独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!

弥生ちえ

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第3章 乙女ゲーム始動 編

第145話 【攻略対象 隠しキャラ?】赤いドレスと緑のドレス

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 プロムナード会場である、ベルファレア王国城の舞踏会ホール。そこでは、この日とばかりに着飾った王立ダルクヴィスト貴族学院1年から3年の全学院生が集い、開会を待ち侘びている。貴族はここぞとばかりに家格を映した豪奢な夜会ドレスを。平民学生らはこの日のために生徒会が貸し出しを行ったドレスを纏って。

 平民のレーナは、生徒会からドレスが届いてはいた。だが、エドヴィンを通してドリアーデ辺境伯からドレスが贈られているため、そちらを着ての参加だ。

 会場に揃って入場した2人を見た生徒らが、頬を染め、あるいは驚愕の表情で騒めくのを感じ、エドヴィンは改めてレーナの姿に視線を向けた。

「緑に金の刺繍……か。父上、なんてものを贈って来るのだ」

 呟きながら、己の光を受けると黄金に輝く緑の髪にそっと触れる。

『子孫のは、レーナの髪色と同じ黒地のタキシードに、植物をデザイン化したダマスク模様が銀糸で刺繡されてんのねー。やーだぁ、シュルベルツの領主夫婦みたいねぇ~』

 互いの色と、森の宝珠オーブを祀るシュルベルツ領らしい刺繍の入った衣装――それは正しくプチドラの評した通りの印象を作っている。2人が婚約間近かそれに準ずる関係だと。大多数の生徒は、そう捉えたはずだ。
 レーナにしてみれば、距離を於いてはいるものの、ドリアーデ辺境伯からの「逃さない」と云うメッセージに思えてならなかった。だから顔が引き攣らない様にするのに精いっぱいで、隣のエドヴィンが頬を染めていることなど、まるで目には入っていない。

「そう言えば、生徒会からのドレスはどうだったんだ?」

『あー、あれはナシよ! レーナがあんなの着たら、あたしがどんだけ虫よけしても追い付かないわ!!』

 顔中を顰めるプチドラだ。正直、レーナは「そう悪くはない」と思っていたのだが、彼女は頑迷にその赤色のドレスを否定していた。

(まぁ、確かに……いつもわたしにくっ付いてるプチドラちゃんが緑なのに、赤いドレスなんて来ちゃったら、季節外れの一人クリスマスみたいな痛々しい格好になっちゃうからね)

 とは言え、もう一つの選択肢は婚約発表もどきなドレスだった訳で。レーナとしては、なかなかの究極の選択を迫られたのだ。最終的には、後ろ盾である辺境伯の、嫡男エドヴィンがエスコートをしてくれると云うことで、彼らの顔を立てた格好に落ち着いたのだけれど。視線の痛さは、さほど変わらなかったのかもしれない。

「エド、ぜったいに何か勘違いされてるわよね……」

「勘違いしたい奴にはさせておけば良い。レーナは念願の王城だろ? せっかくの機会なんだ、楽しもう」

 困惑しきりのレーナとは違い、色々と飲み込んだ様子のエドヴィンは微笑みながら、エスコートに差し出した腕の逆の手で、レーナの額をツンと突く。きゃぁ、と華やかな悲鳴が周囲から上がるが、吹っ切れたエドヴィンは何処吹く風だ。戸惑うレーナを若干強引にエスコートしながら、ホールの中央まで進んだ。

 周囲を見渡せば、生徒会役員の面々もドレスやタキシードに身を包み、友人らと歓談している姿が目に入る。生徒会が主催に名を連ねてはいるものの、このプロムナードでは王城の使用人らの協力が得られるため、開場からしばらくの歓談時間は彼ら役員も親交を深めることに勤しむことが出来るのだ。

 そんな状況で、クラウディオ王子とシルヴィアの姿が見えなかったことに警戒心を抱かなかったレーナらに落ち度はないだろう――。

「レーナ嬢! 1年C組、レーナ嬢は何処に!」

 突然、ホール最奥に設けられた壇上に現れた人影が、声を張り上げた。
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