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167話 あやめ、フリーになる?

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 翌朝、九郎は1人で大学へ行く。玉枝がついて来ているが気配を小さくしているので人には見えない。
 つよしと美琴が声をかけてくる。
 「九郎、今日も社本さん休みか。何とかならないのか。」「今日は来ると思うよ。」
3人が教室に入るとあやめが席についている。九郎はつよしと美琴をはさんだ席に着く。美琴があやめに言う。
 「あやめ大丈夫、翼君懲らしめようか。」「大丈夫よ。しばらく距離を取ることにしたの。」
つよしが九郎に言う。
 「社本さんを取られたくなかったら早く手を打った方がいいぞ。」「どいうことだ。」
 「社本さんはかわいいから人気があるんだ。九郎と不仲だと知れたら手を出してくるよ。」「僕は、あやめを待つしかできないよ。」
午前中、九郎とあやめは一言も会話をしていない。そして、昼休み学食で九郎とあやめは離れた席に着く。
 学内で九郎とあやめの不仲説が流れ始める。2人は流れ始めた噂を肯定するように別々に帰宅する。
 翌朝、九郎はつよしと美琴と合流して教室に行く。するとあやめに男子が話しかけている。あやめは男子に言う。
 「しつこいわよ。」「九郎は二股かけているらしいぞ。九郎なんかやめなよ。」
 「もう話しかけないで。」「せっかく誘っているのに、分かったよ。」
男子は教室を出ていく。美琴があやめに言う。
 「あやめ、大丈夫。」「大丈夫よ。九郎の欠点を並べて、俺と付き合えだって、頭に来るわ。」
 「まだ、翼君の彼女なんだ。」「そうよ、今は距離を置いているだけよ。」
 「翼君のこと好きなのね。」「好きよ。でも今のままじゃ付き合えないから悩んでいるのよ。」
あやめと美琴が話しているうちに、次の男子が来る。
 「社本さん、あんなのやめて、俺と付き合ってくれ。」「あんなのって何?」
 「翼のことだよ。俺は浮気しないよ。」「ごめんなさい。付き合う気はないわ。」
 「君は浮気男の方がいいのかい。」「しつこいわよ。」
 「何であんな奴がいいんだ。」
男子は去って行く。つよしがあやめに言う。
 「社本さん、九郎と別れたと思われているみたいだよ。」「そんなことないのに・・・」
あやめは九郎を見る。九郎があやめに言う。
 「僕が、あやめは僕の彼女だと言おうか。」「私で何とかするわ。」
あやめは拒否するが、休み時間の度にあやめに男子が言い寄ってくる。
 とうとう九郎は我慢できなくなって、あやめを抱きしめると男子に言う。
 「あやめは僕の彼女だ。」
見ていた男子たちからつぶやきが聞こえる
 「痴話げんかかよ。」「誰だ。別れたといった奴。」
あやめを抱きしめた九郎は彼女から無言で肘打ちを食らう。
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