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1章 井戸の呪い
1話 中野沙衣探偵事務所
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浪江市の北にある東海市は南北に走る鉄道が通っている。
東海市には朝宮駅が1つある。
東は朝倉町を中心とした住宅地になっており、西は歩いてしばらく歩くと海に出る。
中野沙衣は、明城大学の大学生だが、朝宮駅の近くに中野沙衣探偵事務所を構えている。
探偵事務所と名乗っているが、来る依頼は心霊がらみの案件ばかりである。
彼女は高校生のころから除霊のアルバイトをしており、この時稼いだ潤沢な資金で中野沙衣探偵事務所を開設している。
彼女の仕事には1つ問題があった。
バイト代はよいのだが、心霊現象の恐ろしさにバイトの助手がついてこられないのだ。
これまで何人も雇っている。
特に男子は彼女を前にするとやる気満々になる。
それがすぐにやめて行ってしまうのだ。
中にはショックで引きこもってしまう者まで出ているのだ。
沙衣は良い人材がいないか悩んでいる。
一人でもできるのだが荷物持ちは欲しいのである。
そんな中、同じ学部の中井祐二が声をかけてくる。
彼とは高校の時クラスメートであった。
高校の時、彼の家を除霊したことがある。
彼は、その時悪霊と暮らしていたのである。
それも平気で、その時は彼の鈍感ぶりに感心したものだ。
普通なら逃げ出しているはずだし、住んでいたら霊障に悩まされるか、死んでいるはずだ。
彼は言う
「相談があるけどいいかな。」
「何かしら。」
「僕の住んでいる部屋だけどと友達が来たら、部屋に女の人がいるというんだ。」
「連れ込んだの。」
「違うよ、それで霊能者に除霊を頼んだのだけど無理と言われたんだ。」
「分かったわ、ずいぶんと酷いようね。」
「僕は普通に住んでいるし、部屋もきれいにしているよ。」
「相変わらす鈍感ね。」
「霊に鈍感なのは認めるよ。」
「それで依頼料は払えるの。」
「バイトして払うよ。」
「なら、私の助手をしなさい。普通の人では務まらないのよ。」
「分かった。いいよ。」
沙衣は霊に鈍感な祐二なら荷物運びが務まると考える。
一方、祐二は高校生のころから仲良くなりたかったので願いがかなったことになる。
高校のころ沙衣は五條美湖と2人でハートブレーカーズを呼ばれ、多くの男子をふっている高嶺の花なのだ。
「祐二、よろしくね。私のことは沙衣でいいわ。」
「分かった、沙衣、よろしくお願いします。」
いきなりの名前呼びに祐二のテンションは高まる。
それに仕事とはいえ彼女が祐二の部屋に来るのである。
祐二の初仕事は自分の部屋になる。
祐二のアパート、通称心霊アパートに行く。
沙衣がアパートを見ると黒い靄に包まれている。
彼女はミネラルウォーターのペットボトルを出すと水の刃を作りアパートの周りに浮かんでいる霊団を切り裂き霧散させる。
祐二は沙衣が水を操れる龍神の巫女だと知っている。
さらに彼女は、霊の気配を探ると強い気配は祐二の部屋からするがほかの部屋にも気配はする。
沙衣は、祐二に言う
「大家さんに来てもらって。」
「どうして。」
「ほかの部屋にも霊の気配があるから部屋を開けてもらうわ。」
「分かった。」
祐二は大家に電話して来てもらうことにする。
大家はすぐに来て沙衣に話をする
「このアパートは、心霊アパートと呼ばれていまして、住民がいつも出て行ってしまうんです。中井さんは特別ですが。」
祐二は大家の説明に僕は特別なのかと思う。
沙衣は、部屋を1つづつ大家に開けてもらって除霊していく。
大家は、沙衣が水を操ることに驚く。
祐二が大家に沙衣の力のことを説明する。
祐二の部屋には大物がいるので後回しにする。
最後に、祐二の部屋のドアを開ける。
部屋の中には髪を振り乱した女がいる。
大家は青くなり後ずさりながらつぶやく
「なんてことだ。」
祐二には何も見えないが、大家には何か見えているらしい。
沙衣は、祐二にあきれたように言う
「随分強力な悪霊ね。」
また、悪霊と暮らしていたらしいと祐二は思う。
沙衣は、水の刀を作り悪霊に向かっていく。
左手をかざし陽の光を悪霊に当てると悪霊は目を焼かれる。
祐二には、陽の光は見えないので彼女はただ手をかざしているようにしか見えないが、沙衣が父親から受け継いだ力である。
