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第4章 最高神 編
第190話 【攻略対象 最高神リュザス】君が誰よりも強く想ってくれたから
しおりを挟む「悪化してるわーーーー!! なんで平凡村娘なわたしに、こだわるのよぉぉぉ!!!」
「またまたぁ。分かってるでしょ? 玲・於・奈? ゲームの時から……ううん。初めて僕を見付けた時から、僕に惹き付けられちゃったんでしょ」
どれだけ距離をとっても、リュザスはレーナを苦も無く見付け、華々しい笑みを伴って肩の触れる距離に出現する。
「神様と、人との適切な距離を保ってください!!」
間近で、直接関わらなければ、ビジュアル的にも能力的にも蛙化などしようはずもない美神なのだ。『神々しく人を救う力を奮う』ただそれだけを彼に求めたのではいけないのか。
一瞬そう考えたレーナは、ハッと目を見開いた。
心を過ったのだ。
リュザスが、隠しきれない闇を背負って述べたのが、何であったのか。
「願いを叶えても当然の救済だと考える人間たちを目にした僕には、充足感以上の疑心と、憤りが残るだけだ」と。
何度も、救い、裏切られた。
その末路が、この心優しくも鬱々しい闇を背負った最高神なのではないか。そう思い至った瞬間、レーナは力強い光を宿した視線をリュザスの双眸にぶつけた。
「決めたわ! わたし、リュザスには絶対に頼らない」
「は? あ、ぇえ!?」
「人間の力で何とかするわ! リュザスの世界を守ってあげる!! ヒロインと、攻略対象のチート級能力、そして玲於奈のゲーム攻略経験を駆使すればきっとなんとかできる! してみせるわ!!」
グッと両拳を握り締めて、頼もしく口角を吊り上げたレーナの笑顔は男前だ。既に『推しとの邂逅』と云う目的を果たしてしまったレーナは、新たなる目的に闘志を漲らせている。だが、それと反比例して、リュザスはこの世の終わりを見たかのような愕然とした表情を浮かべた。
「いやいや、僕はそんなこと望んでないし!? 僕のことだけを見ていてよ。僕だけを頼ってよ! 僕は、玲於奈のころからずぅーーーーっと、あっちの世界の誰よりも強く想ってくれていたレーナさえいてくれたら、それだけで良いんだけどぉ!?」
「ううん、そんなことないわ!」
レーナは、確信に満ちた声音でリュザスの言葉を否定する。
リュザスは、切望する一途な想いを手に入れられなくとも、己を分けてまで人間を護って来た不遇な最高神なのだ。その絶望的な状況に、ささやかな望みしか抱けなくなっており、口にした言葉は消極的で本心とは程遠い建前なのだ――そうレーナは理解している。誤解なのだが。
「えぇっ!? だって、あの世界に張り巡らせた僕の仕掛けに、どの魂よりも強い反応を示した君には、僕を想う強い力に、さらに僕が力を添えて、この世界へ招いたはずなんだよ!?」
「うぅん?」
「僕のこと、レーナになったからって想わなくなったわけでもないよね!? あの世界での気持ちは、ちょっとだけ強くなるように仕掛けはしてたけど、こっちに生まれても簡単に解けたりしないはずだもん!!!」
「ぅんん!?」
「僕、その蝶々を通してずっと傍で見てたんだもん!! 僕への想いが、ぶれないのもちゃんと確認してたし! 僕のレーナが、もっと僕に近付けるように頑張れる手伝いだっていっぱいしたよ!? だから、レーナは僕のこと大好きでしょ!!?」
「ん゛ん゛っ!」
「何人も、この世界へ連れて来た僕に波長の合ったコたちの中で、玲於奈が一番だったんだから!! 僕を想う気持ちも一番で! だから一番強くなって、僕のところに逢いに来れたでしょ!!!」
「はぁぁあっ!?」
気付けば芋蔓式に突っ込みどころ満載な話が出て、レーナは男前から一転、愕然と目口を大きく開いた間抜けな表情を浮かべることになった。
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