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第3章 乙女ゲーム始動 編
第106話 【攻略対象 美貌の大魔法使いと王子様】乙女ゲーム『虹の彼方のダンテフォール ~堕ちる神と滅びる世界で、真実の愛が繋げる奇跡~』
しおりを挟む頭上にひろがる空は、玲於奈の見知るものよりも僅かに朱の光を含んでいた。
けれど、レーナとしてこの世界に生まれた時から目にしてきた物を疑うはずもなく、漠然と納得して生きていた。前世の記憶を持ったまま生まれた、辺境の村娘レーナ。それが今の彼女だ。
玲於奈の記憶が期待する特別な能力など皆無だったレーナは、年齢よりも少しだけ落ち着きのある平凡村娘でしかなかった。
だが、彼女と幼馴染の少年アルルクが魔族に襲われて状況は一変する。
レーナが修繕の力を発揮し、アルルクを半龍に変化させてしまったことにより、ここが乙女ゲーム『虹の彼方のダンテフォール ~堕ちる神と滅びる世界で、真実の愛が繋げる奇跡~』の世界だと判明したのだ。
龍の力を持つ勇者アルルクは、ゲームの攻略対象者だった。
ただひとつ、解せないことと言えば、彼の変貌を引き起こしたのが平凡村娘レーナだということ――。
「いやほんと、わたしはただのプペ村のレーナだから」
街道とは異なる整った石畳の揺れに、王都に入ったことを実感しつつ馬車の窓に目を移す。ガラスには黒髪黒目の庇護欲そそる美少女が映り、こちらを見返して来る。これが今のレーナだ。
平凡村娘と言うにはいささか高クオリティな風貌だが、同乗する人物を見れば、そんなこともないかと納得してしまう。
「それは困る。レーナは、我がドリアーデ辺境伯家が庇護しているのだ。れっきとした身分があるのだから、そう自覚してもらわねばな」
不満げなレーナに呆れた様子で言うのは、光を受けて黄金に輝く緑の髪と、エメラルド色の瞳を持つ精霊じみた美しさの少年――エドヴィン・ドリアーデだ。魔力に敏いドリアーデ辺境伯に能力を察知されて以来、庇護と言う名の先物買いをされてしまった。とは言うものの、最推しであるリュザス探しの旅に力添えも得ることになっているのでWIN-WINの関係である。
「分かってるわよ、エド。お貴族様の令息令嬢が、たっくさん通う魔窟に踏み込むんだもの。警戒を怠ることはしないわ!」
「王立ダルクヴィスト貴族学院だ。今年からは同齢の王子も通われるほど、由緒ある学院なのだ、滅多なことを言うな」
「わたしは平民なんだけど」
「庇護の条件として、教育を受けることも含まれているからな。レーナの入学は、シュルベルツ領推薦の奨学生として正式に認められている」
レーナは15歳を迎え、同い年のエドヴィンと共に王都へやって来ていた。
乙女ゲームで、ヒロイン聖女と攻略対象らが出会うメイン舞台「王立ダルクヴィスト貴族学院」に通うために――――。
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