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第4章 最高神 編
第176話 【攻略対象 最高神リュザス】みんな、お見通し
しおりを挟む眼下に広がる王都の街並みを見詰め、レーナは大きく息を吸う。
「未見のルート探し、がんばるぞー! きっとそこにはリュザス様がいるはずなのよ! 待っててくださいね、最推しのリュザス様ーーーっ」
自分に気合を入れるつもりで、口元に右掌を当てて声を響かせる。返事や山彦は、欠片も期待していなかった。
なのに。
「おれもっっ!!」
ふいに、真後ろから聞きなれた大声が飛んできた。
ギョッとしたレーナが振り返れば、予想した通りの赤髪の少年が悪戯を成功させた笑みを向けて来る。
「レーナをたすけるぞーーーーっ!」
レーナに負けない大声を張り上げ「きょーどー作業だなっ」などと意味深な言葉に微笑みを乗せて、レーナの隣に並ぶ。アルルクのパーソナルスペースは極々小さいのか、村に居た時からずっと、気付けば肩が触れる距離に入り込んでいる。
レーナの身長を追い抜いてからは、彼女の肩が彼の腕にくっ付く位置に擦り寄っている。好かれているからこその距離であろうが、その好意の種類までは推測しきれないレーナだ。
幼い頃からの親愛の刷り込みで、忠犬の如く追い駆けて来てしまったのか。
自覚のない愛情の体現なのか。
愛情と言うには稚拙な好意の示し様に、レーナは戸惑うしかない。
「あ、あのさ! 手助けの気持ちは嬉しいんだけど。確かわたし、こっそーーりお城を抜け出してきたはずなのよね? わたしのこと護るって言って閉じこもりにしようとするんだもん。それなのに、なんでアルルクがここに居るの!?」
「レーナが逃げるのは みんな分かってたぞ!」
元気に答えるアルルクが、城に置き去りにした皆の言葉を伝える。
――エドヴィンは「プチドラのことは任せろ。何かあったらきっと私を頼れ」と。
――プチドラは『最高神さまが待ちかねているわ』と。
――シルヴィアは「大気の宝珠の魔力は、私が絶対に枯らしませんから。こちらの心配はせずに、行ってください」と。
――バルザックは「土の宝珠は私の魔力の粋を集めて、他の誰もが成し得なかった、神の領域に通ずる至高の魔力を編み上げてみせましょう」と。
――クラウディオ王子は「道を示してくれた君の力になりたい。何かあれば、きっと私を頼ってくれ」と。
全員が、遠からずレーナがリュザス探しに乗り出すことを予測していた。その時がやって来たら、宝珠の消滅を防ぐため、魔力を供給し続けて手を離せない面々に代わって、アルルクが力添えをすることに決まっていたらしい。
「だから、おれは レーナの行動をずーーーっと 気にしてたんだからな! 部屋の前も、窓の外も、廊下の隅から隅まで、レーナの通った後をこっそり付いて回ったし。今じゃぁ、のこった においで レーナの向かった先どころか、機嫌まで分かるんだからなっ!」
にっこりイイ笑顔の幼馴染に「それはストーカー程度の表現では生易しい、もっと火龍寄りの執着なのでは」と背筋を冷たいものが伝う。
「だから付いてこれたんだぞ!」
ほめてほめてと言わんばかりの、いつものアルルクの無邪気な様子に、多少の引っ掛かりは覚えたものの、警戒心を解かれたレーナだ。
「仕方ないなぁ」
こうなっては、幼い頃から行動力のあるアルルクを止めることは叶わない。呆れて苦笑しながら、共に行くことを許したのだった。
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