……」
「うそ。いつも俺のこと可愛いとか、綺麗とか言うくせに」
「そりゃ、そう思ってるからね。でも、肌が荒れてようが、鼻の下にでっかい黒子ができようが、俺は先輩のこと嫌いになんてならないよ」
「……そうなの?」
自分の価値が顔だけだとでも思っているのか、子犬のように澄んだ瞳で首を傾げてくる。
「そうすよ?真面目なところも、気が強いところも、賢いところも好きだし、綺麗好きなところと、料理が上手いところとか家事してる姿も好きだし、あと……」
「ちょっと、もういい、分かったから」
嬉しそうに、でも恥ずかしそうに清彦が翔太の言葉を遮る。前屈みになって、もじもじと羞恥に震えている。
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「嬉しくて勃っちゃった?」
つーっ、と指先で硬くなった場所を撫で上げる。
「ごめ……、あ、服着てくるから」
そう言いながらも、動こうとしない清彦が愛おしい。
「先輩の好きなところまだあるよ」
引き寄せて、久しぶりにその耳元に顔を寄せる。鼻腔いっぱいに清彦の匂いを嗅ぐと、風呂上がりの石鹸の匂いがした。
「エッチの時にどエロくなるところも好き。ね、タオルの中見せて」
耳朶を噛みながら囁く。
美容整形外科へ行く必要はないと伝えるのは明日の朝でいいだろう。
足元にバスタオルが落ちる。
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