8 / 45
第一部
8、初めての駐屯地
結局、東がひよりを一人で駅まで歩いて行くことを許さず、酒が完全に抜ける夜まで留まることになった。東はというと、機嫌よく夕飯の準備を始めてしまった。
昼食を、お腹がはちきれるほど食べたので、夕食は胃に優しい温かいうどんが出された。
どうして東はひよりにここまでするのだろうか。ひよりはまだ分からない。
(これじゃあ断れないよね。自衛隊に入るの。さんとうさんたちが、女性が足りないって言ってたしなぁ。会社辞められるかなぁ。その前に体力に自信がないんだけど)
ヤクザになれと言われるより、自衛隊の方がぜんぜんいい。でも、体力がないから不安だ。そんな方向にひよりの思考は移っていた。
◇
そして、ある日の日曜日。
東が働く自衛隊の駐屯地記念行事の日がやってきた。東に駐屯地最寄りの駅から、無料シャトルバスが運行されるので、それに乗って来るように言われた。
バスの運行は八時半からで、式典は十時から始まる。ひよりは東からバス待ちの列が長くできるから、早めに並ぶようにと言われていた。
ひよりが駅前のバス停に着いた頃には、すでに十数名の人の列ができていた。ひよりがこの列であっているのか迷っていると、モスグリーンの制服を着た自衛官から声をかけられた。
「おはようございます。駐屯地記念行事に行かれますか?」
「はい」
「では、最後尾はこちらになりますのでお待ちください。それから、これどうぞ。パンフレットです」
「ありがとうございます」
そう、今回はきちんと自衛官だと認識できていた。ひよりはあれから猛省したのだ。
反社会組織と国を守る自衛隊を間違えてしまったこと、自分の偏った知識と思い込みを振り返ると、今でも穴があったら入りたい。けれど、ひよりは東にチャンスをもらったのだ。自衛隊がどんなことをしているのか、自衛官は何のためにあるのかを、自分の目で見ることができる。
パンフレットを見ると、今日のタイムスケジュールと催し物などが書かれてあった。写真から見るに、訓練の様子も見せてもらえるようだ。
(うわっ、これ大砲? 火が出てる!)
観閲行進、祝賀飛行、訓練展示、自衛隊車両展示、祝賀会と見慣れない文字が並んでいた。
「お待たせしました。奥から順番に詰めてください」
「あ、バス来た。見た感じ、普通のマイクロバスね」
普通のバスと違うところは、運転手が自衛官だということ。席に座ると真っ先に目に入ったのが「弾帯外せ」という注意書きだった。
(弾帯って……あ、下にgun beltって書いてある)
「えっ、ガンベルトっ」
いわゆる、銃弾を連結したものを身につけるためのベルトだ。ある意味ヤクザより強烈だ。
(東さんたちもつけるのかな。でも、医官さんだからそれはないよね)
まだ文字しか見ていないのに、そういうものをつけなければならない仕事がこの世にあると知り、胸が痛んだ。国を守る、国民を守るということは、そういう事が起こり得るという事だからだ。
バスは十分ほど走って、陸上自衛隊の駐屯地の門に入った。降りたら全員、持ち物検査をしなければならないらしい。テロ対策の一環だろう。
持ち物の中身を見せた後、金属探知機を使ったボディチェックがある。小さい子供や女性には、女性自衛官が対応していた。
「はい、大丈夫です。ご協力ありがとうございました」
自分と同年代か、それよりも若い女性自衛官を見て、ひよりは考える。彼女たちも国を守るために入隊したはずだ。何が彼女たちをそうさせたのか、とても気になった。
ひよりにとって、これまで自衛隊という言葉すら頭の片隅になかったからだ。
(どこで、何がきっかけで自衛官になったんだろ。あっ……スカウト?)
