ポンコツと蔑まれた冒険者は最強クランをつくる

ぽとりひょん

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第11章 新たな冒険

第6話 ヨルの戦い

 ヨルはベヒモスと対峙する。エゴンとクヌートは防御魔法を使うが、ヨルは防御魔法の外にいる。ベヒモスがブレスを吐こうとのどを光らせた瞬間、ヨルは俊足で前に出る。
 ベヒモスがブレスを吐き出し炎が地面をなめる。そこにはヨルはいなかった。右へ飛んでかわしてベヒモスに迫る。ベヒモスは甘くない。左前足を振ってヨルを引き裂こうをする。
 ヨルは頭から滑り込み左前足をかわすが、背中を引き裂かれる。しかし、ヨルは止まらない。低い姿勢で立ち上がるとベヒモスの下に駆け込み右後足を切り飛ばす。
 ベヒモスはバランスを崩す。ヨルは傾いて膝をつくベヒモスの腹を切り裂いて行く。大きなダメージにベヒモスの動きが鈍る。
 ヨルも背中の出血が多く、ふらつき目がかすむ。それでも攻撃の手は緩めない。続いて右前足を切り裂く。ベヒモスは空中に魔法陣を出現させる。
 アルフレートが思わず叫ぶ。
 「氷の槍が来るぞ。防御だ!」
ヨルはアルフレートの言葉を無視して、ベヒモスの首へ切りかかる。そこへ氷の槍の雨が降る。ヨルの背中に氷の槍が刺さり腹へつき抜ける。
 致命傷のはずだがヨルはそのままベヒモスの首を切り裂く。ベヒモスは倒れ、その上に折り重なるようにヨルが倒れる。
 ベヒモスは地面に吸収されるように消えていく。ヨルの所にアルフレートとユリアーネが駆け寄る。ヨルは気絶していた。だが、呼吸は浅く危険な状態である。
 アルフレートは氷の槍を抜くと回復ポーションを口移しで飲ませる。ユリアーネはヨルの傷ついた内臓を再生するイメージでヒールをかける。
 ヨルの体に空いた穴は、みるみる再生するように塞がって行く。
 エアハルトたちは、アロイスの指揮で35階層の安全を確認していく。アルマ、カミル、シリノは魔石の回収を始める。
 35階層の安全が確認され野営の準備が出来たころ、ヨルが目を覚ます。ずっとヨルに付き添っていたアルフレートが声をかける。
 「ヨル、ダ丈夫か?」「俺・・・」
頭がもうろうとする。確かベヒモスと戦っていて・・・、そうだ、俺は気を失ったんだ。
 「俺、ベヒモスと戦って失敗したのですね。」「ベヒモスは君が1人で倒したよ。」
 「しかし、記憶がありません。」「酷いケガだったから、記憶が混乱しているのだよ。」
 「俺のケガが治っている。」「ユリアーネに礼を言うんだよ。」
 「すごいな、レベル6のヒーラーは死にかけていたはずなのに直してくれたのか。」「ああ、彼女はすごいよ。」
ヨルは立ち上がろうとするとアルフレートが止める。
 「じっとしていなさい。君は血を失い過ぎている。立てる状態ではない。」「それでは足手まといになってしまいます。」
アルフレートは首を振る。そこへアロイスがやって来る。
 「ヨル、なぜ1人で戦おうとした。なぜ、エゴンとクヌートと連携しなかった。」「俺は、セクメト・クランでも1人前に戦えると証明したかった。」
 「確かにベヒモスを1人で倒して力を示した。だが、明日からどうする。」「明日には動けるようになって見せます。」
 「動けるわけないだろ。明日から遠征は足止めだ。言っている意味、分かるよな。」「だったら、俺を置いて進んでください。必ず追いつきます。」
 「俺たちのクランは誰1人見捨てるようなことはしない。ヨル、お前が回復するまでここに留まる。良く反省をするんだな。」「・・・・・」
ヨルはこぶしを握り締める。自分の力を示したかった。それが遠征を止めることになってしまった。あの時、死んでいた方が良かったのではないか。
 どうすればいい。考えがまとまらない。
 アルフレートがヨルに言う。
 「今できることは1日でも早く回復することだ。」「すみません。イーリスパーティーに泥を塗ってしまいました。」
 「気にしなくていいですよ。これからきちんと役割を果たせばよいことです。」「はい。」
アロイスがアルマとアルノーに言う。
 「ヨルには、俺が厳しく言っておいたから、追い打ちをかけないでやってくれ。」「俺がそんなことを言うと思っているのか。」「私もそのようなことはしません。」
 「だったらいいんだ。」「俺は今の状況を説明しようとしていただけだ。」「私は特別訓練を提案しようとしていただけです。」
 「それがだめなんだよー」
アロイスはアルマとアルノーの予想通りの反応に頭が痛くなる。
 ヨルは2日寝込み、3日目には回復する。エアハルト、アロイス、アルノー、アルフレートは相談して、明日35階層を出発することにする。
 アルフレートは病み上がりのヨルの様子を監視することになる。
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