刻印戦記-AlterFrontier(アルターフロンティア)

ワサオ

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第1章 刻印覚醒編

第10話 マイホームを作ろう

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 アルとの戦いから一週間が経ったシーカーの家。2人は同じソファーに座りながら話していた。何やらテンションが低そうな2人だった。素っ気ない会話を淡々としている?

「なぁSyo……」
「何」
「新しい家を作ろうと思うだ」

    いきなり言うには驚く内容だが、Syoはふつうに平然として聞き返す。

「何で」
「最近外がうるさいし、家をじわじわと攻撃されている気がするし」

 外の騒音と攻撃?……シーカー達を苦しめるその正体とは?

「あぁ~だから家に落書きはされるは、アルちゃんファンの人達に囲まれてるんだ……」

 その正体は家の壁には中傷などや落書きなど、酷く荒らされていた。更に昼夜問わずファンが家の周りを囲んで騒いでいるのだ。
    その騒ぎの殆どが罵倒である。

「せっかく許してもらって、それで騒動終わりのはずなのに何だよこの始末は……」
「この騒動から数日経つけど、アルちゃんはまだあれから1度も公の場に出てないんだよね……それが原因だろうね……」
「はぁ……」

 あの戦いから一週間経つが、アルは予定していたライブを中止し、握手会なども全て中止になっており、ファンはシーカーのせいだと家を訪ねていた。
 下手に外に出ればファンにアルちゃん返せと罵倒され、フィールドでモンスターと戦えば邪魔されるなど、勝ったのにお金を貰った事以外なんもなかったのだ。そんな事が続き、2人とも精神的に参っていたのだ。だからカーテンを閉め、電気も消して今家にいない風に装っている。

「そもそも100万G使ってどこに家建てるの?」
「大きな土地を買ってそこに家を建てる。100万Gを使って」
「材料は?」
「あの森であいつと一緒に探す」
「あいつかぁ……あいつ俺苦手だよ」
「俺も」

    あいつと言われてその人物を思い出して落胆するSyo。2人とはそれなりに関係がある人物のようだ」
 2人はお互いの目を見合って、ため息を吐く。するとソファーに座る2人の前から声が聞こえて来た。

「だらしない声出さないで頂戴」
「だってさぁ~……はっ!?」

 途中でその聞き慣れた声に気づきSyoが顔を上げると、目と口がまん丸に開いた状態で石像のように固まってしまった。

「何だよSyo……へっ!?ー

 シーカーもその声の主を見て、目を細めた。その人物は

「フレンドが家に来て悪いの?」

 それは腕を組んでちょっと機嫌が悪そうな顔をしているアルだった。いつものアイドル衣装じゃなくて、白いTシャツの上に黒いカーディガンを着た短めのスカートを履いていた。腕を組み、2人を見下しているようにも見える。

「私服のアルちゃんだ……」
「あ、あんたか……」
「あんたじゃなくてアルよ!!名前で呼びない!!」

 シーカーに怒るアルだが、Syoが挙手して言う。

「あの~何でアルちゃんがこの貧相な家に?」
「貧相で悪かったな」

   貧相と言われて眉毛を歪めるシーカー。アルはそんな関係ない事には気にせずに話を続ける。

「フレンドに逢いに来た、それだけよ。それにしても何でこんなに暗いの?」

 シーカーは言いづらそうな顔をするが、アルの見下すような目に負けて、渋々とその経緯を話した。
 その話をするとアルは口の下に手を当てて、何か後ろめたい気持ちになっていた。

「私のせい……か」
「いや、あんた……アルのせいじゃない。俺があの場所に現れたから悪いんだよ」
「そもそも何でライブステージに現れたの?」
「これも色々が事情があって……」

 シーカーはついでに話した。仮面の男との戦い。デスワームとの戦い。刻印を手に入れた話など全て話した。

「信じがたい事かもしれないが本当の話だ……」
「……まっ信じるわ」
「いいのかよ……」

 すんらりと受け入れらるアルに呆れるシーカーにアルは更に言う。

「家を作るって言ったわよね。私も手伝う」

    Syoは驚き、その場に膝をついた。シーカーはそんなアルに軽く苦笑していた。

「嘘っ!?」
「はは、マジかよ……」

 ーーーーーーーーーーーーーー

 ピュアーズ草原の奥にある森、ピュアーズ・シンピ森林の中。高さ50m超えの木が立ち並んでいる森林。南米の奥深いジャングルのような森である。
 更にこの森には武装民族が住んでいるとされている程、危険地帯でり、多くのプレイヤーが民族に狩られてあまり人は近づかないと言われている。
    そんな森の中から男2人の言い合いが起きていた。

「こんな所まで来て集めに来るなんてよぉ!!」
「土地代で金が無くなって、木材が買えねえからしょうがねぇだろ!!我慢しろ!!」

 そこに探検帽を被ったシーカー達が歩いていた。先頭にSyoが歩いており、その後ろにシーカーとアルがいた。紫の服とマフラーをしてるシーカーはこの森ではかなりの違和感を感じ、一際目立ったいる。そして地面は1m近くの草が生えており、謎の昆虫が多く飛び交っている。

