刻印戦記-AlterFrontier(アルターフロンティア)

ワサオ

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第1章 刻印覚醒編

第26話 容疑者はシーカー⁉︎街中の攻防戦!

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 ビル街の上空、多くの乗り物が飛び交う中、一際目立つ光景が広がっていた。
 大爆発が起き、その煙の中からダッシュボードに乗ったシーカーとダブルビークルに乗る大量の兵士が飛び出て来た。シーカーの服は煙で汚れていても、本人には一切の傷はなかった。

「そんなもんか‼︎保安管理局ってのは‼︎」
「くっ……なんて強さだ……」

 シーカーはそのままビルの角を曲がり、管理局から振り切ろうとしている。
 追いかける兵士達は銃を一斉に放つが、ボードを円を描くように回転し全弾避け、またボードからジャンプして弾を避けてから綺麗にボードに着地するなど、曲芸師めいた事をして兵士達を困惑されている。
 シーカーは1度華麗なカーブを描き、こちらに向かってくる兵士の方を向き、刀を構える。

「行くぞ……‼︎」

 この掛け声と共に猛スピードで兵士達に特攻を仕掛けた。銃弾を雨を華麗に避けながら、臆する事なく突っ込んで行く。そしてダブルビークルに乗っている兵士1人を刀で切り倒し、空の戦いから脱落させる。1人また1人と確実に攻撃を当て撃退して行く。
 地上ではこの攻防戦を多くのプレイヤーがシーカーを大歓声と共に応援し、一種の祭りのようになっていた。

「天下の大泥棒の気分だぜ……」

 更に兵士が増えて再び逃げ、大通りの交差点へと出て来た。そのまま真っ直ぐと空を全速力で走り向けるが、背後には大量の兵士が追いかけている。前からは来ない、そう思ったシーカーは後ろばかりに気を取られている。

 シーカーが飛んで来ている目の前の巨大なガラス張りのビルの30階、定岡が凛とした表情でスナイパーを持ち、窓を開けた。
 そしてスコープを覗き、こちらに近づいて来ているシーカーの心臓部分を狙う。だが、シーカーは銃弾を避けるのに夢中になっており、中々標準が合わない。このままではこのビルを通り過ぎてしまう。普通はこの状況を焦るかもしれない。だが定岡は表情1つ変える事なく落ち着き、シーカーが1秒でも同じ場所にとどまるのを待っている。
 そして1秒だけ同じ場所にとどまった瞬間、引き金を引いた。

「(今よ)」

 窓から放たれた1発の銃撃は、シーカーがいる方向へと直線を描きながら真っ直ぐと進んで行く。
 シーカーも銃撃音が正面から聞こえ、咄嗟に自分に撃たれた銃撃と判断した。その方面に振り向く最中、自分の意思とは関係なく炎の刻印が発動し、銃弾めがけて手を伸ばした。
 そして銃弾は伸ばした手の平の中で燃えて、溶けていった。

「(と、溶けた⁉︎)」

 定岡もこれに驚いているが、シーカー本人も勝手に発動した刻印に驚きを隠せなかった。そして炎の刻印は消えた。

「刻印が発動した……ん?あそこは……」

 正面のビルから光が強い場所が1箇所だけ見つけた。それは定岡のスナイパーのスコープだった。

「今撃ったのはあそこからか……相当の腕の持ち主だな」

 シーカーは定岡の位置を完全に把握し、ジグザグに銃撃対策をしながら、定岡の場所へと向かう。

「しまった、見つかった‼︎……でも‼︎」

 こちらに猛スピードで迫って来るシーカー、だが今度こそは当てると再び狙いを定めた場所、そこはシーカーの心臓……ではなくシーカーのボードのエンジン部分だった。
 ジグザグに動くボードの動きの法則を瞬時に理解し、銃弾を放った。一切の迷いもなしに放たれた銃弾は、真っ直ぐと空を飛ぶ。

「今度も当たる訳……ってうわっ‼︎」

 自分にめがけて撃ったと思った銃撃は、見事にエンジン部分に直撃し、エンジンから煙が出てロケット噴射が止まった。

「お、おい⁉︎マジかよ‼︎直したばっかりだってのにぃ‼︎」

 スピードが落ち、ゆっくりと斜めに落ち始めるボード。そして急いで近づいて来る兵士達。更に三度スコープでシーカーへと狙いを定めている定岡。慌てふためくシーカーだが、咄嗟にある事を思い着いた。

「……そうだ‼︎これに賭けるぜ‼︎」
「(ポケットに手を……)」

 ポケットの中に手を突っ込み、何やらもぞもぞと動かす。定岡がスコープで覗くと、ポケットから試験管のような形の液体型爆弾を取り出し自分の背後に投げつけた。
 定岡はそれが何かをすぐに気づき、兵士達に呼びかけた。

「みんなその場から離れろ‼︎あれは液体型爆弾だ‼︎」

 兵士達がそれを爆弾だと認識した時には遅く、兵士達が通り過ぎると液体型爆弾が大爆発し、街のガラスは割れ、シーカー自身も吹き飛んだ。
 シーカーはその爆風を原動力とし、ボードは何処かへ吹き飛び、シーカーだけは定岡がいるビルへと吹き飛んで行く。定岡もこの行動には驚きを隠せず、スコープから目を離し、飛んでくるシーカーを凝視した。
 すると隣の窓から身体を丸めて手を×状に作ったシーカーが窓を突き破り、勢いよく部屋の中へと突っ込んで来た。

