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第4章 最高神 編
第192話 【攻略対象 最高神リュザス】何股ですか?
しおりを挟むだがレーナだって怯んではいられない。とんでもなく身勝手に巻き込まれた憤りは勿論ある。それでもリュザスへの好意も、完全に無くなってはいないのだから、彼を突き放すことは出来ない。
「そうじゃないの、リュザスだって嫌いなワケじゃない!! リュザスの立ち絵を一目見た時から惹き付けられて、受験勉強も手に付かないほど、のめり込んで大嵌まりしたゲームなんだもん! リュザスを何とか出現させたくて!! そんな玲於奈の気持ちが全部消えたわけじゃないよ?
ただ理想と現実が相殺しあったのよ。だから、これまで特別に想う気持ちがなかった慣れ親しんだ皆と、リュザスのことが同じくらい大切になっただけなの!!」
「いやだいやだいやだいやだいやだっっ!! なんで僕だけじゃないの!?」
泣きべそをかく子供のように、顔全体をくしゃくしゃに歪めて、リュザスが大きく頭を左右に振る。レーナだって、納得しきれないところをなんとか、玲於奈の頃から続く想いを尊重する形で、理屈では許せない誘拐魔への『想い』を無理矢理肯定しているのに――駄々をこねる子供そのものの感情をぶつけられては冷静ではいられない。
なんで自分ばかりが我慢しなければならないのかとの、苛立ちが頭をもたげる。
「あのね!? 強いて言うなら、リュザスだってわたしだけじゃないでしょ!?」
だから、感情的に口を突いて出た言葉は、発したレーナが驚くほど刺々しく強いものとなり、ぶつけられたリュザスはビクリと肩を震わせる。
「ちゃんと聞いてたからね!? 何人も居た中で玲於奈の思いは断トツに強かったーーって!」
言えば、リュザスは明らかに視線をキョロキョロ彷徨わせて、浮気を責められた男の態度そのものの挙動不審ぶりを見せる。
「そっ、それは、さ? 候補は多いに越したことはないって言うか、それだけ宣伝効果があって、惹き付けちゃった僕の魅力って言うか、プレイヤーの数だけ魔法が発動しちゃって、釣れちゃったって言うか……ね?」
「イコール、あなたが魅了で粉をかけた人数でしょ! 自分では一途な相手がいいなんて言いながら、とんだタラシよね!?」
言い切れば、リュザスは蒼白となった顔を強張らせた。
件のアプリを使った皆に魅了が掛かり、ある一定値の効果があった者に界を跨ぐ誘拐が自動的に発動してしまうのだ。その全員への浮気を責めるのも可哀そうかという気持ちは若干あるレーナだが、完全に許すには抵抗がある。
「とは言いつつ、わたしが強くリュザスに惹かれたのとか、他の攻略対象を12回も見ておきながら、なんにも感じなかったのとかも事実で。多分、わたしは小細工なしでもリュザスがタイプだったんだと思うよ」
「レーナっ……なら」
「けど、リュザスをはじめ、皆に出会えた今は、全員が同じくらい大切ってところに落ち着いたわ」
すんっと落ち着き払った表情でレーナが告げれば、一瞬期待に満ちた笑顔を向けていたリュザスはガックリと項垂れて、膝から崩れ落ちる。
「だから、ね? リュザスも含めたみんなを、わたしの生きているこの世界を、ここで終わりにさせたくない。気持ちの答えを出したい。わたしが、どんなルートのエンディングを迎えるのか知りたいの」
レーナが、目の前で膝立ちとなり、俯いたリュザスの両肩にそっと両手を乗せれば、リュザスは再び不安と期待の入り混じった表情で、おどおどと視線を合わせて来る。
彼の抱く期待に応えられるかどうか、今のレーナには分からない。けれど、今を乗り切らなければ答えに辿り着ける日は来ない。
「だから答えを出すために、皆のところに戻って、ダンテフォールを守りたい!!」
力強い笑顔とともに、ハッキリと宣言するレーナに、眩しいものを見る様子でリュザスが目を細める。
そして、周囲の空間が再び眩い光に満たされ始め――
『レーナ!!!!』
レーナの耳に、馴染んだ声の数々が飛び込んできた次の瞬間
白一色だった虚空に無数の亀裂が走り、ガラス細工が壊れるように、脆く崩れた。
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