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二章、学園
戦闘訓練、2
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「そこまで!」
ナディアが鋭く終了の合図を飛ばす。
蓋を開けてみれば、模擬戦は終始女子生徒が優勢のまま終わった。
「勝者、エデルガルト!」
ナディアは勝者である女子生徒の名前を叫んだ。そして、フリートは先程の女子生徒の名前を初めて知った。
実際はオリエンテーションで自己紹介をしていたのだが、はなから聞くつもりがなかったので聞き流していたのだ。
なので、ミラ以外のクラスメイトの名前を未だに憶えていないのだ。
「次、ヴェーバー!ガル!前に出ろ!」
そうナディアが叫ぶと、ヴェーバー、と呼ばれた金髪の男子生徒がゆっくりと、しかし自信を漲らせて前に出て行き、ガルと呼ばれた燃え上がるような紅い髪をたなびかせた女子生徒が、これもまた自信を隠すことなく足を進める。
「君が僕の対戦相手か。……うん、合格だ。僕の前に立つに相応しい女性だ」
ヴェーバーが慢心を隠そうともせずに、端整な顔に自信を浮かべながら髪をかきあげ、そして意匠の凝ったまるで実戦向きではないレイピアを構える。
「はぁ……まあ良い、よろしく頼む」
ガル、と呼ばれた女子生徒は少し呆れた顔を見せながら、右手を突き出した状態で静止する。
「……?君は武器を持たないのかい?」
ヴェーバーが不思議そうにガルを見る。
「あぁ、私はこれでいい。十分だ」
「ハハッ、少し僕を舐めすぎではないかい?これでも僕は君と同じI組だよ?」
少女の物言いが気に障ったのか、苛立たしそうな態度を隠すことなく告げる。
「I組といってもピンキリだろう?あと、舐めているのでは無くこれが私の戦闘スタイルだ。武器は使わない」
前半の台詞は言わなくても良かったろうに、とフリートは少し引きながら考えた。
「ピ、ピンキリか……ふ、フフフフフフ、よし分かった。手加減してやろうと思っていたが止めだ。全力で叩き潰してやる!覚悟しろ!」
ヴェーバーはプルプルと震え、我慢ならないとでも言うように叫ぶ。
「口上はそこまでにしておけ。後は実力で示すと良い」
ナディアが長話に飽きた、と言いたげに2人に準備をするように促す。
その声に反応して再びヴェーバーは武器を構え直す。
「良し、……では始め!」
「なっ!?」
同時、少女の前に炎雷の槍が現れた。
それを掴むと驚愕に顔を歪めていたヴェーバーに槍を突き出す。
「殿下、あれは?」
ミラがフリートに尋ねる。
「あぁ、あれは魔力で炎の槍を作り出し、それに雷を帯びさした物だろうね。……彼女は器用な事をするんだね」
感心したようにミラに説明する。
そうしている間に、戦況が変わったようでヴェーバーがガルを攻め立てている。
「その槍には少し驚かされたが、要は当たらなければ良いんだろう?そうと分かれば対処は難しいものではない!」
大きく炎雷の槍を避けながら(そうしなければ電流にやられるからだ)鬼の首を取ったように得意げに言う。
「それはどうかな?」
ガルが不敵に笑う。その笑みに何かを感じ取ったヴェーバーは大きく横に飛ぶ。
ドゥン!!!
轟音を立てて明らかに自然現象では無い雷が先程まで彼がいた場所に寸分違わず落ちる。
「……おいおい、あれはやり過ぎだ。下手したら死ぬぞ!?」
何処からか驚怖混じりの声が聞こえる。
「確かに。あれは過剰攻撃だね。……教官!彼女を止めなくても良いんですか?」
フリートがナディアに言うもののそれを止めたのは、なんとヴェーバーであった。
「止めてくれるなよ!ここで辞めて臆病者の誹りを受けたくは無い!」
「だ、そうだ。このまま続行しろ!」
本人が言うならとナディアが続行を指示する。
フリートは呆れたように溜息をつきながらも黙って観戦することにした。
「はぁっ!」
気合いの入った声で少年は三連突きを見舞う。
その速度はまるで光の様だった。
「ははははは!!!!!そうでなくてはな!!それを待っていたぞ!!やはりこの学園にして正解だった!!!」
少女が興奮したように、楽しんでいるかのようにのように叫ぶ。
所謂『戦闘狂』という存在なのだろう。
「なかなか楽しかったが、そろそろ終わりにしようか!」
そう宣言するとガルは手を振りかざして、ヴェーバーの周りに十を超える数の炎雷の槍を創り出した。
「やれ、我が槍よ!」
手を振り下ろすと一斉に槍が降り注ぐ。
このままでは大怪我どころの話では無い。というところで、素早くナディアが魔術を起動させる。
「不味いな……ディスペル!」
魔術名を唱えるとともに全ての槍が消え去った。
「そこまでだ。勝者、ガル!よくやった……と言いたいところだがやり過ぎだ。これは模擬戦だぞ。加減しろ」
ナディアが少女に釘を刺す。
その時Sクラスの面々はガルの強さと、それを上回るナディアの実力を見せつけられた。
