刻印戦記-AlterFrontier(アルターフロンティア)

ワサオ

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第1章 刻印覚醒編

第5話 未知数な力発動!!その名は炎の刻印!!

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 炎の刻印……メサに記されていた謎の特殊スキル。だがシーカーにとってはもう意味のない事。それは自分は目の前の大型デスワームによって食べられ、データを消されてしまうと。

「……」

 デスワームが飲み込もうとした瞬間、シーカーの背中に赤く光り輝いたある絵が刻まれた。その絵はまさに燃え盛る炎の絵だった。
 そしてシーカーの身体を薄い赤い膜が覆った。デスワームがその赤い膜に触れた瞬間、熱いものに触れた時のように跳ね上がり、叫び声を上げながら別の空間に逃げて行った。
 シーカーは痛めた腕を無理矢理動かし、メサを操作してボードを呼びつけ、ボードにしがみついた。膜は一旦消滅した。

「……何が起こったんだ一体……」

 ボードでなんとか移動して近くのビルの屋上に寝転がり、息を荒げて身体を休める。

「はぁ……はぁ……まずは回復薬を……」

 メサから瓶状の回復薬を出し、一気に飲み干して、瓶を投げ捨てた。傷ついた身体は少しずつ治っていき、立てるくらいには回復した。

「……何とか体力は回復したか……」

 一度深呼吸し、メサを操作してもう一度スキルを確認する。

「刻印、タイプ炎?……初めて見るスキルだ」

 タイプ炎、その事にふと不思議に思った。

「タイプ炎……って事は他にもいるのか?炎の刻印以外に」」

 そして一息付くと、再びフィールド全体に地鳴りがなった。シーカーはすぐに警戒し、刀を出した。

「来るか……ってえ?」

 それは刀に炎がメラメラと纏い、以前の刀とは違う状態になっていた。その刀を見てニヤリと笑った。

「これは……あのデカワームをやるしかねぇ!!」

 意気込みを言いながら左手を強く握りしめると、身体全体が燃える炎のようなオーラを纏った。だが自然と熱く感じず、いつもと変わらない体温を保っている。
 そしてメサからボード出すと、全体が赤くコーティングされ、炎が描かれていた。そして燃え盛る炎の装飾物が後方左右に付属されていた。

「行くぞ!!ワーム!!」

 するとデスワームが頭上から現れ、三度飲み込もうした。だが、シーカーは余裕の表情で避けた。先程とは比べ物にならない程早い速度でデスワームに当たる事なく、回避した。

「おらぁ!!」

 避けてそのままデスワームの上に行き、皮膚に炎が纏った刀を振り下ろした。先程よりも深く攻撃が刺さり、緑血を噴出した。そして数秒経つと切られた部分が爆弾のように爆発した。ワームの肉片が飛び散る。切られたデスワームは悲鳴をあげながら、真下のビルの上に落ちた。

「ふぅ……!?」

 安心したのもつかの間、周りには5mほどの幼虫ワーム20匹ほどがシーカーを四方八方囲まれていた。
 だがシーカーは余裕のある顔だった。

「親もデカければ子もデカイって事か!!」

 腕を×状に組み、少し足を曲げ身体全体に力を入れ始めた。するとシーカーのオーラは消え、赤い膜が囲み始めた。膜はマグマのようにグツグツと音をだしながら沸騰している。

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 思いっきり身体を大の字に開くと膜は破裂した。そして破裂した膜が幼虫達に当たると、幼虫達は燃えて跡形もなく無くなった。
 自分の両手を軽く動かし、自然に動く身体を実感した。

「……身体が柔軟に動く。まるで自分の思い描いたように……」

 真下のビルを見ると、そこにはデスワームはいなかった。近くには空間が割れた跡があった。絶対にまた来る……そう確信したシーカーは刀をしまい、右手拳に力を入れ始めた。
 右手の甲から炎の文字が浮き出て来て、背中の炎の絵も更に赤く輝き始めた。そして右手拳から炎が身に纏い、目を瞑り精神集中を始めた。