東が自分を誘おうとしているように、彼女たちもスカウトされたのかもしれない。ひよりの、ちょっと斜め上な思考は相変わらず健在だった。
無事に持ち物検査を終えたひよりは、東に言われたように関係者受付で名前を名乗った。すると、関係者用のパスを首からかけられた。
「西さん! 十時から開会式が始まりますので、あちらの席でご観覧ください。出入りは自由です」
「ありがとうございます」
「暑いので水分補給や日陰での休憩をおすすめします」
「はい!」
「あっ、すみません。もう一点」
受付の隊員がひよりに駐屯地内の見取り図を渡した。そして、小声で「こちらで、お待ちしているそうです」と指をさしたのは救護テントだった。
「あっ、ここに。分かりました。ありがとうございます」
東はここに居ると言われたのだ。赤十字マークが目印だと聞いて、ひよりはさっそくそこへ向かった。
◇
営内はまるで古い国立大学の敷地を歩いているようだった。大きなグラウンドと、駐車場には自衛隊のトラックが整列し、古びたコンクリートの建物がいくつも建っている。そして、それぞれの部隊の看板がかけられてある。食堂やコンビニ、娯楽施設もあり自衛官の生活を垣間見ることができた。
ひよりが歩いていると、記念行事を見に来た多くの一般客とすれ違った。小さな子供を連れた家族もいるし、若い女性のグループもいた。それに、お祭りで見るような模擬店まである。
(まるで、お祭り! かき氷、唐揚げ、うどん、焼き鳥……ガチャまである!)
それは、ひよりが想像していた風景とは全く違っていた。もっと、緊張感に包まれているものだとばかり思っていたからだ。
営内の見取り図を見ながら、ひよりはようやく東がいる救護テントまでやってきた。赤十字のマークの下に「救護所」と看板に書いてある。テントの隣には同じく赤十字マークをつけたトラックが停まっていた。
テントの入り口は、まだ閉まっている。
「おはようございます。あの、誰かいらっしゃいますか?」
恐る恐るひよりは、テントの入り口の隙間から声をかけた。しかし、誰もいないのか中から返事はない。どうしようかと悩んでいると、後ろから声を掛けられた。
「あ、西さんですね! おはようございます」
振り返ると、迷彩服を着た隊員が立っていた。腕には赤十字の腕章を付けている。
「はい、西と申します。おはよう、ござ……あ! さんとうさん!」
ひよりは東の家で食事を一緒にした、部下の一人だということに気がついた。
「三等さんって……くははっ。間違ってはいないですけど。自分、三等陸曹の河口と言います。三等は自分の階級ですね。略すならば三曹かな」
「えっ、階級! わー、すみません。失礼しました。河口三等陸曹さん」
「いえいえ。でも、西さんは自衛官ではないですから、階級までは言わなくて大丈夫ですよ。それにしても新鮮だなぁ。あっ、東隊長ですよね。中にると思いますけど……隊長! いらっしゃいましたよ」
河口三曹は、テントの入り口をめくって通る声でそう言った。ひよりが後ろから覗いてみるけれど、中は薄暗い。
(本当に居るの? 居ないと思うよ)
「おぅ、いらっしゃい」
「わっ。お、おはようございます」
陸上自衛隊の迷彩服が、薄暗いテントの中に溶け込んでいるせいで、東の姿に気づかなかった。
「すみません。準備をしていたので気づかなかった。さて、入り口を開けておこうか。ひよりさん、よく来たね」
「ご招待くださり、ありがとうございます。初めてなので、ちょっとドキドキしています」
「今日はね、地域の方に我々の日々の訓練の成果をお見せして、自衛隊活動に理解してもらうための行事なんだ。だから、ドキドキしなくて大丈夫。ここは、ヤクザの本部じゃないからね」
「あっ、もう忘れてください。ちゃんと自衛隊って、認識しましたから」
「あはは。安心したよ。ではもう一歩踏み込んで、自衛隊が何をする組織か、そして自衛官とは何者かを知ってください」
「はい」
それでもひよりはドキドキしていた。それは、あまりにも東がかっこよかったからだ。
他の隊員も同じ迷彩服を着ているというのに、東だけはなぜか特別に見えた。腕には赤十字の腕章をつけ、左胸にはなにやら立派なものがついている。
(そういえば東さんの階級って、なんだろう)
「あの、先ほどいらした河口さんは三等陸曹さんらしいんですけど、隊長の東さんもあるんですよね? 階級が」
「あるよ。自衛官は階級制だからね」
「ちなみに何等ですか?」
「私はね二等陸佐です」
「陸佐……?」
「一応、幹部ってわけだ。さて、ひよりさん体調はいかがかな。そこに座ってください」
「えっ」
「一応、形だけでも……ね」
「あ、了解しました」
東は健康チェックという理由で、ひよりに中を見せてくれるというのだ。ひよりは小声で返事をして、テントに入った。
テントなのに、小さな町医者くらいの設備が揃っていた。簡易ベッドもある。
