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始まり
しおりを挟む何故だろう………
とても心地いい………
身体が浮いているよう…………
………ん?浮いてる?
………………確か………あぁ……変な光に包まれて………
それから……思い出せない………
もしかして………死んだ?んなバカな!!
慌てて身を起こし目を開けると真っ白な床と青空が広がっていた。
「……目が覚めたようじゃな」
背後で声が聞こえた。気配を感じなかったので思わず振り向きながら手刀を繰り出していた。
「…ほっほっほ。元気があってよろしい」
振り向きぎわに見た人物は老人で不味い!と、攻撃を止めようとするもとっさの事で全力を出していたので止める事ができなかった。
でも、その老人は何事もないかのように私の攻撃を避けた。
「………お見事」
避けられるとは思わなかったから避けたことに敬意を表した。
「…主もなかなかやるのぉ」
そう言うと老人の立派な髭から数本の髪が落ちた。
「さて、あっちの小娘も起こすか」
……小娘?
音もなく歩く老人について行くと、犬塚が寝ていた。
「…犬塚?」
「ほれ、小娘を起こしてこんか」
あ、やっぱり小娘って犬塚の事か。
さて、誤解を解くべきかとかざるべきか………うん。面倒い。起こすか。
犬塚の側に行き叩き起こす。
「起きろ!犬塚!」
スッパーンと良い音をだし、頭を叩くと犬塚は飛び起きた。
「いった!…師匠?……師匠ぉ~………………何で避けるんです?」
いきなり飛びかかってきた犬塚を避け立ちあがる。
「何でって、武人たるもの不意の攻撃には対処できないとダメでしょ。それにまだまだ組手ははやい」
私の言葉に犬塚は立ち上がり全力で手を振った。
「いやいや。ここは無事でよかった!とか言いながらハグするとこであって武人関係ないよ」
犬塚のコメントに眉を寄せながらかえす。
「………その場面だと、犬塚、女性役だよな」
「はぁう!…………うぅ、優しさが欲しい…」
胸を射抜かれたように服をつかみ、よろけ、四つん這いで嘆いた。
「………さて、そろそろいいかのぉ」
老人の存在と気配がないのですっかり忘れていた。
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