 地鳴りが鳴ると更に炎の勢いが増す。シーカーの真後ろの空間が静かにヒビが入り、その中からデスワームが現れ、口の中にシーカーが入った瞬間、真後ろに振り返りながら握った拳を一気に開き、必殺技を叫んだ。

獄炎ごくえん!!!!」

 デスワームの体の中で、手の平から巨大な炎の渦を一気に放った。その炎の渦はデスワームの尻尾を到達して身体を膨らませた。そして限界まで膨らんだ身体は限界に到達して一気に貫通し、近くのビルをも巻き込み大爆発を起こした。
    獄炎を発動し、デスワームの動きは止まった。焼き焦げた外の皮膚からは煙が噴出し、シーカーはすぐさまデスワームから脱出した。
 デスワームは黒い灰の塊とになり、そのまま下に落下していった。

「はぁ……はぁ……勝った。この炎の刻印で」

    実感が湧かない勝利。いきなり謎のスキルを手に入れて勝利した事に自分の身体を見るが、謎ばかり浮かび上がった。
 そして自然と身体の力が抜け、膝をついた。オーラは消え再び手の甲を見ると炎の文字は消え、背中の炎の絵も消えていた。ボードも元の姿に戻っていた。

「……これで、戻れるのか」

 この戦いを仮面の男はビルの上で、透明の姿で目撃していた。

「あいつが炎の刻印を手に入れるとは……約束だ。返してやろう……」

 メサを操作し、シーカーの転送先を選ぶ。その場所に仮面の男は軽く笑った。

「ふっ……ここでいいか」

 画面をタッチした瞬間、シーカーはこのフィールドから消滅した。

 ーーーーーーーーーーーーーー

 場所は代わってとあるライブ会場。会場で1人のキラキラとしたドレスを着た、ぱっちりお目目の左右白黒の髪をした長いポニーテールの女の子が虹色のライトを浴びながら、綺麗な透き通る声で歌っていた。
 この女の子こそSyoがライブに行こうとしたAlterFrontierアイドルのアルちゃんだ。
 彼女の前には静かにペンライトを息の合ったようにゆっくりと振るファンが何万人もいた。更にこのライブは、テレビ中継もされており、全世界に配信されている。
 そして歌い終わると一礼し、ファンのみんなに挨拶をする。

「今日はライブに来てくれてありがとう!!」
「ア・ル・ちゃぁぁぁん!!」

 その言葉を言っただけで、多くのファンが歓声を上げた。

「さぁーて!!次の曲は……」

 と言いかけた瞬間、彼女の目の前にシーカーが頭から落ちて来た。アルは驚き、ファンも驚き会場は静まり返った。

「痛てててて……何だここは?」

 シーカーが頭を抑えながら後ろを振り向くと、驚いた様子のアルがいた。彼女を見た気づいた、Syoが言っていたアイドルアルちゃんだと。そしてここがそのライブ会場だとゆう事を……

「だ、誰?」

 シーカーのアルにニコっと作り笑いを見せた。

「す、すいませんでした……」
「……」

 シーカーは慌ててログアウトしてその場から消え去った。アルがいきなりの乱入に唖然とする中、会場はブーイングの声でイッパイになった。何だ今の男は⁉︎、ライブの邪魔しやがってなど、即刻ライブは中止になった。

「え……何?」

 ーーーーーーーーーーーーーー

 慌ててAlterLinkを外す悠斗。机を見ると、Zackが鳴っていた。確認すると将呉からの連絡だった。

「お、おい将呉!!」
「悠斗大丈夫だったのか⁉︎それに今のライブ……」
「あぁ……話す事はいっぱいあるが、少し休憩をくれないか……」

   悠斗の焦った言い方に、何かを察した将呉。

「……分かった、詳しい明日学校で聞くよ……」
「済まない……」

 悠斗は申し訳なさそうに言い、電話を切った。こうして悠斗の奇妙な1日が終わった……
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