「キャアァァァ!!」

 4つの長い羽が生えた細い棒状の20cm程の飛行昆虫がアルの真横を通り過ぎっていった。その虫に怖がり、シーカーに肩にしがみつく。

「そんくらいで驚くなよ……もっと先はもっと気持ち悪い奴らいるからな……」
「羨ましい……」

    アルが引っ付いた事にこれといって気にしていないシーカーと、羨ましそうに見るSyoであった。
 更に進む事10分経つが一向にアイツと出会わず、同じ風景が淡々と続いている。イラついたSyoがシーカーに言う。

「ここのどこにアイツがいるんだ?」
「同じ風景ばかりでどこか忘れたよ」
「なら連絡入れとけよ!!」
「連絡入れても出ねえんだからしょうがないだろ!!」

 2人が大声で口論して、アルの事を完全忘れたいた。そしてアルは歩きっぱなしで汗が出てきて疲れ果てていた。

「あぁ……疲れたわ……ん?」

 進行方向から外れた草むらの中に何やらキラリと光っているのが見えた。

「何かな?アレ?」

 アルはシーカー達興味津々にその光っている場所へと草を掻き分けて行く。そんな時にも口論している2人。

「お前のせいだからな!!」
「いぃぃや!!お前のせい……ってあら?アルの奴は?」
「アルちゃんは……あっ!!」

 アルがその光った方向へと歩いて行くのを見た2人は何か察し、咄嗟に大声を出しながらは必死に手を同時に伸ばしながら走る。

「おい、そこに行くな!!」
「アルちゃん危ない!!」
「え?」

 2人の声がアルが聞こえた時にはもう遅かった。足に謎の違和感を感じ足を見ると、足に謎の糸が引っかかっていた。

「これって……?」

 2人がアルの元へ到着したタイミングで、草と土の下から巨大な草で作られた網が出てきて3人を囲い込み、20mの高さまで縛り上げられた。

「何だよこれ!!」
「これはこの森の奥から採れるイガジン草だ!!普通の草のように見えるがものすごく硬いんだよ!!それで作った網だ!!」
「誰が仕掛けた罠なの!?」

    イガジン草。シーカーが説明したように見た目は普通の細長い草。でもその硬さは鉄のように固く、刀でも切ることは困難な草であり、通常状態のシーカーでは切ることは不可能である。炎の刻印状態なら切れるかも。
 網に掛かった3人はジタバタと暴れるがイガジン草は切れることはなく、余計に険悪なムードになった。

「これのあいつの……うっ……」
「気絶しちゃったよ……」

 高さ20mもありSyoが気絶した。Syoは高いところが苦手でもちろん現実でも苦手で、ジェットコースターや観覧車は大の苦手で遊園地も無理なダメ男である。
    アルは平然としているが、呆れ返った様子だ。

「ついて来なければよかったわ……」
「お前のせいでこんな事に……ウェルズを出すしか」

 シーカーがウェルズを呼ぼうとした瞬間、動くものを見つけて目を凝らした。木からぶら下がっているツタをターザンのように掴まって、振り子のように揺れながらツタから別のツタへと渡りながら飛び回っている3頭身程の小柄な人間を見つけた。

「あれは……まさか!!」
「え?何?なんなの?」

    アルはそれが分からず困っている中、シーカーだけにはそれが何か分かった。
 その小柄な人間は緑のニット帽に大きめのゴーグルを被って、口を布で隠している。服も全体的に茶色にコーティングされた服とズボンを着ている。小柄な人間はシーカー達が縛り上げられている網の近くの木にナイフを刺してシーカー達を睨みつけて、殺気立つような声で話しかけてきた。

「お前達は何者だ……」
「俺だよ俺!!シーカーだよ、顔忘れたのか!!
「シーカー……ふん!!」

 声的には女性のようだ。小柄な女性は別のナイフをポケット取り出し、縛り上げている草を切り裂いた。網を切られたシーカー達はそのまま真っ逆さまに落ちて行く。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

 すると小柄な女性は、木に刺さったナイフを抜くと同時に、まるで陸で走っているかのように地上へと走って行く。その素早さはすざましいものであり、すぐにシーカー達を追い越した。
 地上にいち早くつき、全長3mもある大きめの葉っぱをナイフで手慣れた手つきで切り裂き、シーカー達の真下にクッションのように敷く。
 葉っぱの上に落ちて来たシーカー達は弾力のあるボールの上に落ちたように跳ねた。
    この草はカイル草。全長3m程ある大きな葉っぱ。弾力性が高くまるでトランポリンで遊んでいるような感覚がする。
    そのまま葉っぱから跳ねた2人は綺麗に着地したが、まだ気絶しているSyoはそのまま地面に顔から突っ込んだ。シーカーは腰を抑えながら小柄な女性に挨拶した。

「いててて……相変わらずご丁寧な歓迎だな……フォレス……」

 このフォレスという名の小柄な女性は口の布を拭い、さっきのような殺気立つ声ではなく、普通の女らしい声で喋った。

「また武装民族かと思ってここら一帯にはこんな罠がいっぱいあるのさ」
「厄介な事で……」
「それよりそこの女の子どこかで……」

 それを言われた瞬間、アルは帽子を深く被り、シーカーも慌てて説明する。

「アルってアイドルなわけないだろ!!」
「あたしまだ何も言ってないけど……まっ誰でもいいけど。ところでこんな所に何の用だい?」
「それがだな……」

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