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第27話 夏祭り

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 中野沙衣と五條美湖は、浜田稲荷の夏祭りに来ている。
 今日は、仕事ではなく遊びだ。
 沙衣は、白に紫の菊の花柄の浴衣を着ている。
 美湖は、黒に向日葵ひまわりの花柄の浴衣を着ている。
 2人は屋台を回りながら遊んでいる。
 軍資金は、霊のアルバイトで稼いでいるので心配ない。
 2人が金魚すくいを始めると人だかりができ始める。
 なぜが男ばかりだ。
 彼女たちが移動すると人だかりも移動する。
 たこ焼きを買うと男の客がたこ焼きを買いだす。
 焼きそばを買うと焼きそばが売れ出す。
 2人はこの人だかりがうっとおしいと感じている。
 そこでわざと人だかりの中に入り込み、男たちが右往左往している間に屋台から離れて人のいないところへ逃げる。
 しかし、そこには、アベックがあちらこちらでいちゃついている。
 沙衣は言う
 「祭りを楽しみたいのにいるところないよ。」
 「そうね、帰りましょうか。」
美湖が言う。
 そんな二人に声を掛けられる
 「俺たちと楽しい所へ行こうぜ。」
3人組の青年がいる
 「あなたたちの様なのがいるから楽しめないのよ。」
沙衣が言うと
 「ちょっとお試しに付き合ってよ、楽しいぜ。」
青年が言う
 「ごめんだわ。」
美湖が言うと声がかかる
 「探しておったのだぞここにいたか。」
いつの間にか着物姿の妙齢の美女が立っている。
 青年が何か言おうとするが美女の雰囲気に押される。
 3人組は去っていく。
 沙衣と美湖は美女が人間でないことに気づいている。
 沙衣が美女に言う
 「稲荷様の使いと思いますが何か用ですか。」
 「分かるか、さすがあの者たちの子供じゃ。」
 「父と母を知っているのですか。」
 「あの者たちにも仕事を頼んだからのう。」
美湖が言う
 「仕事の依頼ですか。」
 「そうじゃ。」
 「報酬を頂かないと。」
 「分かっておる。」
美女は2人に勾玉を渡す
 「これは何ですか。」
 「癒しの勾玉じゃ、傷が治るように願えば治るぞ」
 「仕事は何ですか。」
 「夜中、浜田町1丁目の歩道橋に妖が出る、被害者が出る前に退治しておくれ。」
美女は姿を消す。
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