異世界、皇子です

晴れのち曇り

文字の大きさ
8 / 53
一章、目覚め

戦闘訓練

しおりを挟む
午前中の魔術訓練が無事に終わり、昼食を取った後、訓練場に移動し戦闘訓練をすることになっている。

戦闘訓練を始めるには些か早過ぎるのでは、とも思ったがとりあえずフリートにとって利になるものであるのは間違いないので半年ほど前からミラと共に始めていた。

戦闘訓練ではフリートは短槍を使い、ミラは大きな戦斧を使っている。

ミラは軽々と身の丈以上ある戦斧を振り回すことができ、一体ミラの小さな身体の何処にそんな力があるのかフリートは不思議でならない。

因みに魔術はフリートの方が優秀で、戦闘訓練はミラの方が優秀だ

訓練はガウル帝国の帝都グランゼンの中央に位置するグランゼン城の中にある訓練場で行われる。

この訓練場はかなりの広さがあり、フリートとミラだけでは到底使い切れないほどである。

(何故此処はこれほどまでに広いのか、絶対にこの半分の広さも要らないだろう)
とフリートは内心で呆れを滲ませながら呟く。

「どうしたの?殿下。早く訓練しよう」
ミラが待ち切れないとばかりにフリートに訴える。

フリートはずっと訓練場の入り口で物思いにふけっていたことに今更ながら気づいた。

「そうだね、このまま何もしないのは時間の無駄だからね」

フリートはミラの言葉に同意するように頷く。

訓練場の真ん中に移動すると2人は5メートル程離れてから向かい会い、各々の武器を構えた。

「……っふ!」
「はぁ!」

どちらからともなく相手に武器を全く遠慮を感じさせない動きと気迫で襲いかかった。

先に攻撃を繰り出したのは短槍という速さでミラの戦斧を上回るフリートである。

フリートはミラの腹めがけて突きを繰り出す。

それを紙一重で躱したミラが戦斧を縦に一閃する。

その動きはまるでお互いが相手の動きを最初から知っていたかのように華麗に躱していた。
それは2人が互いの戦い方を熟知しているからこそ出来うる芸当である。

未だ戦闘は続いており、二合、三合と増えていく。

そしてフリートが右に短槍を振り抜いた。

「……っ!」

それをミラはバックステップで躱し、すぐさま再び距離を詰め、戦斧を振り上げた。
体勢を崩しながらも何とか躱したフリートは距離を取ろうとするが、それを読んでいたミラが戦斧を振り下ろす。

あわやそのまま尻もちををついたフリートの脳天が割れる、というところでミラは止めた。

「……勝負あり」

得意げにする銀髪の少女を見上げながらフリートは負けを認めた。

「……ふぅ、参った。やっぱりミラは強いね」

ここまで圧倒的な技量差を見せつけられればいっそ清々しいくらいだ。

「お疲れ様でした。殿下、ミラ様湯浴みの準備が出来ております。直ぐにお入りになられますか?」

フリートとミラ以外誰も居なかったはずだ。
だというのに、いつの間にか使用人の服を着た長い黒髪を背中に流した女性がまるでずっとそこに居たかのように立って居た。

「エリーゼか、そうだね今から入って来るよ」

「……私も」

2人がエリーゼと呼ばれた女性の提案に同意する。もちろん2人は風呂場はいくつかあるので、別々の風呂に入るのだが。

「畏まりました。では行ってらっしゃいませ」

エリーゼに見送られながら2人は訓練場を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

処理中です...