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部活
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「あつ……」
意図せずとも出てしまった言葉は誰にも拾われる事なく夏の空に溶けていった。
もう7月も半ばが過ぎ、夏休みへのカウントダウンが始まろうかというところであった。
じわじわと責めるように押し寄せる夏の暑さに嫌気がさしながら、コートへと向かう。
「良かった、まだ練習は始まってないな」
コートを見るとネットを張り始めている。
おそらくあれが終われば練習が始まるのだろう。明は手伝おうと駆け足でコートまで近寄った。
「どうも、こんにちは。ネット張り手伝いましょうか?」
「あぁ、森田か。そうだな時間がかかりそうだし、すまないが頼めるか」
「わかりました、先輩」
部活の先輩に一声かけて手伝おうかと尋ねた。
本来ネット張りなどの準備は1年がするものであって、2年の明がする必要は無い。
しかし、明は早く練習を始めたいという思いから手伝う事を提案したのだ。
「でも良いのか?もうすぐ団体戦の試合だろ。この時間も練習してた方が良くないか?」
先輩がそう言う。これは別に嫌味というわけではない。
純粋に明を心配しての事だろう。
団体戦のメンバー争いで明に負けて補欠となったが、それでもその負かした相手を心配する事ができるようなできた人だ。
ーーーそのくらい、僕にもわかる。別に言われなくたって。
それでも邪推してしまう。
それは負い目から来るものなのか、それとも先輩のその人格に対する嫉妬なのかわからない。
暗い暗い暗闇で一人悶えている。勝手に悩んで、勝手に苦しんで、勝手に恨む。
僕はそういう人間なのだろう。
僕の人間としてのあり方については既に諦めた。何か劇的な出会いでもない限りきっと僕はこのままだ。
つまり僕はこのままだ。
だって、劇的な出会いなんてものはこの世には存在しないのだから。
少なくとも僕の前に現れる事は生涯無い。そう言い切れる。
何故かって?
それは、17年余の人生で一度もそんな出会いをしてはいないからだ。
だから僕はこのまま生きて、このまま死ぬんだろう。
そう、これで………
「良いんですよ、これで」
意図せずとも出てしまった言葉は誰にも拾われる事なく夏の空に溶けていった。
もう7月も半ばが過ぎ、夏休みへのカウントダウンが始まろうかというところであった。
じわじわと責めるように押し寄せる夏の暑さに嫌気がさしながら、コートへと向かう。
「良かった、まだ練習は始まってないな」
コートを見るとネットを張り始めている。
おそらくあれが終われば練習が始まるのだろう。明は手伝おうと駆け足でコートまで近寄った。
「どうも、こんにちは。ネット張り手伝いましょうか?」
「あぁ、森田か。そうだな時間がかかりそうだし、すまないが頼めるか」
「わかりました、先輩」
部活の先輩に一声かけて手伝おうかと尋ねた。
本来ネット張りなどの準備は1年がするものであって、2年の明がする必要は無い。
しかし、明は早く練習を始めたいという思いから手伝う事を提案したのだ。
「でも良いのか?もうすぐ団体戦の試合だろ。この時間も練習してた方が良くないか?」
先輩がそう言う。これは別に嫌味というわけではない。
純粋に明を心配しての事だろう。
団体戦のメンバー争いで明に負けて補欠となったが、それでもその負かした相手を心配する事ができるようなできた人だ。
ーーーそのくらい、僕にもわかる。別に言われなくたって。
それでも邪推してしまう。
それは負い目から来るものなのか、それとも先輩のその人格に対する嫉妬なのかわからない。
暗い暗い暗闇で一人悶えている。勝手に悩んで、勝手に苦しんで、勝手に恨む。
僕はそういう人間なのだろう。
僕の人間としてのあり方については既に諦めた。何か劇的な出会いでもない限りきっと僕はこのままだ。
つまり僕はこのままだ。
だって、劇的な出会いなんてものはこの世には存在しないのだから。
少なくとも僕の前に現れる事は生涯無い。そう言い切れる。
何故かって?
それは、17年余の人生で一度もそんな出会いをしてはいないからだ。
だから僕はこのまま生きて、このまま死ぬんだろう。
そう、これで………
「良いんですよ、これで」
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