エンドロールに誰を流そう

大野

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これはなんのお話

はなの声

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「 そこでね、とても大切な人と出会ったわ。夏目という名前だってことしか知らなかったけれど、それだけで十分だと思っていたわ。
そこで彼は、いろんなことを教えてくれたの。
太陽さんには挨拶をしなければいけないこと、川には無数の宝石が散らばっていること、私にも、宝石があること。

すごく救われたわ。
彼と出会って、想像の世界の中だけだけれど、私は幾分も自由でいれたの。

でもね、そこから1ヶ月くらい経った頃かな、
彼は現れなくなったの。
私の中の想像。私が作り上げた人。
私が、彼は必要でなくなったと判断したから、私の想像から消えてしまったのだと、無理やり思い込ませたわ。」

じわり、じわりと滲み出るように、搾り取るように言葉を発する。

つまらなくないかしら。
退屈かしら。

ここまで話して、ちらりとはなを見る。

視線に気づき、はなは
「続けて。」
と、まるで、自分の言葉を介入させたくないと言っているかのように短く答えた。

「彼は、次の日も、次の日も現れなかったわ。
ああ、彼は本当に私の中から消えてしまったのだ、と思ったわ。
そのかわり、いろんな人が現れるようになったの。最初はみんな、とても辛気臭い顔をしているの。
彼が消えて1日目には、髪で顔を隠した女の子。
彼女、まつげに宝石を落としていたわ。
2日目は、片腕のない女の子。
腕の無い袖が風に揺れる様がまるで花のようで、キラキラしていたわ。
こういう風にね。

そこで私は、彼ら、彼女らとお話をするの。
あなたはこういう宝石を持っているのね、って。彼が私に言ってくれたようにね。
彼がいなくなった今、私が彼の代わりを務めなければと思ったのよ。
それでね、そうこうしていて、一昨日、
男の子と出会ったの。誠さんと言うのだけど。
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