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2.ヒロインとか興味ないので筋トレしてたのに、危機一髪が訪れたみたいです。
虫けらを見る目は、テントウムシに向けられたんだな!
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いつもながら突然降って来る、この柔らかな物体の扱いが分からない俺は、フリーズするしかない。『あああ』から「ちっ」と、音が聞こえてきた気がするが……降りるユリーナが身体を預けた弾みで、地面に飛ばされてしまった様だ。そんなだから、何かの拍子に偶然そんな音が出たんだろう。
「ユリーナ様、今回ばかりはお手柄ですわ! 危機一髪でしたものね、褒めて差し上げますわ」
息を切らしながら駆け寄ってきたのは、主人公『あああ』の婚約者であり、魔術師団長の娘ソルドレイドだ。
「さぁさ、ユリーナ様。あとは私に任せてお帰りあそばせ? そこに転がる『あああ』の婚約者である私が、責任をもってヒロイキ様の面倒も見ておきますからっ」
「駄目ですよぉ! 今回一番頑張ったのはあたしですよ? ソルドレイド様はあたしに風魔法を掛けただけで、実際にヒロイキ様を魔の手から救ったのはあたしなんですからぁ」
俺はこんな平民聖女ユリーナと魔術師団長の娘ソルドレイドとのキャットファイトに顔を突っ込むつもりなんてミジンコの欠片ほども無い。ダメだ、思考回路が追い付かない。どうして今回もまた、何もしていない俺に攻略対象の美少女が2人も絡んで来るんだ!? これもゲーム補正か!? 俺に悪役らしく振舞えと云う、世界からの圧なのか!?
「これはなんの騒ぎだ!! ……と、またお前か、ヒロイキ・ブラックマン」
そこに学友を引き連れて堂々と歩を進めて来たのは、言わずもがな、この学園内では学園長に次いで高い地位を持ち、学園生ながら風紀と規律の番人の役割も担うクリスティアナ姫だ。
王族らしい風格を持つ心優しい人格者でありながらも、ボンキュッボンのけしからん風貌も相俟って、学園中の人気を集めるスーパーアイドルだ。
いや、なんで攻略対象で、ミラーボールも地面を転がって逃げ出す、眩しすぎる美少女軍団が体育館裏に集結してるんだ!?
「ほう、騒ぎの原因は……そう云うことか」
地面に突っ伏した『あああ』に虫けらを見る目を向けたクリスティアナ姫だ。何故だ? と思えば、奴の頭の傍に生えた草の上に赤いテントウムシが悠長に散歩していた。あぁ、驚いた……。いや、納得した、それを見たんだな。
「お前は少し目を離しただけで、要らぬ騒ぎに巻き込まれてくれる。まったくもって目を離せん、困った奴だ」
クスリと笑いながら近付いたクリスティアナ姫が手を伸ばし、俺の僧帽筋から大胸筋にかけてサラリと指先で触れて行く! なんだこれ、なんのご褒美だ!? 主人公が恨みがましい目を向けて来るけど、そんなことよりこの手――!幸せすぎる、俺、死ぬんじゃね!?
「あまり心配させてくれるなよ?」
ボソリと、そう耳元で囁いてお姫様は離れて行った。
「ああ~っ! クリスティアナ姫ばっかり、ずるいですぅぅ~!!」
「なっ……! ユリーナ様っ、何度言ったら分かるんですの!? 聖女の立場にありながら、そのように婚約者でもない殿方に馴れ馴れしくなさるなんてはしたないですわ!」
「クリスティアナ姫だってしてたですぅー!」
平民聖女ユリーナと魔術師団長の娘ソルドレイドが、次々に手を伸ばして俺の上腕二頭筋を掴もうと迫って来る。目の前……いや、足元には恨めし気な視線を向ける主人公。
まずい、このまま彼女たちに触られたら、俺はきっと動けなくなってしまう! そんなことになったら、この地面の主人公に拘束されて、今度こそ断罪されてしまう!! 取り敢えず、まだ何か言って上腕二頭筋に触れてこようとするヒロイン達と主人公からは、猛ダッシュで逃げた。
ヒロイン達の声が更に俺を追い掛けてくる。
俺の『ラブ☆きゅんメモリアル~ファンタジック学園編~』悪役生活はまだまだ続く。気を抜けば、今地面から憎々し気な視線を送って来る主人公に断罪されて僻地の強制収容所送りになるか、男娼に堕とされるか……とにかくゲーム通りならロクでもない未来が待ち受けている!!