「パイプ椅子だけど、どうぞ」
「失礼します」
「とまあ、こんな感じで仕事をするんだ。普段は医務室だけどね。野外ではテントを張って、怪我や病気の治療をしている。手術だって、できるんだ」
「えっ、外で、ですか!」
「うん。我々は戦闘地帯での治療も想定している。戦闘中は救急車なんて呼べないし、そういう場所は市街から離れているからね」
「医官さんも、戦うんですか?」
「衛生隊は救うのが任務です。その訓練を今日お見せしますから、まずは見てください」
「はいっ」
ひよりの知らない世界がここにはある。国民を守るために日々訓練に励む自衛官たち。
その自衛官たちの命を救う衛生隊。戦場を想定していると聞くと、やはり恐怖が生まれる。
「あのっ、死なないでほしいんです」
「え?」
「あ、えっと。すみません。まだ見る前からこんなでごめんなさい。まだ、怖くて」
「ひよりさん。怖いかもしれないけど、見て欲しい。目を逸らさないでくれませんか。私はあなたの事も、絶対に守ります。信じてください」
「東、さん」
東の大きな手がひよりの頭を引き寄せた。気がつくと、硬い生地に頬があたっていた。東がひよりを抱き寄せたのだ。
(えっ、えっ、えっ!)
どうしてこうなっているのか、ひよりは分からない。ただ、ドキドキしていた心臓はバクバクに変わっていった。
「ひよりさん」
「あっ、東さんっ」
なんだか、ちょっといい感じになっているけれど、ひよりはまだまだ混乱中だ。
昼食を、お腹がはちきれるほど食べたので、夕食は胃に優しい温かいうどんが出された。
どうして東はひよりにここまでするのだろうか。ひよりはまだ分からない。
(これじゃあ断れないよね。自衛隊に入るの。さんとうさんたちが、女性が足りないって言ってたしなぁ。会社辞められるかなぁ。その前に体力に自信がないんだけど)
ヤクザになれと言われるより、自衛隊の方がぜんぜんいい。でも、体力がないから不安だ。そんな方向にひよりの思考は移っていた。
◇
そして、ある日の日曜日。
東が働く自衛隊の駐屯地記念行事の日がやってきた。東に駐屯地最寄りの駅から、無料シャトルバスが運行されるので、それに乗って来るように言われた。
バスの運行は八時半からで、式典は十時から始まる。ひよりは東からバス待ちの列が長くできるから、早めに並ぶようにと言われていた。
ひよりが駅前のバス停に着いた頃には、すでに十数名の人の列ができていた。ひよりがこの列であっているのか迷っていると、モスグリーンの制服を着た自衛官から声をかけられた。
「おはようございます。駐屯地記念行事に行かれますか?」
「はい」
「では、最後尾はこちらになりますのでお待ちください。それから、これどうぞ。パンフレットです」
「ありがとうございます」
そう、今回はきちんと自衛官だと認識できていた。ひよりはあれから猛省したのだ。
反社会組織と国を守る自衛隊を間違えてしまったこと、自分の偏った知識と思い込みを振り返ると、今でも穴があったら入りたい。けれど、ひよりは東にチャンスをもらったのだ。自衛隊がどんなことをしているのか、自衛官は何のためにあるのかを、自分の目で見ることができる。
パンフレットを見ると、今日のタイムスケジュールと催し物などが書かれてあった。写真から見るに、訓練の様子も見せてもらえるようだ。
(うわっ、これ大砲? 火が出てる!)
観閲行進、祝賀飛行、訓練展示、自衛隊車両展示、祝賀会と見慣れない文字が並んでいた。
「お待たせしました。奥から順番に詰めてください」
「あ、バス来た。見た感じ、普通のマイクロバスね」
普通のバスと違うところは、運転手が自衛官だということ。席に座ると真っ先に目に入ったのが「弾帯外せ」という注意書きだった。
(弾帯って……あ、下にgun beltって書いてある)
「えっ、ガンベルトっ」
いわゆる、銃弾を連結したものを身につけるためのベルトだ。ある意味ヤクザより強烈だ。
(東さんたちもつけるのかな。でも、医官さんだからそれはないよね)
まだ文字しか見ていないのに、そういうものをつけなければならない仕事がこの世にあると知り、胸が痛んだ。国を守る、国民を守るということは、そういう事が起こり得るという事だからだ。
バスは十分ほど走って、陸上自衛隊の駐屯地の門に入った。降りたら全員、持ち物検査をしなければならないらしい。テロ対策の一環だろう。
持ち物の中身を見せた後、金属探知機を使ったボディチェックがある。小さい子供や女性には、女性自衛官が対応していた。
「はい、大丈夫です。ご協力ありがとうございました」
自分と同年代か、それよりも若い女性自衛官を見て、ひよりは考える。彼女たちも国を守るために入隊したはずだ。何が彼女たちをそうさせたのか、とても気になった。
ひよりにとって、これまで自衛隊という言葉すら頭の片隅になかったからだ。
(どこで、何がきっかけで自衛官になったんだろ。あっ……スカウト?)