彼女は、目を焼いて隙を作り、間合いに踏み込み悪霊を袈裟切りにする。
悪霊は髪で沙衣を捕まえようとする。
彼女は後ろに飛び、刀を振り髪を切る。
再び間合いに入り悪霊を切りつける。
悪霊は傷を塞ぐが髪の攻撃をしてこない。
沙衣の攻撃が効いているのだ。
彼女は悪霊の首を狙って切りつけ、首をはねる。
悪霊は霧散する。
沙衣は言う
「終わったわよ。」
大家は、心霊アパートとまで呼ばれた自分のアパートが除霊されたことに感激する。
祐二は沙衣が戦っているのに何もできないことに歯がゆい思いを感じる。
沙衣は、僕に言う
「何かあったら言うように言っていたでしょ。」
「高校生の時のこと覚えていたんだ。」
「ちゃんと覚えているわよ。」
「助手ってどんな仕事するの。」
「雑用よ。どんな状況でも逃げ出さないのが肝心ね。」
「怖い仕事ですか。」
「今日の仕事怖かった?」
「いいえ、何ともありません。」
「このくらいの仕事で5人はやめているわよ。」
「歓迎するわ、中野沙衣探偵事務所にようこそ。」
祐二は龍神の巫女、中野沙衣の助手をすることになる。
2人はそのまま探偵事務所に行く。
正式にアルバイトに採用するため、手続きをするのだ。
まず、沙衣は時給を提示する
「3000円でどお。」
「3000円ですか。」
沙衣はバイト代が安かったのかと思いながら言う
「これまで3000円でやってきたんだけど。」
「いえ、バイト代が高くて驚いたんです。」
「仕事が入らないとバイト代が増えないから収入が不安定なのよ」
「構いません。」
「学校が終わったら事務所開けるから、何もなかったら2時間勤務よ。」
「えっ、2時間も一緒に居られるの。」
「ちょっと、変な事したら殺すわよ。」
「いえ、しません、やましいことなんて考えていません。」
「後、時給から100円ずつ今日の仕事の依頼料払ってもらうわ。」
「100円だと祓い終えるのに何年かかるんでしょう。」
「さあ、わからないけど、払い終わるまで働いてもらうわよ。」
「永久就職のようですね。」
言って祐二は赤くなる。
沙衣の顔が赤い気がする。
「さあ、今日は雇用契約書を作るわ。」
「はい。」
「マイナンバーカード持っている。」
「いえ、持って来ていません。」
「必要だから明日持ってきて。」
「分かりました。」
祐二は、憧れの沙衣と2人きりで幸せな時間を過ごす。
祐二がバイトに雇われて1週間たつが、まだ客は来ない。
事務所の掃除をして、沙衣にお茶を入れることが仕事になっている。
そこへ中年の男性が入って来る。
沙衣は声をかける
「どのようなご用件ですか。」
「ここの探偵事務所は心霊現象を調査すると聞いたのですが。」
「はい、任せてください。」
「あの所長さんに会いたいんですけど。」
「私です。」
「えっ。」
「私が所長です。」
「すみません。お若いので勘違いを・・・」
「構いません。」
祐二は沙衣が怒りをこらえているのが判る。
「私は不動産の管理会社の者です。管理する物件に出るんです。」
「鬼でも出ますか。」
「いいえ、幽霊です。何とかしてもらえないでしょうか。」
「分かりました。今から行きましょう。」
「それでいくらくらいかかりますか。」
「このくらいです。」
沙衣は金額を紙に書く
「こんなにするのですか。」
「良心的な金額ですよ。それにでなくなりますよ。」
「分かりました。お願いします。」
沙衣と祐二は依頼人の車に乗り、問題の物件に行く。
男は、2人を4階建てのアパートに案内する。
沙衣には、アパートから強い気配は感じられない。
男は2階にある部屋の玄関のカギを外しドアを開ける。
玄関から短い廊下があり、その先に居間がある。
その居間に中年の男性がいる。
男性は宙に浮いている。
管理会社の男は、青くなり後ずさる。
祐二がのんきに質問する
「どうかしたのですか。」
男は震えながら指を刺し
「あ、あれですよ。」
しかし、祐二には見えない。
沙衣は、説明するように言う
「首吊り自殺した人ね。」
「はい、以前この部屋で自殺した人がいます。」
「分かりました。」
沙衣答えるとミネラルウォーターのペットボトルの蓋を開け水を出す。
水は流れ落ちずに沙衣の手のひらの上で集まり、鋭い刃の形になる。
沙衣は、刃を中年の男性の霊に向けて飛ばす。
水の刃は霊を切り裂き霧散させる。
沙衣は、依頼者の男に言う