事あるごとにゲーム補正が働く学園生活を無事に過ごす事が出来るのか!?
俺の穏やかな筋トレライフの破滅フラグ回避生活は、終わらない。
《完》
「ユリーナ様、今回ばかりはお手柄ですわ! 危機一髪でしたものね、褒めて差し上げますわ」
息を切らしながら駆け寄ってきたのは、主人公『あああ』の婚約者であり、魔術師団長の娘ソルドレイドだ。
「さぁさ、ユリーナ様。あとは私に任せてお帰りあそばせ? そこに転がる『あああ』の婚約者である私が、責任をもってヒロイキ様の面倒も見ておきますからっ」
「駄目ですよぉ! 今回一番頑張ったのはあたしですよ? ソルドレイド様はあたしに風魔法を掛けただけで、実際にヒロイキ様を魔の手から救ったのはあたしなんですからぁ」
俺はこんな平民聖女ユリーナと魔術師団長の娘ソルドレイドとのキャットファイトに顔を突っ込むつもりなんてミジンコの欠片ほども無い。ダメだ、思考回路が追い付かない。どうして今回もまた、何もしていない俺に攻略対象の美少女が2人も絡んで来るんだ!? これもゲーム補正か!? 俺に悪役らしく振舞えと云う、世界からの圧なのか!?
「これはなんの騒ぎだ!! ……と、またお前か、ヒロイキ・ブラックマン」
そこに学友を引き連れて堂々と歩を進めて来たのは、言わずもがな、この学園内では学園長に次いで高い地位を持ち、学園生ながら風紀と規律の番人の役割も担うクリスティアナ姫だ。
王族らしい風格を持つ心優しい人格者でありながらも、ボンキュッボンのけしからん風貌も相俟って、学園中の人気を集めるスーパーアイドルだ。
いや、なんで攻略対象で、ミラーボールも地面を転がって逃げ出す、眩しすぎる美少女軍団が体育館裏に集結してるんだ!?
「ほう、騒ぎの原因は……そう云うことか」
地面に突っ伏した『あああ』に虫けらを見る目を向けたクリスティアナ姫だ。何故だ? と思えば、奴の頭の傍に生えた草の上に赤いテントウムシが悠長に散歩していた。あぁ、驚いた……。いや、納得した、それを見たんだな。
「お前は少し目を離しただけで、要らぬ騒ぎに巻き込まれてくれる。まったくもって目を離せん、困った奴だ」
クスリと笑いながら近付いたクリスティアナ姫が手を伸ばし、俺の僧帽筋から大胸筋にかけてサラリと指先で触れて行く! なんだこれ、なんのご褒美だ!? 主人公が恨みがましい目を向けて来るけど、そんなことよりこの手――!幸せすぎる、俺、死ぬんじゃね!?
「あまり心配させてくれるなよ?」
ボソリと、そう耳元で囁いてお姫様は離れて行った。
「ああ~っ! クリスティアナ姫ばっかり、ずるいですぅぅ~!!」
「なっ……! ユリーナ様っ、何度言ったら分かるんですの!? 聖女の立場にありながら、そのように婚約者でもない殿方に馴れ馴れしくなさるなんてはしたないですわ!」
「クリスティアナ姫だってしてたですぅー!」
平民聖女ユリーナと魔術師団長の娘ソルドレイドが、次々に手を伸ばして俺の上腕二頭筋を掴もうと迫って来る。目の前……いや、足元には恨めし気な視線を向ける主人公。
まずい、このまま彼女たちに触られたら、俺はきっと動けなくなってしまう! そんなことになったら、この地面の主人公に拘束されて、今度こそ断罪されてしまう!! 取り敢えず、まだ何か言って上腕二頭筋に触れてこようとするヒロイン達と主人公からは、猛ダッシュで逃げた。
ヒロイン達の声が更に俺を追い掛けてくる。
俺の『ラブ☆きゅんメモリアル~ファンタジック学園編~』悪役生活はまだまだ続く。気を抜けば、今地面から憎々し気な視線を送って来る主人公に断罪されて僻地の強制収容所送りになるか、男娼に堕とされるか……とにかくゲーム通りならロクでもない未来が待ち受けている!!
事あるごとにゲーム補正が働く学園生活を無事に過ごす事が出来るのか!?
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《完》
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