「何⁉︎」

 シーカーは綺麗に前転しながら着地し、膝をつきながら部屋の壁に手をつけ、外側の窓にいる定岡へと突っ走る。定岡も焦りながらも冷静に拳銃を取り出し、シーカーに銃撃を放つ。
 だが、シーカーは1発1発確実に避け、全て地面に着弾した。そして刀を取り出し最接近し、刀で拳銃を弾き飛ばし、為す術をなく定岡は壁に叩きつけた。そのままシーカーは刀を横に向けた状態で定岡の首元に持っていく。悪の顔をしながら耳元で囁く。

「さぁ……降参して俺の指名手配を消すんだな、さもないと……」

 更に刀を近づけるシーカー、すると定岡は裾に仕込んでいた小型のナイフを取り出した。シーカーもすぐに発見し、ギリギリ交わして部屋の後ろまでジャンプして後退した。自分の傷跡を観ると傷はなかったものの服の胸元部分が切り裂かれていた。定岡はすぐに拳銃を広い、シーカーの心臓向けて構えた。そして窓の外には多くの兵士達が銃を構えていた。

「危ねぇもん持ってるじゃねぇか……」
「……もう観念して下さい、貴方はこのビルにて包囲されているんです」
「だからこそ、俺はこの状況を楽しんでいるんだ……だから‼︎」

 定岡が拳銃を撃とうとした瞬間、背後からピッピッと小刻みに音が鳴っていることに気づいた。

「(まさかさっき設置したの⁉︎)」

 先程シーカーが壁に叩きつけた際に設置された爆弾に気づいた定岡、だがもう遅かった。

「俺はひざまづくのは嫌いだかなら……そらはお前らの方だ‼︎」

 その瞬間部屋は大爆発を起こし、そのビル内のガラスは割れ、爆風と共に外に待機している兵士達も吹き飛ぶ。定岡も部屋の瓦礫に埋まっていた。
 街に人々もビルの状況に驚いている中、煙が上がっているビルから人影が飛び出て来た。

「あ、あれは⁉︎」

  ニヤリと笑っているシーカーだった。シーカーはそのまま地面へと綺麗に着地し、人混みの中に紛れて何処かへ隠れて行った。

 ーーーーーーーーーーーーーー

 数時間後、シティ内も夕暮れ時になった瓦礫の中から起きた定岡の目の前に立っていたのはタバコを蒸す片桐だった。

「なんダァそのザマは……」
「片桐さん……す、すみません……すぐに……」
「もういい……その件はもう終わりだ」
「えっ?」

 煙を吐き、タバコを地面に捨てて靴で擦り付ける。

「あの映像は作られた物だ……」
「ど、どうゆう事ですか⁉︎写った人物との適合確率は100%だったはずです‼︎」
「お前は送られてきた映像は見たが、設置されて監視カメラ本体の映像は調べたのか?」
「い、いや……それは」

 片桐はメサを操作し、その映像を定岡を見せた。牛の被り物をした男プレイヤーが武器屋の店主に話を付けている映像だった。そのプレイヤーが作られた映像と同じく動きとカメラワークで破壊をし、武器を盗んだ映像だった。

「……これは……この被り物をつけたプレイヤーが本当の犯人……」
「あぁ……シーカーの家にあったあの武器はこの店主と真犯人が繋がって、送りつけたらしい……」
「では、その犯人はどこに……」
「だが相手も相当な手慣れなようだ、映像の被り物の中は解読不可能になっている。特殊な加工がされているようだ」
「……くっ……」

 自分の捜索の甘さや、今回の街を荒らした事、シーカーの逮捕失敗など悔しさで涙が込み上がってきて地面を思いっきり殴った。
 そんな定岡を見て片桐はそっと肩に手を乗せた。

「また今度、訓練をし直すぞ……」
「……はい……」

 ーーーーーーーーーーーーーー

 その頃、シーカーの指名手配解除を知ったシーカーが家に戻って来た。家は管理局によって荒らされており、片付ける気も起きずソファーに座り込む。

「はぁ~結局何だったんだよ……今回の件は」
「ただいま~うわぁ……すげぇ事になってる……」

 Syoもどんよりした顔でシーカーの正面の兵士に踏まれた跡が残ったソファーに座る。そして少しの間があった後にシーカーから話を切り出した。

「収穫あったか?」
「あぁ結構な収穫をね……これを見てくれ」

 それは監視カメラ本体を取りに来た真犯人だった。これも片桐が見せた映像と同じく、牛の被り物をつけていた。監視カメラがないことを知った途端に、近くのゴミ箱を蹴り飛ばして何処かへと走り去って行った。

「お前の罪が消えたのと関係するとすれば、こいつが犯人だ……後を追おうとしたが、すぐに何処かへと消えてしまった」
「別にいいさ……そんな臆病なやつに俺は絶対負けない……寧ろまた来い‼︎次こそはお前の真の素顔を見せてもらう‼︎」

 拳を握りしめ、闘志を燃やすシーカー。果たして真犯人が逮捕される日はあるのか?
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