「終わりましたよ。」
男は、彼女が水を操り、除霊したことに驚きながら
「ありがとうございます。」
と礼を言う。
中野沙衣探偵事務所は、霊にすごく鈍感な祐二を助手に向かえて本格的に活動を始める。
東海市には朝宮駅が1つある。
東は朝倉町を中心とした住宅地になっており、西は歩いてしばらく歩くと海に出る。
中野沙衣は、明城大学の大学生だが、朝宮駅の近くに中野沙衣探偵事務所を構えている。
探偵事務所と名乗っているが、来る依頼は心霊がらみの案件ばかりである。
彼女は高校生のころから除霊のアルバイトをしており、この時稼いだ潤沢な資金で中野沙衣探偵事務所を開設している。
彼女の仕事には1つ問題があった。
バイト代はよいのだが、心霊現象の恐ろしさにバイトの助手がついてこられないのだ。
これまで何人も雇っている。
特に男子は彼女を前にするとやる気満々になる。
それがすぐにやめて行ってしまうのだ。
中にはショックで引きこもってしまう者まで出ているのだ。
沙衣は良い人材がいないか悩んでいる。
一人でもできるのだが荷物持ちは欲しいのである。
そんな中、同じ学部の中井祐二が声をかけてくる。
彼とは高校の時クラスメートであった。
高校の時、彼の家を除霊したことがある。
彼は、その時悪霊と暮らしていたのである。
それも平気で、その時は彼の鈍感ぶりに感心したものだ。
普通なら逃げ出しているはずだし、住んでいたら霊障に悩まされるか、死んでいるはずだ。
彼は言う
「相談があるけどいいかな。」
「何かしら。」
「僕の住んでいる部屋だけどと友達が来たら、部屋に女の人がいるというんだ。」
「連れ込んだの。」
「違うよ、それで霊能者に除霊を頼んだのだけど無理と言われたんだ。」
「分かったわ、ずいぶんと酷いようね。」
「僕は普通に住んでいるし、部屋もきれいにしているよ。」
「相変わらす鈍感ね。」
「霊に鈍感なのは認めるよ。」
「それで依頼料は払えるの。」
「バイトして払うよ。」
「なら、私の助手をしなさい。普通の人では務まらないのよ。」
「分かった。いいよ。」
沙衣は霊に鈍感な祐二なら荷物運びが務まると考える。
一方、祐二は高校生のころから仲良くなりたかったので願いがかなったことになる。
高校のころ沙衣は五條美湖と2人でハートブレーカーズを呼ばれ、多くの男子をふっている高嶺の花なのだ。
「祐二、よろしくね。私のことは沙衣でいいわ。」
「分かった、沙衣、よろしくお願いします。」
いきなりの名前呼びに祐二のテンションは高まる。
それに仕事とはいえ彼女が祐二の部屋に来るのである。
祐二の初仕事は自分の部屋になる。
祐二のアパート、通称心霊アパートに行く。
沙衣がアパートを見ると黒い靄に包まれている。
彼女はミネラルウォーターのペットボトルを出すと水の刃を作りアパートの周りに浮かんでいる霊団を切り裂き霧散させる。
祐二は沙衣が水を操れる龍神の巫女だと知っている。
さらに彼女は、霊の気配を探ると強い気配は祐二の部屋からするがほかの部屋にも気配はする。
沙衣は、祐二に言う
「大家さんに来てもらって。」
「どうして。」
「ほかの部屋にも霊の気配があるから部屋を開けてもらうわ。」
「分かった。」
祐二は大家に電話して来てもらうことにする。
大家はすぐに来て沙衣に話をする
「このアパートは、心霊アパートと呼ばれていまして、住民がいつも出て行ってしまうんです。中井さんは特別ですが。」
祐二は大家の説明に僕は特別なのかと思う。
沙衣は、部屋を1つづつ大家に開けてもらって除霊していく。
大家は、沙衣が水を操ることに驚く。
祐二が大家に沙衣の力のことを説明する。
祐二の部屋には大物がいるので後回しにする。
最後に、祐二の部屋のドアを開ける。
部屋の中には髪を振り乱した女がいる。
大家は青くなり後ずさりながらつぶやく
「なんてことだ。」
祐二には何も見えないが、大家には何か見えているらしい。
沙衣は、祐二にあきれたように言う
「随分強力な悪霊ね。」
また、悪霊と暮らしていたらしいと祐二は思う。
沙衣は、水の刀を作り悪霊に向かっていく。
左手をかざし陽の光を悪霊に当てると悪霊は目を焼かれる。
祐二には、陽の光は見えないので彼女はただ手をかざしているようにしか見えないが、沙衣が父親から受け継いだ力である。
彼女は、目を焼いて隙を作り、間合いに踏み込み悪霊を袈裟切りにする。
悪霊は髪で沙衣を捕まえようとする。
