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第4章 最高神 編
第194話 【攻略対象 最高神リュザス】現実を生きる人としての決意
しおりを挟むレーナの行くところ、虹色の髪の美神がひたと寄り添って行く。地面から浮遊して動き、重力を無視して漂う髪のせいで、派手な背後霊が憑いているように見える。
「レーナ、居なかった間って この神様? ……と、いっしょだったんだよな? んで、レーナがずっと会いたいって言ってた神様だよな?」
怪訝な表情で両者を見遣りながら首を傾げたのはアルルクだ。
1時間に満たないレーナの神隠しではあった。リュザスの個人的異空間と、元居た場所との時間軸のズレは無かったらしく、レーナは閉じ込められた時間と同じだけ経過した現実世界へと戻ったのだ。その間1人と1柱に何があったのか、帰国した彼女の元へ駆け付けた面々は勿論のこと、消失から出現まで居合わせたアルルクにも推し量ることは出来ない。
「そうね。この世界の最高神リュザスで間違いないし、会えて色々な発見があったわね」
無感情に言うレーナは背後をちらりと見遣ると、一つ息を吐く。素っ気ないくらいの塩対応を取るレーナに対し、件の最高神はめげることなくベタベタと彼女に纏わりついている。彼女の日頃からの強すぎる推し愛を知っている面々は、困惑するしかない。
最高神顕現に居合わせた一行は、王都大神殿に備えられた会談用の一室に場所を移した。神官らは、「最高神を人と同列に遇することなど恐れ多い」「平伏して奉るべき」と言い張った。
だがしかし、その最高神自身が断ったのだ。
「僕の大切なレーナにそんなことさせられないよ。って言うか、僕がレーナの傍に居たいから、そんな他人行儀はダ~メっ」
と、ウインク付きの妖艶笑顔で。よってこの席が設けられることになった。
異国からの客人を団体で招くこともある広い室内には、全員が余裕で掛けられるだけの席を設けている。けれどレーナの隣を確保せんとする赤、緑、虹色髪でひと悶着があり、最終的にレーナが長方形の机のお誕生日席に腰かけ、角を挟んで右にアルルク、左にエドヴィンが位置取ることとなった。
リュザスはと言えば、神の権能を活用し、レーナの右側にピタリと寄り添う形で空中に座して浮かんでいる。
「わたし、リュザスには絶対に頼らないって言ったのよ」
「「「「は?」」」」
レーナが開口一番、不満げな視線をリュザスに向けつつ放った言葉に、誰からともなく疑問の声が上がった。更に、ふんすと鼻で息を吐いたレーナが、ぐっと胸を張って堂々と言葉を連ねる。
「人間の力で何とかする。リュザスの世界を守る。ヒロインと、攻略対象のチート級能力、それとわたしのゲーム攻略経験を駆使すればきっとなんとかできるって」
「僕は甘えて欲しい、我儘で僕を困らせて欲しいって言ってるんだけどな。僕を気遣って意地を張っちゃって」
リュザスの言葉と同じく甘やかな視線に、受けたレーナは「ひゅっ」と息を飲む。ふとした仕草や表情に宿る美形の攻撃力は無効化された訳ではないのだ。
だからレーナは、その動揺を振り払うようにブルブルっと頭を横に振って、声を張り上げる。
「なのでっ! この場を借りて、改めて、みんなで世界を救う方法を考えたいと思います! リュザスにだけ負担をかけるんじゃなく、そこで生かされ、生きているわたしたち自身が頑張らなきゃ」
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