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第4章 最高神 編
第195話 【攻略対象 最高神リュザス】私にひとつ、案があるんだ
しおりを挟む最高神リュザスの力の分体である宝珠や、その化身のほとんどを吸収してしまった黒い青年の力は計り知れない。リュザスを頼って帰国したのも、他に手段が考え付かなかったからだ。妙案が有るわけではないけれど、とにかく強く決意したレーナだ。
「最高神の献身に頼り切るんじゃなく、彼の恩恵に報い、私たち自身も尽力すべきだと言うのだな?」
エドヴィンが、慎重な口調でレーナに尋ねる。冷静な表情を崩さない彼に、レーナは続く苦言を覚悟して、膝の上で握った両拳にぐっと力を籠めた。
「当然だろう。我がシュルベルツ領は精霊姫を敬い、共存してこれまで歴史を重ねてきたのだ」
だが否定どころか、経験を踏まえた賛同を唱えて微笑んだエドヴィンに、軽く目を見張ったレーナは胸に暖かな熱が宿るのを感じる。――が、余韻に浸る間もなく、アルルクが、満面の笑顔でレーナを覗き込んできた。
「むつかしーことはわっかんねーけどさ、大事なレーナのためなら おれ、めっちゃ頑張るぜ! それに、良いことも悪いことも、されたらお返しするのは当然だもんな!」
語尾が不穏だ。けれどレーナが反応するよりも先に、エドヴィンの並びの最奥に座ったバルザックが「もとよりそのつもりでした」と会話を続ける。
「私は王国最強と謳われる魔導士となりながらも、どこまで高めても極め足りない飢餓感に見舞われておりました。けれど、そんな私の魔力が、今や世界の礎の一つである土の宝珠の化身を支えているのです!
この世界の危機に瀕してようやく満たされることを知りました!
アルマジロ殿に関わることで、私たちに出来ることは、まだまだ有ると、思い知らされたのです」
バルザックは、アメジストの瞳にギラギラとした光を讃えて恍惚の表情を浮かべている。狂気染みた魔道フェチの本性が垣間見える姿だ。
「本当に最高神様が存在されているなんて、思ってもみませんでした。ただ、苦しいとき、困ったときに名を呼び、お縋りする心の縁と認識しておりました。聖女と呼ばれる私でさえ、そんな有り様だったことが本当にお恥ずかしい限りです」
シルヴィアが眉を下げて告げると、リュザスに深々と頭を下げる。神官らはシルヴィアの言葉を聞くと、彼女と共に低頭した。
この場に居合わせた誰もが最高神リュザスの存在を受け入れ、けれど人間の手での世界救済に尽力することに決意を抱いていた。
リュザスはそんな彼らに、顕現した時と変わらず、口元に感情の読めない微笑を張り付けて、無感動な視線を返すだけだ。「期待はしない」との心の言葉が漏れ聞こえる様子に、レーナは焦燥感に苛まれる。
(ああああっ! 人に期待することを止めたリュザスに頼りたくなくって、わたしたちが何とかする、なんて大見得きっちゃったけどっ……)
これは・といった策が未だ思いつかず、けれど何とかしたいとの思いも強く押し寄せて、心臓をギリギリと締め付ける。
そんな中、凛と通った少年の声が響いた。
「私にひとつ、案があるんだ」
クラウディオ王子――ゲームのストーリー通りならば、王都に押し寄せる魔族を退ける先頭に立ち、3年後には救国の英雄と呼ばれるようになるメイン攻略対象者――その人の声だった。
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