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第4章 最高神 編
第205話 【攻略対象 平凡村娘】平凡村娘、出陣!
しおりを挟む魔族、魔獣を迎え撃とうと、王都では武装した兵士、傭兵らの姿が多く見られるようになった。
王都民の間には不安が根深く蔓延って、日常に陰鬱な影を落としはじめている。クラウディオ王子が指揮を執って始めた、化身で人心を支えるヒーロショウ興行は民衆の心に僅かな希望を灯す一助にはなっているが、確実な不安払拭の要素とはなっていない。
群れは、着実に王都を目指して侵攻している。
「出立!」
クラウディオ王子の号令が響き、国王夫妻の見守るバルコニーに背を向けた騎士魔導士兵団が整然と進みだした。
最初の急使の到着から5日後、ついに王都から軍備を整えたベルファレア王国正規軍が出陣したのだ。王城から街全体を取り囲む城壁の大門まで、王都の中央を貫く大通りを厳めしい鎧姿の一群が行進し、通りの両側に人垣を築いた民衆から歓喜の声が上がる。
多くの歩兵と騎馬兵が連なる中ほどには、守られるように馬車が配置され、開け放たれた窓からクラウディオ王子が凛々しい笑顔を覗かせて、歓声に応えている。
「うぅ……なんだか気持ち悪いわ。こんな晴れ舞台なのに馬車酔いなんて。平民村娘の質素な体には、馬車で手を振る華やか演出なんて受け付けてくれないのね」
「いーから話すなって。レーナは いっつもオレに、具合悪いときは無理すんなって言うだろ?」
同じ馬車の中、窓から隠れた足元には顔色を悪くしたレーナが蹲って、アルルクに背中をさすられている。今回の出陣では、残念ながら光の力で治癒魔法を施せるシルヴィアは同行していないから、パパッと治してもらうなんてことは出来ないのだ。
ちなみにエドヴィンとバルザックも、大気の宝珠や化身たちへの魔力供給のために今回の行軍に参加してはいない。
「ゲームのヒロインと王子は、馬車の窓から笑顔で手を振って、キラッキラしてたのよ。ちょっとだけやってみたかったのにぃ」
「遊戯の話だし、ヒロインはシルヴィアなんだろ? ちがってとーぜんじゃね?」
「ねぇレーナ。本当に馬車酔い? まだ動き始めたばっかりだけど。他に具合の悪いところはない?」
華やかな背後霊ことリュザスが、アルルクどころか髪飾りの蝶々に負けじとピタリと寄り添う。美形な上に、重量も無く実在感の薄い最高神だが、窮屈感はしっかり存在する。
いくら広い馬車とは言え、閉鎖空間に3人と1柱はなかなかの密度だ。一瞬ハーレムの文字が頭に浮かぶレーナだったが、吐き気でうずくまる彼女にキャッキャうふふな世界を作る余裕はない。やはり、レーナはヒロインではなくモブだと世界が告げているのだ。きっと。
(そう言えば……最近時々こんな風に、身体が重くなったり、気持ちが悪くなったりするのよねー。風邪でもひいたかしら。はぁ……早く治んないかなぁ)
クラウディオ王子ルートでの試練と同じく、魔族と魔獣の群れの侵攻にさらされる王都を、玲於奈の知る攻略方法で手助けすることが出来るかもしれない。そう進言して同行したレーナなのだ。体調不良で足を引っ張るわけにはいかないのにと、重い溜息を吐いた。
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