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二章、学園
戦闘訓練、3
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「では次、ガウル、フューゲ!前に出ろ!」
「いよっしゃあ!やっと俺の番だぜ!覚悟しろよ!皇子だかなんだか知んねえけどよ、この学園では関係無えからな!存分にボコれるぜ!」
フューゲと呼ばれた男子生徒が大剣を持ちながら気合十分に前に出る。チンピラかお前は。
「おっと、次は私か。じゃあ行ってくるよ、ミラ」
「ん、勝って来て」
「まあ、努力はするよ」
「おい!聞けよ!」
「消極的なのはいけない。ブチのめすくらいで行かないと」
「ははは……善処します」
「聞こえてんだろ!」
「むぅ……でも、怪我だけはしないで」
「分かってるよ」
それを尻目に二人の世界を創っているフリートとミラ。
爆発すれば良いのに。此れはクラスの総意である。故に爆発しろ。
「遅いですよ……いつまでイチャついてんですかよ……」
無視され続けて涙目なフューゲである。
可哀想に、口調まで変わっている。哀れな。
「ああ!申し訳ない。つい話に夢中になってしまったよ」
気付くのが遅いぞ、主人公。
「位置に着いたな。それでは……始め!」
やっと始まった。なんか始まるまでが長かったなぁ。なんて声が聞こえるが気にするな。幻聴だ。
「オラァ!!喰らえやぁ!!」
調子を取り戻したフューゲが大きさに見合わない速度で剣を振り下ろす。
「ーーーおっと、思ったより速いね。驚いたよ」
軽々とそれをバックステップで回避する。
「ハッ!ムカつくくらい余裕だなぁ!?ぶちのめしたくなるぜぇ!!!」
まさにチンピラである。これで座学の成績も悪く無いのだから驚きだ。人は見た目じゃない。まあ、中身、というか性格もアレではあるが。
「ふぅ……全く、騒がしいね。まるで猪が猿だ。少しは人間らしく振舞って欲しいね。君が同じ人間なら」
「素晴らしい」
フリートの容赦無い挑発に親指を立てるミラ。2人ともなかなかの腹黒さだ。
「んだとぉ!?言ってくれるじゃねぇか!誰が猿だ!?」
やはりキレた。もうブチギレである。
これでは冷静な判断など出来るわけがない。
「やり易くて良いね、ハァッ!」
剣をバックステップで回避した後、踏み込む。
そして槍をゴウ、という音が見学していた者たちにまで聞こえるような速度で薙ぎ払う。
「……っ、ちぃ!」
舌打ちをしながら大きく後退するフューゲ。
その時に出来た隙を見逃さずに再度踏み込みながら突きを見舞う。
一突、疾風の如き一撃に驚愕しながらも、身体を右に傾けさせて回避する。
二突、雷光の如き力強さをもって、見えないはずの空気が穿たれたかのような錯覚を覚えながらも、今度は左に回避する。
三突、それは嵐であった。それは迅雷であった風を生み、雷を帯びながら繰り出されたその一撃は少年への最後の追撃となった。
その一突きはあわや少年を貫く、というところで静止した。
しかしその余波は絶大なものであった。
フリートの槍が放った一撃の衝撃は槍を離れ、フューゲへ届き、そして吹き飛ばした。
少ししてナディアがまるでこの結果は当然のことであり、必然だ。とでも言うような表情でゆっくりとそして静かに吹き飛ばされた少年へと近づく。
「ふむ、意識を飛ばしているな。これではもう闘えまい。……この戦い、ガウルの勝利とする!」
そう宣言するも、ミラを除く生徒達は目の前の結果を信じる事が出来ずにいた。
それは決して勝敗を受け入れられなかったのではない。
己の瞳が写した光景を信じる事が出来ずにいるのだ。
シン、と静まった場にナディアの声がやけに大きく響く。
その日、彼らは『嵐』を見た。
「いよっしゃあ!やっと俺の番だぜ!覚悟しろよ!皇子だかなんだか知んねえけどよ、この学園では関係無えからな!存分にボコれるぜ!」
フューゲと呼ばれた男子生徒が大剣を持ちながら気合十分に前に出る。チンピラかお前は。
「おっと、次は私か。じゃあ行ってくるよ、ミラ」
「ん、勝って来て」
「まあ、努力はするよ」
「おい!聞けよ!」
「消極的なのはいけない。ブチのめすくらいで行かないと」
「ははは……善処します」
「聞こえてんだろ!」
「むぅ……でも、怪我だけはしないで」
「分かってるよ」
それを尻目に二人の世界を創っているフリートとミラ。
爆発すれば良いのに。此れはクラスの総意である。故に爆発しろ。
「遅いですよ……いつまでイチャついてんですかよ……」
無視され続けて涙目なフューゲである。
可哀想に、口調まで変わっている。哀れな。
「ああ!申し訳ない。つい話に夢中になってしまったよ」
気付くのが遅いぞ、主人公。
「位置に着いたな。それでは……始め!」
やっと始まった。なんか始まるまでが長かったなぁ。なんて声が聞こえるが気にするな。幻聴だ。
「オラァ!!喰らえやぁ!!」
調子を取り戻したフューゲが大きさに見合わない速度で剣を振り下ろす。
「ーーーおっと、思ったより速いね。驚いたよ」
軽々とそれをバックステップで回避する。
「ハッ!ムカつくくらい余裕だなぁ!?ぶちのめしたくなるぜぇ!!!」
まさにチンピラである。これで座学の成績も悪く無いのだから驚きだ。人は見た目じゃない。まあ、中身、というか性格もアレではあるが。
「ふぅ……全く、騒がしいね。まるで猪が猿だ。少しは人間らしく振舞って欲しいね。君が同じ人間なら」
「素晴らしい」
フリートの容赦無い挑発に親指を立てるミラ。2人ともなかなかの腹黒さだ。
「んだとぉ!?言ってくれるじゃねぇか!誰が猿だ!?」
やはりキレた。もうブチギレである。
これでは冷静な判断など出来るわけがない。
「やり易くて良いね、ハァッ!」
剣をバックステップで回避した後、踏み込む。
そして槍をゴウ、という音が見学していた者たちにまで聞こえるような速度で薙ぎ払う。
「……っ、ちぃ!」
舌打ちをしながら大きく後退するフューゲ。
その時に出来た隙を見逃さずに再度踏み込みながら突きを見舞う。
一突、疾風の如き一撃に驚愕しながらも、身体を右に傾けさせて回避する。
二突、雷光の如き力強さをもって、見えないはずの空気が穿たれたかのような錯覚を覚えながらも、今度は左に回避する。
三突、それは嵐であった。それは迅雷であった風を生み、雷を帯びながら繰り出されたその一撃は少年への最後の追撃となった。
その一突きはあわや少年を貫く、というところで静止した。
しかしその余波は絶大なものであった。
フリートの槍が放った一撃の衝撃は槍を離れ、フューゲへ届き、そして吹き飛ばした。
少ししてナディアがまるでこの結果は当然のことであり、必然だ。とでも言うような表情でゆっくりとそして静かに吹き飛ばされた少年へと近づく。
「ふむ、意識を飛ばしているな。これではもう闘えまい。……この戦い、ガウルの勝利とする!」
そう宣言するも、ミラを除く生徒達は目の前の結果を信じる事が出来ずにいた。
それは決して勝敗を受け入れられなかったのではない。
己の瞳が写した光景を信じる事が出来ずにいるのだ。
シン、と静まった場にナディアの声がやけに大きく響く。
その日、彼らは『嵐』を見た。
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