元平民の義妹は私の婚約者を狙っている

カレイ

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入学式

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「なに今の……」

 去っていくヴィヴィの背中を嫌そうに見ながら、ロバートは吐き捨てるようにそう言った。
 エミーヌは怒らないでとロバートの背中をさする。

「いつものことよ」
「ミーちゃんから話は聞いていたけれど、実際目にするとこんなにも不快なものなんだね」
「慣れたらそうでもなくなるわよ」
「どうしてそこまでミーちゃんを悪者にしたいのかな」
「私が気に食わない存在なのは確かよね」
「分かった。ミーちゃんが魅力的なところばっかりあるからだ」
「……!」

 ロバートはたまに、スルリととんでもないことを言ってのける。
 エミーヌは突然の言葉に目を丸くした。

「そんな訳ないわよ。お父様からの愛だって私は持っていないし、美しさもあの子の方が勝ってるわ」
「ミーちゃんは自分を下に見過ぎ。もうちょっと自信持ってくれない?……まぁ、この天然さが好きなんだけども」
「それよりも、そろそろ入学式が始まる時間じゃないかしら。皆集まってるわよ。早く行きましょう」
「そうだね」

 ロバートといるとエミーヌはよく喋り笑った。本来、こちらがエミーヌの本当の姿だ。
 絶対に、誰にも教えてあげない。
 僕の特権だから。そう思いながらロバートは彼女の背中を追いかけた。




 入学式が始まると早速、新入生代表の言葉に選ばれたヴィヴィが壇上に上がった。
 入試試験で一位を取ったヴィヴィが前に酷く父に褒められているところを、そういえば見かけたなとエミーヌはぼんやりと思い出す。
 ちなみに去年はロバートがこの挨拶をした。普段はヘラヘラ笑っていて優秀さを感じさせないのに、代表の挨拶をすると聞いた時はかなり驚いたものだ。
 でも考えてみれば確かにロバートは頭の回転が速いし、なんでもそつなくこなしてしまうところがある。考えられないことはなかった。

 ヴィヴィはと言えばこの子も天才タイプで、あまり勉強しているところを見たところがない。エミーヌが何時間もかける問題を、ヴィヴィはいとも簡単に解いたりする。
 だからヴィヴィがスピーチをすると聞いても、エミーヌはそんなに驚かなかった。
 ヴィヴィは緊張を感じさせない爽やかな表情で挨拶を進めていく。
 その可愛らしい声と冷静さに皆が感心する。
 先程の騒動が嘘かのように思わせる素晴らしいスピーチに、ヴィヴィに対する好感度は高くなっていた。

「結構悪い子じゃないかも」
「ていうか、かなり可愛い」

 なんて声がちらほらと聞こえてくるが、中にはヴィヴィのことをよく思わない者もいる。
 このパルカード王国の第二王子であるエドモンや、彼の友人である数人の令息だ。
 特にエドモンはプライドが高く、負けなど知らなかったので、この結果に満足していないようだった。

 面倒なことにならなければ良いけれど……とエミーヌはヴィヴィと彼らを見ながら思った。
 

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