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9章 悪事の暴露

5話 日野信当たちの取り調べ

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 軍100人による鬼柳儀幽の捜索が続くが手掛かりはない。
 日野信当たち10人の貴族は、役人の取り調べを受ける
 その中には今泉清光もいる。
 日野信当は無言を通すが、ほかの貴族が詳細に話していく。
 調べは10人にとどまらず数を増やしていく。
 調べは、竹丸の母信濃まで及ぶ。
 国府内では日野信当たちに親しい貴族たちが戦々恐々としている。
 貴族たちの混乱は、町人たちにも伝わる。
 商人たちは貴族ともつながりのある者もいるため、商売にかかわるのである。
 調べは続けられる。
 貴族たちの暗部に日が当たったのである。
 ある貴族が中庭に引っ立てられる。
 中庭には帝や貴族たちがいる。
 帝が彼に問う
 「おのが罪をすべて話しなさい。」
 「私は、日野信当様に迎合していました。」
 「手を下していないのですか。」
 「はい、していません。」
 「つな殿の暗殺のために密偵を城に潜入させましたね。」
 「そ、それは・・・、その通りです。」
 「まだ言うことはありませんか。」
 「ありません。」
 「後に裁きを言い渡します。」
この貴族は中庭から連れ出される。
 次に今泉清光が引っ立てられて来る。
 帝が言う
 「あなたほどの者が愚かなことをしたものです。」
 「我々は勢力争いをしていました。九条様達も同じです。」
 「罪を犯したのはあなたたちですよ。」
 「結果的にそうなったのです。」
 「違う結果があったのですか。」
 「つながいなければうまくいっていたのです。」
 「菊姫暗殺を肯定するのですか。」
 「成功していれば、それ以上血は流れませんでした。」
 「都合の良い解釈ですね。」
 「そうでしょうか。」
 「もし、そうなっていれば、竹丸が世継ぎになり、貴族たちは鬼柳儀幽の言いなりになっていたのではないですか。」
 「鬼柳殿は素晴らしい方です。良い世の中になるでしょう。」
 「そなたも毒されているのですね。」
 「私は誤っていません。」
 「もう話すことはありません。連れて行きなさい。」
清光は、中庭から連れられて行く。
 日野信当が中庭に引っ立てられて来る。
 信当はこれまで無言で通している。
 帝は信当に言う
 「あなたの罪はすべてわかっています。」
 「・・・・・」
 「何か言うことはありませんか。」
 「・・・・・」
 「鬼柳とういう知れ者のことを教えてください。」
 「鬼柳殿は素晴らしい方だ。」
 「どう素晴らしいのですか。」
 「それは・・・」
日野信当は答えられない
 「好ましくない人物と分かっているのではないのですか。」
 「そんなことはない。」
 「まだ話すことはないのですか。」
 「何もない。」
 「分かりました。連れて行きなさい。」
信当は、中庭から連れられて行く。
 日野信当たちのやったことは、ほとんどわかってきている。
 しかし、事件の中心にいた鬼柳儀幽のことはほとんどわからない。
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