東が自分を誘おうとしているように、彼女たちもスカウトされたのかもしれない。ひよりの、ちょっと斜め上な思考は相変わらず健在だった。
無事に持ち物検査を終えたひよりは、東に言われたように関係者受付で名前を名乗った。すると、関係者用のパスを首からかけられた。
「西さん! 十時から開会式が始まりますので、あちらの席でご観覧ください。出入りは自由です」
「ありがとうございます」
「暑いので水分補給や日陰での休憩をおすすめします」
「はい!」
「あっ、すみません。もう一点」
受付の隊員がひよりに駐屯地内の見取り図を渡した。そして、小声で「こちらで、お待ちしているそうです」と指をさしたのは救護テントだった。
「あっ、ここに。分かりました。ありがとうございます」
東はここに居ると言われたのだ。赤十字マークが目印だと聞いて、ひよりはさっそくそこへ向かった。
◇
営内はまるで古い国立大学の敷地を歩いているようだった。大きなグラウンドと、駐車場には自衛隊のトラックが整列し、古びたコンクリートの建物がいくつも建っている。そして、それぞれの部隊の看板がかけられてある。食堂やコンビニ、娯楽施設もあり自衛官の生活を垣間見ることができた。
ひよりが歩いていると、記念行事を見に来た多くの一般客とすれ違った。小さな子供を連れた家族もいるし、若い女性のグループもいた。それに、お祭りで見るような模擬店まである。
(まるで、お祭り! かき氷、唐揚げ、うどん、焼き鳥……ガチャまである!)
それは、ひよりが想像していた風景とは全く違っていた。もっと、緊張感に包まれているものだとばかり思っていたからだ。
営内の見取り図を見ながら、ひよりはようやく東がいる救護テントまでやってきた。赤十字のマークの下に「救護所」と看板に書いてある。テントの隣には同じく赤十字マークをつけたトラックが停まっていた。
テントの入り口は、まだ閉まっている。
「おはようございます。あの、誰かいらっしゃいますか?」
恐る恐るひよりは、テントの入り口の隙間から声をかけた。しかし、誰もいないのか中から返事はない。どうしようかと悩んでいると、後ろから声を掛けられた。
「あ、西さんですね! おはようございます」
振り返ると、迷彩服を着た隊員が立っていた。腕には赤十字の腕章を付けている。
「はい、西と申します。おはよう、ござ……あ! さんとうさん!」
ひよりは東の家で食事を一緒にした、部下の一人だということに気がついた。
「三等さんって……くははっ。間違ってはいないですけど。自分、三等陸曹の河口と言います。三等は自分の階級ですね。略すならば三曹かな」
「えっ、階級! わー、すみません。失礼しました。河口三等陸曹さん」
「いえいえ。でも、西さんは自衛官ではないですから、階級までは言わなくて大丈夫ですよ。それにしても新鮮だなぁ。あっ、東隊長ですよね。中にると思いますけど……隊長! いらっしゃいましたよ」
河口三曹は、テントの入り口をめくって通る声でそう言った。ひよりが後ろから覗いてみるけれど、中は薄暗い。
(本当に居るの? 居ないと思うよ)
「おぅ、いらっしゃい」
「わっ。お、おはようございます」
陸上自衛隊の迷彩服が、薄暗いテントの中に溶け込んでいるせいで、東の姿に気づかなかった。
「すみません。準備をしていたので気づかなかった。さて、入り口を開けておこうか。ひよりさん、よく来たね」
「ご招待くださり、ありがとうございます。初めてなので、ちょっとドキドキしています」
「今日はね、地域の方に我々の日々の訓練の成果をお見せして、自衛隊活動に理解してもらうための行事なんだ。だから、ドキドキしなくて大丈夫。ここは、ヤクザの本部じゃないからね」
「あっ、もう忘れてください。ちゃんと自衛隊って、認識しましたから」
「あはは。安心したよ。ではもう一歩踏み込んで、自衛隊が何をする組織か、そして自衛官とは何者かを知ってください」
「はい」
それでもひよりはドキドキしていた。それは、あまりにも東がかっこよかったからだ。
他の隊員も同じ迷彩服を着ているというのに、東だけはなぜか特別に見えた。腕には赤十字の腕章をつけ、左胸にはなにやら立派なものがついている。
(そういえば東さんの階級って、なんだろう)
