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156話 夕食の誘い

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 九郎たち4人は、ハイキング部へ行くことを諦めて帰ることにする。
 つよしが九郎に言う。
 「九郎が飲まれたっていう市松人形の呪いだけど、オカルト同好会の会長が封印を解いたらしいぞ。」「そんなこと警察が信じるかな。」
 「だから、原因不明で立ち入り禁止になっているんじゃないのか。」「そうだよな。誰も信じないよな。」
九郎は、自分が見る霊や妖は普通の人に見えないので存在を信じてもらえないのだと考える。
 今も、玉枝は姿が見えない状態で皆と一緒にいる。しかし、みんなからは認識されていないのだ。彼女はどんな気持ちでいるのだろう。
 九郎とあやめとつよしと美琴は大学を出ると別れる。その時、九郎のスマホが着信を告げる。一久からの電話だ。
 「九郎君、そろそろ大学からの帰りかな。」「そうです。ちょうど大学を出る所です。」
 「夕食を一緒に食べないか用意してあるんだ。」「分かりました。あやめに聞いてみます。」
九郎は歩きながらあやめに言う。
 「今日、家で夕食を食べないかって一久さんに誘われているんだ。」「私を家に連れ戻すつもり。」
 「そんな話はしていないよ。」「九郎は行くつもり。」
 「僕は賛成だよ。」「分かったわ。行きます。」
九郎は一久に返答する。
 「夕食ごちそうになります。」「それは良かった。待っているよ。」
九郎とあやめは手をつないで久沓神明社へ歩いていく。神社の坂を上り鳥居の所まで来ると玉枝が気配を強くして見えるようになる。
 あやめが家の引き戸を開けると一久が飛び出てくる。彼女は予測していたのか、一久を避ける。彼はそのまま玉枝に向かう。
 玉枝は一久の右腕とえりを取り払い腰で投げる。彼は抗議する。
 「親子の久々の対面に避けることないだろ。」「久々ではありません。」
あやめは取り合わない。一久はすぐに復活するとみんなに言う。
 「さあ、入って。夕食の準備はできているよ。」「お邪魔します。」
九郎たちは家に入り居間へ行く。居間には寿司が並んでいる。一久が注文したに違いない。彼は九郎に言う。
 「九郎君、あやめはちゃんとしているかい。」「はい。」
 「あやめはいつまで九郎君の所にいるつもりだい。」「ずうっとよ。九郎からは離れないから。」
 「玉枝さんはどうするつもりですか。」「あやめちゃんがいても構いませんわ。」
 「そうか、今のところうまくいっているのか。」「一久さんは、あやめに帰ってきてほしいのですよね。」
 「私は、九郎君にも一緒に来て欲しいと思っているよ。」「僕はまだアパートで暮らすつもりです。」
 「そうか、まだ話は付きそうにないね。」
一久は話を聞くだけで終わらせる。九郎は、一久がどこに着地点を求めているのか気になる。
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