今さら救いの手とかいらないのですが……

カレイ

文字の大きさ
10 / 19

10話

しおりを挟む
 どうでも良いということはつまり『無関心』ということで、人からかけられる言葉でこれほど侮辱的な言葉はないのだろうかとオデットは思うのだが、それは女生徒たちも同じだったようだ。

「そ、うですよね……今さら、謝られたところでって所でっ……そうですよね、当然の感情……」
「謝罪しにきたのも、自分の罪悪感をなくす為で……そんなの、赦されませんよ、ね……」
「私たち……、お互い同じ気持ちだから良いって、責任を転嫁しあって、それで……それで……」

 戸惑いながらもつぎはぎに話す女生徒たち。あれだけ人を簡単に陥れていたような人間が簡単に本音を漏らしたことが、オデットにとっては驚きであったが、それに気づけた彼女たちはまだ未来があると思う。オデットから手を差し伸べるようなことはしないが。
 本当に今さらな謝罪ではあったが、オデットは彼女たちを安心させようと微笑んだ。

「大丈夫、私は何もしないから」

 そう、オデットは何もするつもりはない。
 名誉を取り戻すために彼女たちを告発することも、オデットと同じ目にあわせてやることも、赦すことも。
 それが吉と出るか凶と出るかは、これからの彼女たち次第だろう。

「話はそれだけ?」
「ええと、あと……一つ」

 一つ、ということは話題が変わるのだろうか。
 脳みそを切り替えたオデットに、女生徒はある情報を伝える。

「あの……、シェリーシア様が最近、ルイーズ様の婚約者である、マリウス王太子殿下に色目を使っていると噂されておりまして……」

 初耳の情報にオデットは目を丸くした。
 てっきり、シェリーシアはテオドールとくっついてハッピーエンドを迎えると思っていたが、事態は急変しているようだ。
 あれほど大々的にオデットを除け者にしておいて……いや、でもあくまで噂だからまだ確信的な話ではないのだが……。
 しかしルイーズからそのような話は一度も聞いていない。

 話すまでもなく、相手にするまでもない相手ってことね……。

 きっとオデットのそれの比でなく数々の困難を乗り越えてきたであろうルイーズにとって、シェリーシアは取るに足らない相手。
 あれほど素晴らしい信頼関係を築きあっている二人の間に割り込もうだなんて、シェリーシアもなかなかの野心家だ。でもその実は、浅はかな野心家。

「ありがとう、その話、覚えておくわ」
「はい。あの……」
「謝罪はもう良いわよ」
「あっ、そうですよね……っ、失礼しますっ!」

 去っていく女生徒たちの生徒を見送ってから、オデットは歩き出した。
 彼女たちの謝罪のことなどすっかり忘れて、シェリーシアへの不信感だけが頭を占める。

「また面倒なことを起こさなければ良いけど……」
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

見えるものしか見ないから

mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。 第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

忖度令嬢、忖度やめて最強になる

ハートリオ
恋愛
エクアは13才の伯爵令嬢。 5才年上の婚約者アーテル侯爵令息とは上手くいっていない。 週末のお茶会を頑張ろうとは思うもののアーテルの態度はいつも上の空。 そんなある週末、エクアは自分が裏切られていることを知り―― 忖度ばかりして来たエクアは忖度をやめ、思いをぶちまける。 そんなエクアをキラキラした瞳で見る人がいた。 中世風異世界でのお話です。 2話ずつ投稿していきたいですが途切れたらネット環境まごついていると思ってください。

嫌いなところが多すぎるなら婚約を破棄しましょう

天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私ミリスは、婚約者ジノザに蔑まれていた。 侯爵令息のジノザは学園で「嫌いなところが多すぎる」と私を見下してくる。 そして「婚約を破棄したい」と言ったから、私は賛同することにした。 どうやらジノザは公爵令嬢と婚約して、貶めた私を愛人にするつもりでいたらしい。 そのために学園での評判を下げてきたようだけど、私はマルク王子と婚約が決まる。 楽しい日々を過ごしていると、ジノザは「婚約破棄を後悔している」と言い出した。

こんな婚約者は貴女にあげる

如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。 初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。

婿入り条件はちゃんと確認してください。

もふっとしたクリームパン
恋愛
<あらすじ>ある高位貴族の婚約関係に問題が起きた。両家の話し合いの場で、貴族令嬢は選択を迫ることになり、貴族令息は愛と未来を天秤に懸けられ悩む。答えは出ないまま、時間だけが過ぎていく……そんな話です。*令嬢視点で始まります。*すっきりざまぁではないです。ざまぁになるかは相手の選択次第なのでそこまで話はいきません。その手前で終わります。*突発的に思いついたのを書いたので設定はふんわりです。*カクヨム様にも投稿しています。*本編二話+登場人物紹介+おまけ、で完結。

その令嬢は、実家との縁を切ってもらいたい

キョウキョウ
恋愛
シャルダン公爵家の令嬢アメリは、学園の卒業記念パーティーの最中にバルトロメ王子から一方的に婚約破棄を宣告される。 妹のアーレラをイジメたと、覚えのない罪を着せられて。 そして、婚約破棄だけでなく公爵家からも追放されてしまう。 だけどそれは、彼女の求めた展開だった。

言い訳は結構ですよ? 全て見ていましたから。

紗綺
恋愛
私の婚約者は別の女性を好いている。 学園内のこととはいえ、複数の男性を侍らす女性の取り巻きになるなんて名が泣いているわよ? 婚約は破棄します。これは両家でもう決まったことですから。 邪魔な婚約者をサクッと婚約破棄して、かねてから用意していた相手と婚約を結びます。 新しい婚約者は私にとって理想の相手。 私の邪魔をしないという点が素晴らしい。 でもべた惚れしてたとか聞いてないわ。 都合の良い相手でいいなんて……、おかしな人ね。 ◆本編 5話  ◆番外編 2話  番外編1話はちょっと暗めのお話です。 入学初日の婚約破棄~の原型はこんな感じでした。 もったいないのでこちらも投稿してしまいます。 また少し違う男装(?)令嬢を楽しんでもらえたら嬉しいです。

ミュリエル・ブランシャールはそれでも彼を愛していた

玉菜きゃべつ
恋愛
 確かに愛し合っていた筈なのに、彼は学園を卒業してから私に冷たく当たるようになった。  なんでも、学園で私の悪行が噂されているのだという。勿論心当たりなど無い。 噂などを頭から信じ込むような人では無かったのに、何が彼を変えてしまったのだろう。 私を愛さない人なんか、嫌いになれたら良いのに。何度そう思っても、彼を愛することを辞められなかった。 ある時、遂に彼に婚約解消を迫られた私は、愛する彼に強く抵抗することも出来ずに言われるがまま書類に署名してしまう。私は貴方を愛することを辞められない。でも、もうこの苦しみには耐えられない。 なら、貴方が私の世界からいなくなればいい。◆全6話

処理中です...