彼女は後ろに飛び、刀を振り髪を切る。
再び間合いに入り悪霊を切りつける。
悪霊は傷を塞ぐが髪の攻撃をしてこない。
沙衣の攻撃が効いているのだ。
彼女は悪霊の首を狙って切りつけ、首をはねる。
悪霊は霧散する。
沙衣は言う
「終わったわよ。」
大家は、心霊アパートとまで呼ばれた自分のアパートが除霊されたことに感激する。
祐二は沙衣が戦っているのに何もできないことに歯がゆい思いを感じる。
沙衣は、僕に言う
「何かあったら言うように言っていたでしょ。」
「高校生の時のこと覚えていたんだ。」
「ちゃんと覚えているわよ。」
「助手ってどんな仕事するの。」
「雑用よ。どんな状況でも逃げ出さないのが肝心ね。」
「怖い仕事ですか。」
「今日の仕事怖かった?」
「いいえ、何ともありません。」
「このくらいの仕事で5人はやめているわよ。」
「歓迎するわ、中野沙衣探偵事務所にようこそ。」
祐二は龍神の巫女、中野沙衣の助手をすることになる。
2人はそのまま探偵事務所に行く。
正式にアルバイトに採用するため、手続きをするのだ。
まず、沙衣は時給を提示する
「3000円でどお。」
「3000円ですか。」
沙衣はバイト代が安かったのかと思いながら言う
「これまで3000円でやってきたんだけど。」
「いえ、バイト代が高くて驚いたんです。」
「仕事が入らないとバイト代が増えないから収入が不安定なのよ」
「構いません。」
「学校が終わったら事務所開けるから、何もなかったら2時間勤務よ。」
「えっ、2時間も一緒に居られるの。」
「ちょっと、変な事したら殺すわよ。」
「いえ、しません、やましいことなんて考えていません。」
「後、時給から100円ずつ今日の仕事の依頼料払ってもらうわ。」
「100円だと祓い終えるのに何年かかるんでしょう。」
「さあ、わからないけど、払い終わるまで働いてもらうわよ。」
「永久就職のようですね。」
言って祐二は赤くなる。
沙衣の顔が赤い気がする。
「さあ、今日は雇用契約書を作るわ。」
「はい。」
「マイナンバーカード持っている。」
「いえ、持って来ていません。」
「必要だから明日持ってきて。」
「分かりました。」
祐二は、憧れの沙衣と2人きりで幸せな時間を過ごす。
祐二がバイトに雇われて1週間たつが、まだ客は来ない。
事務所の掃除をして、沙衣にお茶を入れることが仕事になっている。
そこへ中年の男性が入って来る。
沙衣は声をかける
「どのようなご用件ですか。」
「ここの探偵事務所は心霊現象を調査すると聞いたのですが。」
「はい、任せてください。」
「あの所長さんに会いたいんですけど。」
「私です。」
「えっ。」
「私が所長です。」
「すみません。お若いので勘違いを・・・」
「構いません。」
祐二は沙衣が怒りをこらえているのが判る。
「私は不動産の管理会社の者です。管理する物件に出るんです。」
「鬼でも出ますか。」
「いいえ、幽霊です。何とかしてもらえないでしょうか。」
「分かりました。今から行きましょう。」
「それでいくらくらいかかりますか。」
「このくらいです。」
沙衣は金額を紙に書く
「こんなにするのですか。」
「良心的な金額ですよ。それにでなくなりますよ。」
「分かりました。お願いします。」
沙衣と祐二は依頼人の車に乗り、問題の物件に行く。
男は、2人を4階建てのアパートに案内する。
沙衣には、アパートから強い気配は感じられない。
男は2階にある部屋の玄関のカギを外しドアを開ける。
玄関から短い廊下があり、その先に居間がある。
その居間に中年の男性がいる。
男性は宙に浮いている。
管理会社の男は、青くなり後ずさる。
祐二がのんきに質問する
「どうかしたのですか。」
男は震えながら指を刺し
「あ、あれですよ。」
しかし、祐二には見えない。
沙衣は、説明するように言う
「首吊り自殺した人ね。」
「はい、以前この部屋で自殺した人がいます。」
「分かりました。」
沙衣答えるとミネラルウォーターのペットボトルの蓋を開け水を出す。
水は流れ落ちずに沙衣の手のひらの上で集まり、鋭い刃の形になる。
沙衣は、刃を中年の男性の霊に向けて飛ばす。
水の刃は霊を切り裂き霧散させる。
沙衣は、依頼者の男に言う
「終わりましたよ。」
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