「あの、先ほどいらした河口さんは三等陸曹さんらしいんですけど、隊長の東さんもあるんですよね? 階級が」
「あるよ。自衛官は階級制だからね」
「ちなみに何等ですか?」
「私はね二等陸佐です」
「陸佐……?」
「一応、幹部ってわけだ。さて、ひよりさん体調はいかがかな。そこに座ってください」
「えっ」
「一応、形だけでも……ね」
「あ、了解しました」
東は健康チェックという理由で、ひよりに中を見せてくれるというのだ。ひよりは小声で返事をして、テントに入った。
テントなのに、小さな町医者くらいの設備が揃っていた。簡易ベッドもある。
「パイプ椅子だけど、どうぞ」
「失礼します」
「とまあ、こんな感じで仕事をするんだ。普段は医務室だけどね。野外ではテントを張って、怪我や病気の治療をしている。手術だって、できるんだ」
「えっ、外で、ですか!」
「うん。我々は戦闘地帯での治療も想定している。戦闘中は救急車なんて呼べないし、そういう場所は市街から離れているからね」
「医官さんも、戦うんですか?」
「衛生隊は救うのが任務です。その訓練を今日お見せしますから、まずは見てください」
「はいっ」
ひよりの知らない世界がここにはある。国民を守るために日々訓練に励む自衛官たち。
その自衛官たちの命を救う衛生隊。戦場を想定していると聞くと、やはり恐怖が生まれる。
「あのっ、死なないでほしいんです」
「え?」
「あ、えっと。すみません。まだ見る前からこんなでごめんなさい。まだ、怖くて」
「ひよりさん。怖いかもしれないけど、見て欲しい。目を逸らさないでくれませんか。私はあなたの事も、絶対に守ります。信じてください」
「東、さん」
東の大きな手がひよりの頭を引き寄せた。気がつくと、硬い生地に頬があたっていた。東がひよりを抱き寄せたのだ。
(えっ、えっ、えっ!)
どうしてこうなっているのか、ひよりは分からない。ただ、ドキドキしていた心臓はバクバクに変わっていった。
「ひよりさん」
「あっ、東さんっ」
なんだか、ちょっといい感じになっているけれど、ひよりはまだまだ混乱中だ。
あなたにおすすめの小説
お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。
「だって顔に大きな傷があるんだもん!」
体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。
実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。
寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。
スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。
※フィクションです。
※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕の主治医さん
鏡野ゆう
ライト文芸
研修医の北川雛子先生が担当することになったのは、救急車で運び込まれた南山裕章さんという若き外務官僚さんでした。研修医さんと救急車で運ばれてきた患者さんとの恋の小話とちょっと不思議なあひるちゃんのお話。
【本編】+【アヒル事件簿】【事件です!】
※小説家になろう、カクヨムでも公開中※
報酬はその笑顔で
鏡野ゆう
ライト文芸
彼女がその人と初めて会ったのは夏休みのバイト先でのことだった。
自分に正直で真っ直ぐな女子大生さんと、にこにこスマイルのパイロットさんとのお話。
『貴方は翼を失くさない』で榎本さんの部下として登場した飛行教導群のパイロット、但馬一尉のお話です。
※小説家になろう、カクヨムでも公開中※
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
私の主治医さん - 二人と一匹物語 -
鏡野ゆう
ライト文芸
とある病院の救命救急で働いている東出先生の元に運び込まれた急患は何故か川で溺れていた一人と一匹でした。救命救急で働くお医者さんと患者さん、そして小さな子猫の二人と一匹の恋の小話。
【本編完結】【小話】
※小説家になろうでも公開中※