「………………くそっ!」
完膚無きまでに実力差を見せつけられた少年は瞳に暗い炎を浮かべながら、少女を睨んでいた事を今は誰も知らない。
ナディアが鋭く終了の合図を飛ばす。
蓋を開けてみれば、模擬戦は終始女子生徒が優勢のまま終わった。
「勝者、エデルガルト!」
ナディアは勝者である女子生徒の名前を叫んだ。そして、フリートは先程の女子生徒の名前を初めて知った。
実際はオリエンテーションで自己紹介をしていたのだが、はなから聞くつもりがなかったので聞き流していたのだ。
なので、ミラ以外のクラスメイトの名前を未だに憶えていないのだ。
「次、ヴェーバー!ガル!前に出ろ!」
そうナディアが叫ぶと、ヴェーバー、と呼ばれた金髪の男子生徒がゆっくりと、しかし自信を漲らせて前に出て行き、ガルと呼ばれた燃え上がるような紅い髪をたなびかせた女子生徒が、これもまた自信を隠すことなく足を進める。
「君が僕の対戦相手か。……うん、合格だ。僕の前に立つに相応しい女性だ」
ヴェーバーが慢心を隠そうともせずに、端整な顔に自信を浮かべながら髪をかきあげ、そして意匠の凝ったまるで実戦向きではないレイピアを構える。
「はぁ……まあ良い、よろしく頼む」
ガル、と呼ばれた女子生徒は少し呆れた顔を見せながら、右手を突き出した状態で静止する。
「……?君は武器を持たないのかい?」
ヴェーバーが不思議そうにガルを見る。
「あぁ、私はこれでいい。十分だ」
「ハハッ、少し僕を舐めすぎではないかい?これでも僕は君と同じI組だよ?」
少女の物言いが気に障ったのか、苛立たしそうな態度を隠すことなく告げる。
「I組といってもピンキリだろう?あと、舐めているのでは無くこれが私の戦闘スタイルだ。武器は使わない」
前半の台詞は言わなくても良かったろうに、とフリートは少し引きながら考えた。
「ピ、ピンキリか……ふ、フフフフフフ、よし分かった。手加減してやろうと思っていたが止めだ。全力で叩き潰してやる!覚悟しろ!」
ヴェーバーはプルプルと震え、我慢ならないとでも言うように叫ぶ。
「口上はそこまでにしておけ。後は実力で示すと良い」
ナディアが長話に飽きた、と言いたげに2人に準備をするように促す。
その声に反応して再びヴェーバーは武器を構え直す。
「良し、……では始め!」
「なっ!?」
同時、少女の前に炎雷の槍が現れた。
それを掴むと驚愕に顔を歪めていたヴェーバーに槍を突き出す。
「殿下、あれは?」
ミラがフリートに尋ねる。
「あぁ、あれは魔力で炎の槍を作り出し、それに雷を帯びさした物だろうね。……彼女は器用な事をするんだね」
感心したようにミラに説明する。
そうしている間に、戦況が変わったようでヴェーバーがガルを攻め立てている。
「その槍には少し驚かされたが、要は当たらなければ良いんだろう?そうと分かれば対処は難しいものではない!」
大きく炎雷の槍を避けながら(そうしなければ電流にやられるからだ)鬼の首を取ったように得意げに言う。
「それはどうかな?」
ガルが不敵に笑う。その笑みに何かを感じ取ったヴェーバーは大きく横に飛ぶ。
ドゥン!!!
轟音を立てて明らかに自然現象では無い雷が先程まで彼がいた場所に寸分違わず落ちる。
「……おいおい、あれはやり過ぎだ。下手したら死ぬぞ!?」
何処からか驚怖混じりの声が聞こえる。
「確かに。あれは過剰攻撃だね。……教官!彼女を止めなくても良いんですか?」
フリートがナディアに言うもののそれを止めたのは、なんとヴェーバーであった。
「止めてくれるなよ!ここで辞めて臆病者の誹りを受けたくは無い!」
「だ、そうだ。このまま続行しろ!」
本人が言うならとナディアが続行を指示する。
フリートは呆れたように溜息をつきながらも黙って観戦することにした。
「はぁっ!」
気合いの入った声で少年は三連突きを見舞う。
その速度はまるで光の様だった。
「ははははは!!!!!そうでなくてはな!!それを待っていたぞ!!やはりこの学園にして正解だった!!!」
少女が興奮したように、楽しんでいるかのようにのように叫ぶ。
所謂『戦闘狂』という存在なのだろう。
「なかなか楽しかったが、そろそろ終わりにしようか!」
そう宣言するとガルは手を振りかざして、ヴェーバーの周りに十を超える数の炎雷の槍を創り出した。
「やれ、我が槍よ!」
手を振り下ろすと一斉に槍が降り注ぐ。
このままでは大怪我どころの話では無い。というところで、素早くナディアが魔術を起動させる。
「不味いな……ディスペル!」
魔術名を唱えるとともに全ての槍が消え去った。
「そこまでだ。勝者、ガル!よくやった……と言いたいところだがやり過ぎだ。これは模擬戦だぞ。加減しろ」
ナディアが少女に釘を刺す。
その時Sクラスの面々はガルの強さと、それを上回るナディアの実力を見せつけられた。
「………………くそっ!」
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