独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!

弥生ちえ

文字の大きさ
203 / 237
第4章 最高神 編

第205話 【攻略対象 平凡村娘】平凡村娘、出陣!

しおりを挟む

 魔族、魔獣を迎え撃とうと、王都では武装した兵士、傭兵らの姿が多く見られるようになった。

 王都民の間には不安が根深く蔓延はびこって、日常に陰鬱な影を落としはじめている。クラウディオ王子が指揮を執って始めた、化身で人心を支えるヒーロショウ興行は民衆の心に僅かな希望を灯す一助にはなっているが、確実な不安払拭の要素とはなっていない。

 群れは、着実に王都を目指して侵攻している。

「出立!」

 クラウディオ王子の号令が響き、国王夫妻の見守るバルコニーに背を向けた騎士魔導士兵団が整然と進みだした。
 最初の急使の到着から5日後、ついに王都から軍備を整えたベルファレア王国正規軍が出陣したのだ。王城から街全体を取り囲む城壁の大門まで、王都の中央を貫く大通りを厳めしい鎧姿の一群が行進し、通りの両側に人垣を築いた民衆から歓喜の声が上がる。

 多くの歩兵と騎馬兵が連なる中ほどには、守られるように馬車が配置され、開け放たれた窓からクラウディオ王子が凛々しい笑顔を覗かせて、歓声に応えている。

「うぅ……なんだか気持ち悪いわ。こんな晴れ舞台なのに馬車酔いなんて。平民モブ村娘の質素な体には、馬車で手を振る華やか演出なんて受け付けてくれないのね」

「いーから話すなって。レーナは いっつもオレに、具合悪いときは無理すんなって言うだろ?」

 同じ馬車の中、窓から隠れた足元には顔色を悪くしたレーナが蹲って、アルルクに背中をさすられている。今回の出陣では、残念ながら光の力で治癒魔法を施せるシルヴィアは同行していないから、パパッと治してもらうなんてことは出来ないのだ。
 ちなみにエドヴィンとバルザックも、大気の宝珠オーブや化身たちへの魔力供給のために今回の行軍に参加してはいない。

「ゲームのヒロインと王子は、馬車の窓から笑顔で手を振って、キラッキラしてたのよ。ちょっとだけやってみたかったのにぃ」

遊戯ゲームの話だし、ヒロインはシルヴィアなんだろ? ちがってとーぜんじゃね?」

「ねぇレーナ。本当に馬車酔い? まだ動き始めたばっかりだけど。他に具合の悪いところはない?」

 華やかな背後霊ことリュザスが、アルルクどころか髪飾りの蝶々に負けじとピタリと寄り添う。美形な上に、重量も無く実在感の薄い最高神だが、窮屈感はしっかり存在する。
 いくら広い馬車とは言え、閉鎖空間に3人と1柱はなかなかの密度だ。一瞬ハーレムの文字が頭に浮かぶレーナだったが、吐き気でうずくまる彼女にキャッキャうふふな世界を作る余裕はない。やはり、レーナはヒロインではなくモブだと世界が告げているのだ。きっと。

(そう言えば……最近時々こんな風に、身体が重くなったり、気持ちが悪くなったりするのよねー。風邪でもひいたかしら。はぁ……早く治んないかなぁ)

 クラウディオ王子ルートでの試練と同じく、魔族と魔獣の群れの侵攻にさらされる王都を、玲於奈れおなの知る攻略方法で手助けすることが出来るかもしれない。そう進言して同行したレーナなのだ。体調不良で足を引っ張るわけにはいかないのにと、重い溜息を吐いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。 自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。 魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。 しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。 前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。 「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

処理中です...