13 / 359
第12話 ドラゴンとの戦い
しおりを挟むアンディーは一人逃走、すでにまったく見えないところに行ってしまった。逃げ足が恐ろしく速い男だあの野郎はあとでぶっ飛ばすとして、今は目の前の敵をなんとかしないとな。
俺は見上げる。
「無理だよな~アレは……」
ドラゴンがバサバサと翼をなびかせながら飛んでいる。きっと離れた場所から見れてれば感動出来るカッコ良さなのだろうが、今は殺される恐怖しかしない。
足が…すくむ。
頭の中は恐怖に包まれ動けない。
ドラゴンは口を大きく開き火を俺達に向かって吹く。「ゴー」と押し寄せる火の壁、当たれば骨すら残らない高熱、あ~俺また死んだかも……やや現実逃避をしているその時、声が聞こえた。
「何やってるんや!ウチを使いや!」
俺の腕にはツールボックスが現れた。
「はよ~ウチを開くんや!」
俺は慌ててツールボックス(カンナ)を開いた。
押し寄せる火の壁を凄まじい勢いでカンナが吸い込んでいく。さっきまであった火は消えてなくなった。
「え!?……火が消えた?」
「ふっふ~ん、どんなもんや!ウチにかかれば楽勝なんや」
「今……何やったんだよカンナ」
「ウチの中には無限の空間が広かってるんや!あのくらいは楽勝で収納出来るんやで!」
スゴー、つまりドラゴンの火をカンナがすべて吸い取って守ってくれたのか」
「カンナありがとうな!助かった」
「へ!?そ、そんな事大したことあらへんよ~」
カンナはカパカパとテレている。
「おい油断するな!まだ終っておらんのじゃ」
ローム先生に一喝され、一気に現実に戻される。そうだ、まだ防いだだけで、ドラゴンからの危機が去ったわけじゃない。
しかし、カンナのおかげで冷静になれた。ドラゴンの火は防ぐ事が出来る。それなら今から考える事は、
「先生、無理です。助けて下さい!」
「諦めが早い!と言いたいところじゃが、流石に
ドラゴンを相手に一人で戦えとは言わん!」
「せんせえ~」
「頑張って逃げろ!我は離れた場所で見守ろう~」
ローム先生がどんどんと遠くへ飛んでいく。
「…………え!?ちょっ、待って~せんせえ~」
無情にも先生は行ってしまった!
先生いくら何でも厳し過ぎるのでは!しかし文句を
言っている暇なんてない。なんとしても逃げないと命はない。
「地の精霊よ!ボクに力を貸してくれ!」
地面から砂塵が吹き荒れる。相手は上空いる。こちらから攻撃手段がない以上隠れながら逃げる!
俺はドラゴンの視界を奪い、砂塵に隠れて走って逃げる。
しかし……「うわ~」凄まじい突風で砂塵ごと俺は
吹き飛ばされ木に激突。
「痛っつ~……なんだよ。今のは?」
上空を見上げるとゆっくりとこちらにドラゴンが迫ってくる。
そうか、翼で風を起こして飛ばされたのか!
どうする。完全に俺がターゲットにされている。
他に逃げる方法は……
「な~タクト~さっさとあんな奴やっつけようや~」
カンナがつまらなさそうに意味のわからない事を言っている。ドラゴンなんて倒せるわけないのに。
「カンナ!あんなデカいのどうやって倒せって
言うんだよ!」
「これでやれば~ええやん!」
ツールボックス(カンナ)がカバーンと開くと、中にはハンマーが入っていた。
ん?………これで殴れと?
「カンナさん、ドラゴンは飛んでるんで当たらないんですけど!」
そもそも当たったところであのドラゴン硬そう~なんですけど?
「は~別にあのくらいの距離なら大丈夫やで!」
「いやいや30メートルは離れて…ハウ!?」
ハンマーを手に取った途端頭の中に、そのハンマーの使い方が流れ込んできた。
………………………………………………………………
名称∶ハンマー
分類∶工具
属性∶空間
攻撃力∶☓☓☓☓☓
性能∶空間圧縮により万物を潰す
リーチは短い
………………………………………………………………
「え~っと……ホイ!」
なんとなく分かったのでハンマーを振ってみる。
「ドカーン」
大きな衝撃音がして土煙が飛んできた。
「な、何が起きたんだ?」
土煙が消え視界が開けると地面にドラゴンが倒れており、身体の一部が陥没している。
何がなんだか分からず俺が呆然としていると、
「も~うダメやないか~ちゃんと取説は見んと、失敗しとるやないか~」
え!?失敗なの?ちゃんと倒したんだけど!
※ちなみに取説とは取り扱い説明書の略
「ええか~空間設定がしっかりとしとらんからぺしゃんこに出来とらんのや!」
カンナの説明によると、このハンマーは相手を叩き潰す道具で、今回のドラゴンに正しく使う場合、以下の手順を行わなければ行けなかったらしい。
①空間の座標設定、ドラゴンの上下に設定
②ドラゴンの下の空間を固定する
③ハンマーを振ってドラゴンの上の空間から衝撃を伝える
④ドラゴンは上の空間の衝撃でぺしゃんこになる。
今回俺は②の空間の固定をしなかった為、衝撃が逃げてドラゴンを落下させるにとどまった。
………別に倒せればどっちても良いのでは?
カンナいわく道具は正しく使いましょうとの事。
「さて~アンディーの野郎の件もあるけど、このドラゴンはどうすっかな~」
ドラゴンは滅多に人里には降りてこない。それに何より強い!倒す事が困難な魔物で、その素材は武器にも防具にもなり重宝され高く売れる。それに肉も非常に美味と聞いたことがある。楽しみだ!
「このまま放置するのは勿体ないな~でもデカすぎて持って行けないし、どうしよう」
俺がドラゴンをどうするか悩んでいると、
「なんや!そんな事かいな~ウチに任せとき~」
ツールボックス(カンナ)がカパッと開くとヒューッとドラゴンを吸い込んだ!
「え!?カンナそんな事も出来るのか、スゲェー!」
「なんやそのくらいで、照れるやないか、さっきも言ったけどウチの中は無限に広がってるんや!なんでも吸い込むでぇー」
カパカパと嬉しそうに言うカンナ、どうやら俺は制限なしのアイテムボックスを手に入れたようだ。ラッキーこれで手ぶらで歩いて楽が出来る!
この時の俺は大した事を思いつかなかったが、実際はものすごく便利なスキル、今後の生活で非常に助けられる事になる。
51
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる