刻印戦記-AlterFrontier(アルターフロンティア)

ワサオ

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第1章 刻印覚醒編

第23話 運も実力のうち?運の勝利者ウィナー(4)

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「僕が負ける訳がない!!運があるんだから!!こんな運勢最悪の奴に!!」
「あぁん!?」

 両手を突き出し、無造作にビームを連射するウィナー。それを見かねたシーカーは真っ直ぐ特攻を始めた。ビームもやはりさっきと同じ動きをしていた。今のシーカーにはそんな動きは一切意味をなしてなかった。

「そこまで俺に運がないんなら、その運をこの拳毎飲みたいの丸め込んでやるまでよ!!」
「嘘っ!?」

 スーツから繰り広げれた無数の拳の動きを、シーカーは捉えた。シーカーの両拳が握りしめて逆に丸め込んだ。

「そ、そんなスキル如きで、僕のスーツを捉える事なんて……」
「この刻印って奴の力を手に入れたのは運かも知れない。でもな、この戦い方や捉えられたのも自分が戦ってきた証だ!!運だけが生きていく為の全てじゃない、努力も生きていく為のものなんだよ!!」

 シーカーの握りしめていく力は徐々に強まっていき、スーツが押され始めて、ピキピキと何処かが割れる音が聞こえ始めてきた。

「防衛システム発動しろ!!」
「させるか!!」

 スーツの足元が光始めて、シーカーの胴体へと素早く膝の攻撃を繰り出すが、シーカーの足も同じくらいの速度で攻撃を繰り出し、膝同士がぶつかり合った。

「そんくらい読めていたさ!!絶対に足も攻撃してくるってな」
「そ、そんな!!拳も蹴りもパーフェクトスーツの速度を超えるなんて!?」
「スーツなんぞに頼ったって限度があるんだよ!!俺にはまだまだ無限の力がねむってるんだよッ!!はぁぁぁぁぁぁ!!」

 シーカーはその力を見せつけるために、怯えるウィナーを余所目に気合いを入れて身体全身に力を入れて握りしめた。それに並行するように炎のオーラも強まり、高まっていく。
 その力はパーフェクトスーツの予想耐久値を超え、スーツの腕部分から徐々に亀裂が走った。

「や、やめろ!!スーツがぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 ウィナーの声からは前までの余裕のある声から壊さないでくれと言わんばかりの情けない声で響いていた。
 そんな叫びはシーカーには届かず、亀裂はスーツ全身に入り、耐久力も限界になっていて、スーツは殆ど機能しなくなっていた。

「これで終わりだぁぁぁッ!!」
「や、やめろぉぉぉ!!」

 駄目押しに一撃、スーツに力を押し込んだ。その瞬間、パーフェクトスーツの全身が一気に割れて、パンツ一丁になってしまった。
 最強だと思っていたパーフェクトスーツが破壊されたことにより、パンツ一丁だがそんな事を気にせずに唖然として何歩も後ろに下がった。

「う、うそぉ……僕のスーツが……」
「へ……へへへ……これでお前を守る物はねぇぜ」
「ま、まだ僕にはレア武器がいっぱいあ、あるんだぞ!!」

 ボロボロながら、ゆっくりと拳をパキパキと鳴らしながら迫ってくるシーカーにウィナーは慌ててメサから龍破壊の剣を取り出して、両手で持ちながら適当に振り回した。その姿はまるで初心者のように雑に何も考えずに振り回しており、シーカーは軽くあしらい、手で弾き飛ばした。

「いくらレア物の武器を持ってたって、使いこなせなきゃ意味はないさ。俺のこの名刀、村虎だってレア度は3だ。だけど、この刀は俺にとっては最高の武器だ」

 簡単にレア度9の龍破壊の剣が弾き飛ばされて、思わずその場に倒れて後ずさりした。完全に戦意喪失したとシーカーは悟った。

「ひ、ひぃ~!!」

 シーカーは軽く笑いながら言い放った。

「運が良いのは、羨ましい事かもしれないが、少しは自分で努力する事も勝ち取る事も大事だぜ」

 あんなに最初は活き活きしていたウィナーが、今は情けなく後ずさりしているのを見て、静かに勝利を確信した。
 そしてシーカーは後ろを振り返り、指を指して何十万といる視聴者に言い放った。

「おい!!ウィナーみたいに運が良い奴もいるが、俺は運が悪い!!毎日学校行く前、テレビの運勢見ているが一度たりとも当たった事がない!!むしろ最下位の時の運勢は当たる事が多い!!そして俺は、ウィナーから勝った時の景品はもらわない!!」

 そのセリフにコメントは大荒れして、10秒間に何百万もの荒れたコメントが一斉に流れてきた。
 だが、気にせずシーカーは言い放った。

「最初はもらおうと思ったが、今はもういらない!!欲しいものは、自分の手でゲットする!!」

 すると背後からゆっくりと、黄金のピストルを突きつけるウィナーがいた。顔は涙や鼻水で汚らしい状態で目も当てられない状況だ。

「こ、これなら避けられまい!!」

 だが、シーカーは冷静だった。人差し指を立てて後ろを振り返らずに優しく言った。

「このフィールドは結構な確率でマグマが噴火するった知ってるよなぁ」
「そ、それが……えっ!?」

 ウィナーの目線がシーカーの背を越した。足元を見ると地面が膨れ上がっていた。

「えっ?えっ?えぇ!!」

 そして一気にマグマが地面の下から噴出し、身体中焦げながら何処かへと飛んで行った。

「最後の最後で、運がない奴だぜ」


 *


 それから10日近くが経った。
 結局シーカーはウィナーからお金も武器なども貰わなかった。
 ウィナーはあの敗北から、運がなくなったのか、ガチャをいくら引いても最低のレア度1しか出なくなり、チャンネル登録者は減少の一途を辿っていた。
 その点シーカーは、ホームでまたガチャにのめり込んでいた。

「あぁ……やっぱり高いレア度のボード手に入らないなぁ……」
「普通に買えばいいじゃん。そんなにガチャに使わずによぉ」
「でもな、高いボードは100万Gだぜ。それなら1000Gでのガチャで、一獲千金を狙うのがいいんじゃないか?」
「あ~あ、好きにするんだな」

 そしてSyoはシーカーの前にノートパソコンを置いた。

「おい、現在のウィナー知っているか」
「あれから生放送見てないが、登録者数が減少しているってのは聞いたが?」
「むしろ逆さ。また登録者数が跳ね上がっているんだよ!!」
「はぁ?」

 Syoはすぐさまノートパソコンで数日前の生放送を見せた。

 あの綺麗な部屋は小さなアパートのこじんまりとした部屋になり、周りにいた綺麗な女性プレイヤーは新聞紙の服を着たマネキンを何体も置き、背景の巨大なモニターはブラウン管テレビに変わっていた。
 ウィナー本人も、金色の服やサングラスなども全てなくなり、初期装備のシャツになっていた。
 こんな姿にシーカーは唖然とした。何があったらこうなるんだと真っ先に思った。

「どうゆう事だこれ?」
「運がなくなってから金遣いが荒くなって、金が尽きては物を売ってを繰り返した結果だ」
「悲惨だな」

 そしてボロボロのウィナーは冷たい地べたに座布団を敷いて正座しながら視聴者に言い放った。

「運がある諸君!!ウィナーのチャンネルだ!!今日も100万回連続レア度1の挑戦だ!!後2万回で100万回連続でレア度1が出る!!もし出たらカンパをお願いぃぃぃ!!」

 元気の良さは変わらないし、コメントも以前と同じくらい賑わっており、そこそこ有名のようだ。

「ひゃ、100万回!?」
「そうみたいだな。でも、本人は楽しそうだからいいんじゃない?」
「これはこれで運が良いのかもしれないな……ウィナー、侮りがたし……」

 流石のシーカーもここまでしぶといウィナーに色んな意味で完敗したのであった。

「さぁ運のある諸君も、ウィナーのチャンネルを登録してよぉ~!!」
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