勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第7章 王都への帰還

第10話 籠城戦

　王国軍は王都へ退却する。サヴォア伯爵はリヒャルト王に報告をするため参上する。
　「サヴォア伯爵、なぜ、敵を残したまま戻って来た。」「王家の騎士たちが反逆してカロリーネ王女に着いたのです。」
　「騎士たちが裏切ったのか。信じられん。」「さらにアニエス様が前衛の兵の半数を倒し、アニタ嬢がヴォーデモン男爵の軍に切り込み軍が混乱しました。」
　「たった２人にやられたのか。」「はい、私の見通しが悪かったのです。籠城する方がよろしいかと思います。」
　「分かった。貴公に任せる。」「はっ。」
リヒャルトは良い案がないため、サヴォア伯爵に戦いを押し付けることにする。
　カロリーネは王国軍が攻めてくることを待つが２日経っても王都に動きはない。彼女は偵察隊を出す。偵察隊が戻ってきて彼女に報告する。
　「王国軍は籠城戦を選んだようです。」「そうですか、ではアレをすることにしましょう。」
カロリーネはボドリヤール伯爵を呼び出すと策を授ける。ボドリヤール伯爵の軍は単独で出撃する。ボドリヤール伯爵の軍は王都に着くと城壁に沿って大きく広がる。
　王都は街の門を閉じているが、外にカロリーネ王女の軍が来ていることは街の人々に知られている。そこへ城壁の外から声が聞こえる。
　「国王は人身売買組織の黒幕だぞー」「そのような者に国を任せて良いのかー」
人々がざわつく。繰り返し声は聞こえてくる。サヴォア伯爵はこのままでは、籠城どころでなくなると慌てて軍を出撃させる。
　ボドリヤール伯爵の軍は門が開き始めると全力で逃げ出す。ばらけた兵たちが一斉に丘の陣に向かって走りだした。
　王国軍は追うが、ボドリヤール伯爵の軍は逃げ足が速い。丘の中腹まで来ると潜んでいたローズとポールが王国軍に向かってウォーターボールを撃ちこむ。
　ウォータボールは兵の顔に張り付き呼吸できなくする。王国軍は引き揚げていく。
　カロリーネは国王の弱みをついて籠城を崩そうとする。