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じゃない方の私
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妹は、それはそれは天使のように美しかった。
黄金に輝く金髪に宝石を散りばめたかのように煌めく紫色の瞳。誰もが憧れる美しい容姿に加えて、性格までもおっとりとしていて優しく、まさに心身ともに天使としか言いようがなかった。妹は伯爵家に舞い降りた一つの希望だった。
対して私は普通としか言いようがなく、両親からは関心も向けられない、兄からは無視される、必要のない存在だった。でも妹はそんな私を一番に慕ってくれていた。
私にも人並みに嫉妬心なんてものがあるので、妹のことが嫌いな時期もあった。妹に向けられる愛情が羨ましくて、つい冷たく当たってしまう時も。両親が私に何か話す時はいつも妹関連のことで、嫌気がさしたこともあった。
それでも太陽のような笑顔を私に見せ続けてくれる妹に、いつの日か妹こそ唯一の存在だといつか気付かされたのだ。
「サーニャを一番に守れ」という両親の命令。そんなの言われなくたって分かっている。
妹に気持ち悪い目で近づく令息に、妹に嫉妬して危害を加えようとする令嬢。私は彼らが一瞬でもサーニャに触れることを私を含めた家族の誰も許さなかった。
あらゆる者からサーニャを守った私は、いつのまにか天使な妹に纏わりつく心の狭い姉としてその名を馳せた。そしてついたあだ名が「じゃない方」。
妹の金魚のフンでしかない私に反感を持つ者は多かった。妹に一番に好かれたい兄や妹の婚約者それから私の婚約者は、特に私のことを妬んだ。
「サーニャは僕の婚約者です!シルヴィア様は一旦席を外しても良いのでは?」
「サーニャ、たまにはお兄様のところにもおいで。なんでシルヴィアなんかに構うんだ」
「お前じゃなく、サーニャが婚約者だったらどんなに良かったか。義妹なんて勿体なさすぎる」
だれもかれも私への嫉妬と妹に対しての下心が丸見えだった。背中で怯えているサーニャを隠しながら何度彼らを追い払ったことか。
私にとって妹を幸せにすることが一番の務めなのだ。妹は私を愛してくれるたった一人の存在だから。他の何千人に嫌われようと、たった一人の妹に嫌われる方がよほど怖い。周りには好きに言わせておいたら良い。
でも妹はいつも心配していた。
「もっとお姉様自身のことに時間を使って」
「このままお姉様が誤解されるなんて嫌ですわ」
「私のことよりも、自分自身のことを心配してください」
その度に私は嬉しくなる。
「ありがとうサーニャ。でもお姉様のことは気にしないで。貴方を守ることが一番の幸せなんだから」
「もう、お姉様はそう言っていつも私を甘やかすんですから」
ぷうっと頬を膨らませた妹はやっぱり可愛くて、胸が幸せな気持ちで溢れる。
このままこの関係を続けられるならばそれが一番の幸せ、そう思っていたけれど。
「シルヴィア嬢、サーニャを虐めた罪で告訴します!」
幸せは壊される寸前だった。
黄金に輝く金髪に宝石を散りばめたかのように煌めく紫色の瞳。誰もが憧れる美しい容姿に加えて、性格までもおっとりとしていて優しく、まさに心身ともに天使としか言いようがなかった。妹は伯爵家に舞い降りた一つの希望だった。
対して私は普通としか言いようがなく、両親からは関心も向けられない、兄からは無視される、必要のない存在だった。でも妹はそんな私を一番に慕ってくれていた。
私にも人並みに嫉妬心なんてものがあるので、妹のことが嫌いな時期もあった。妹に向けられる愛情が羨ましくて、つい冷たく当たってしまう時も。両親が私に何か話す時はいつも妹関連のことで、嫌気がさしたこともあった。
それでも太陽のような笑顔を私に見せ続けてくれる妹に、いつの日か妹こそ唯一の存在だといつか気付かされたのだ。
「サーニャを一番に守れ」という両親の命令。そんなの言われなくたって分かっている。
妹に気持ち悪い目で近づく令息に、妹に嫉妬して危害を加えようとする令嬢。私は彼らが一瞬でもサーニャに触れることを私を含めた家族の誰も許さなかった。
あらゆる者からサーニャを守った私は、いつのまにか天使な妹に纏わりつく心の狭い姉としてその名を馳せた。そしてついたあだ名が「じゃない方」。
妹の金魚のフンでしかない私に反感を持つ者は多かった。妹に一番に好かれたい兄や妹の婚約者それから私の婚約者は、特に私のことを妬んだ。
「サーニャは僕の婚約者です!シルヴィア様は一旦席を外しても良いのでは?」
「サーニャ、たまにはお兄様のところにもおいで。なんでシルヴィアなんかに構うんだ」
「お前じゃなく、サーニャが婚約者だったらどんなに良かったか。義妹なんて勿体なさすぎる」
だれもかれも私への嫉妬と妹に対しての下心が丸見えだった。背中で怯えているサーニャを隠しながら何度彼らを追い払ったことか。
私にとって妹を幸せにすることが一番の務めなのだ。妹は私を愛してくれるたった一人の存在だから。他の何千人に嫌われようと、たった一人の妹に嫌われる方がよほど怖い。周りには好きに言わせておいたら良い。
でも妹はいつも心配していた。
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「ありがとうサーニャ。でもお姉様のことは気にしないで。貴方を守ることが一番の幸せなんだから」
「もう、お姉様はそう言っていつも私を甘やかすんですから」
ぷうっと頬を膨らませた妹はやっぱり可愛くて、胸が幸せな気持ちで溢れる。
このままこの関係を続けられるならばそれが一番の幸せ、そう思っていたけれど。
「シルヴィア嬢、サーニャを虐めた罪で告訴します!」
幸せは壊される寸前だった。
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