コートの中でまたあなたと

晴れのち曇り

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森田 明

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放課後、キッュキッュという廊下をスリッパで歩く音を両耳が捉える。

その甲高い音を少し不快に思いながらもどうやら近づいて来るようなので首だけ回して振り返る。

ーーーああ、君か。

音の発生源の目的地は僕だったようで、僕の目の前で立ち止まった。

「よう森田、今日の部活どうする?」

田中 真司たなか しんじが話しかけてきた。

「行くよ、当たり前だろ」

「えー、今日もかよ、たまには遊ぼうぜ」

彼は同じテニス部に所属しているのだが、どうにもサボり症なのかよく休んで遊びに行くらしい。

「いや、部活は毎日行くものだろ。田中こそもう少し真面目にやってみたらどうなんだ?」

明はいつもそう苦言を呈すのだが、柳に風と言わんばかりにヒラリとかわされる。

「いやいや、俺真面目だって!真面目に遊んでるの!」

ーーー何言ってんだか。

思わずそうぼやきそうになる。真面目に遊んでるとはどういう事なのだろう。

取り敢えず、このまま田中と立ち話していても大切な練習時間が浪費されるだけだ。早く着替えてアップでもしていよう。

「じゃあ、僕もう行くから」

「何そんな頑張ってんの?どうせウチの高校なんて二回戦止まりの弱小校だっていうのに」

ーーー関係ないだろ、そんな事。

















しつこく遊びに誘う田中に部活があるからと逃げ出すように別れた。

『何そんな頑張ってんの?どうせウチの高校なんて二回戦止まりの弱小校だっていうのに』

田中の言葉が頭にこびりついて拭いとれない。

「わかってるよ、ウチが弱いって事ぐらい。でもそれが部活をサボる理由にはならないだろ……」

校舎の外にある部活ごとに割り振られた更衣室に着くなりそんな言葉が口からこぼれ出る。

彼の言葉に言い返せない事への口惜しさと遣る瀬無さが胸の中にあふれてこぼれ出しそうになる。

更衣室に置かれた鏡、そこには窓から入る夕陽に染まる森田 明自身の顔が映っていた。

その顔がどのような表情だったのか、明さえ分からなかった。








そっと更衣室の扉を開け、赤い夕陽によって燃え上がった運動場は生徒の声が響き渡っている筈なのに、何処か寂しく映った。
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